第282回 ECB理事会、注目のポイントは?!【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第282回 ECB理事会、注目のポイントは?!【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

ドルインデックスの底入れの可能性について前々回のコラムで考察しましたが、今週は26日木曜に欧州ECB理事会が開催されます。結果を受けたユーロの動向によってドルの底入れが強固に確認できるものになるかどうかに注目しています。

ユーロ/ドル相場は9月8日に1.2092ドルまで上昇。4月のフランス選挙に波乱がなかったことで、リスク警戒から売りこまれていたユーロの買戻しでユーロが急反発。ここからスタートしたユーロ高トレンドは、6月のECBフォーラムでドラギ総裁が緩和縮小を匂わせると一段高となり、テクニカル的な節目とされてきた1.2000ドルを超えるところまで5カ月に及ぶ上昇トレンドを形成していました。

しかし、9月8日にドル/円相場が107円台で円高のボトムを付けたのと同時にユーロ上昇も一服。ドイツのメルケル首相が4選を決めた9月24日の連邦議会下院選挙で、極右政党「ドイツのための選択肢」の得票率が12.6%に達し、94議席を獲得する予想外の展開となったことや、スペインのカタルーニャ州の独立を巡っての自治権停止などの混乱、更に15日のオーストリア国民議会選挙に於いて難民受入抑制を掲げた国民党が勝利するなど、センチメントが悪ければユーロが激しく売り込まれても不思議はないようなニュースが相次いでいますが、ユーロ/ドル相場は大きく崩れることはなく、高値圏でのもみ合いとなっています。これは、いよいよ今週のECB理事会にてテーパリング(資産買入れ政策の縮小)が決定されるとの見通しが下値を支えているものと思われます。

欧州ソブリン危機、そしてギリシャデフォルト危機などを受けてECBは量的緩和政策を実施しています。現行ではECBが月額600億ユーロの国債を買入れるQE政策がとられていますが、買入れは今年年末が期限となっています。だからといって突然買入れを全て中止すれば市場の混乱は必至ですので、買入れる金額を少しずつ減らすと同時に、買入れる期間を延長するという組み合わせで、緩和規模を縮小させるテーパリングが行われるというのが、市場のコンセンサス。ユーロ/ドルは、このテーパリング開始を材料に上昇してきましたが、ユーロは9月8日にトップアウトしており、18年1月以降のテーパリング開始は既に織り込まれてしまったとみられます。ということで、今週のECB理事会の注目はテーパリングの規模やペースに移っていると考えられます。

先々週13日、ECB関係者が「毎月の買入金額を250-400億ユーロに減額し、18年9月まで延長する、または、期限を設定しない(オープンエンド型)計画案を検討している」と報じられました。これが市場のコンセンサスとなっている可能性があり、これを基準に実際発表される内容がどのようなものになるかが、ユーロの動向を占うポイントとなってきます。
資産買入金額が現行の600億ユーロから大きく減らなかった場合、買入れ期間が来年9月よりも更に長期化する内容となった場合は、ユーロ売りが旺盛となると考えられますが、減額規模が大きく、買入れ期間も短縮されるようなら、ユーロは大きく上昇すると見込まれます。

ただし、欧州のインフレ率は伸び悩んでいる状況です。引き締め色が強く出ればユーロ高が進み、インフレ抑制に繋がってしまうリスクがあるため、声明文やドラギ総裁の会見などでは、緩和継続を強調しユーロ高を牽制する方向でバランスを取ると思われ、大きな変動が抑えられる可能性も。

ユーロ/ドル相場の日足チャートを見ると7月下旬からレンジ相場が続いています。レンジをブレイクしたほうに大きく動きそうな形状ですが、万が一、テーパリングの詳細決定が12月ECB理事会に先送りされるなどのサプライズがあれば、下抜けリスク。個人的には、インフレ率から見て、市場の予想よりタカ派的な内容となることは考えにくいとみています。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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