第236回 2022年オリンピック、パラリンピック冬季大会に向けての高速鉄道の建設 【北京駐在員事務所から】

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第236回 2022年オリンピック、パラリンピック冬季大会に向けての高速鉄道の建設 【北京駐在員事務所から】

東京では、2020年のオリンピック、パラリンピック開会まで1000日ほどとなり、新国立競技場の建設を初め、各競技会場や交通インフラの整備、さらにはホテルや商業施設の建設、改修が進められています。
費用の高騰やスケジュールの遅延など問題が生じているとも報じられていますが、関係者の努力で解決が図られることを期待したく思います。

東京大会の次は、2022年に北京市と張家口市(河北省)で開催される冬季大会になります。
北京市では主にスケート競技が、また張家口市では主にスキー競技が行われる予定です。
両市の間の移動は、現在鉄道で途中万里の長城を越えるルートになり、3時間ほどを要しているのですが、大会中の選手、役員、観客の移動の利便性を図るため、所要時間1時間程度の高速鉄道の建設が進められています。

このほど、その鉄道車両の建造を担当する国営企業「中国中車長春軌道客車」が、最高時速350㎞の新型車両を公開しました。
同社は、昨年夏季大会が開催されたブラジル、リオデジャネイロ市の地下鉄の車両も建造しており、豊富な実績を誇っています。
今回開発された車両は、大会向けに特化した仕様となっており、車内にはWi-Fi設備や大型スクリーンが設けられ、大会開催中は競技の模様が生中継されます。
また、スキーなどの収納スペースが確保されるほか、選手のドーピング検査を実施できる設備も設けられるそうです。
軌道の建設は昨年から行われており、2019年中には完成し、両市の間の移動が格段に便利になる見込みです。

また、張家口市の大会会場は、市中心部から50㎞ほど離れた崇礼区にあり、中心部から会場への高速鉄道も、2016年より建設が進められています。
完成後は、移動時間が25分間程度になるそうで、こちらも大会の成功に寄与するものになりそうです。

中国では、土地が国有のため、鉄道や道路などインフラの整備に際し、日本では大変な問題となる用地買収の必要がありません。
もちろん、建設地に居住する、あるいは事業を営む人々には、移転先の提供や金銭面での補償などが大問題となり、時に争いの模様がニュースで報じられますが、多くの場合には、「泣く子と政府には勝てない」の中国ということで、補償を受け入れ移転することになります。
ですので、高速鉄道などの建設は、日本よりも遥かに速いペースで進み、今や世界に名だたる高速鉄道大国となっています。
市場が大きい分、車両メーカーの開発も進み、安全性に懸念ありとも指摘されますが、最高時速等の性能もどんどん向上しています。
高速鉄道の輸出は、日本にとって経済成長持続のための重要な戦略の一つですが、中国の勢いを見ますと、競争に打ち勝つことは容易でないと痛感させられます。

まだ先の話のように思えますが、あっという間に2020年が、また22年がやってくるのでしょう。
それぞれの大会が、トラブルなく無事開催されることを願いたく思います。=====================================

コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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