第 91 回 10年物個人国債の金利はなぜアップするのか?

良質な種(投資のための基礎的な知識や知恵)をたくさん手に入れて、一緒に育てていきませんか?投資初級者の方の背中を押すお話をしてまいります。(現在は更新しておりません)

2009年1月以前のバックナンバーはこちら

第 91 回 10年物個人国債の金利はなぜアップするのか?

個人向け国債の一部の商品で、金利の決め方が2011年7月発行分から変わることになりました。受取金利の向上が期待できるので私達、個人投資家にとっては朗報です。 国債は国が発行し、利払い、償還を保証してくれるので国が破綻しなければ安全確実な金融商品です。銀行の預金は一企業の銀行が債務者となるのに対して、国債は国が債務者となるのですからより信用度の高い商品になります。(預金は預金者が銀行にお金を貸しているのと同じです。)

個人が購入できる国債は個人向け国債と呼ばれ、3年、5年、10年と、償還期間・金利が異なる3種類があり、額面1万円から購入できます。
今年の7月から金利の決め方が変わるのはこの中の10年国債です。この10年国債は半年毎に金利を見直す変動金利型で、これまで「基準金利マイナス0.8%」を金利とすると決められていました。これが今回の変更で「基準金利×0.66」になります。(基準金利とは機関投資家向けに発行される、期間が同じ10年の国債の実勢金利のことです)
 (償還期間が3年・5年の個人向け国債は、固定金利型です。)

超がつくほどの昨今の低金利情勢では、先の金利の決め方の『マイナス0.8%』が非常に大きすぎました。国債の金利は下限が0.05%と決まってはいますが、そもそもの基準金利が1%程度の現状では0.8%も引かれてしまうと金利はほんのわずかになってしまいます。
例えば基準金利が1.2%だとすると、
1.2%-0.8%=0.4% 。
これが変更後の基準金利×0.66だと
1.2%×0.66=0.792% になるわけです。

 10年という長期投資商品でありながら、これまでの金利の決め方のお陰で、10年物国債は5年物(固定金利型)の国債と金利がほぼ変わらなかったり、銀行の大口定期より低い金利しかつかないという状況も発生していました。このため国債の人気は低下していました。

 これまでの金利の決め方は、別に国が意地悪をしてわざと低い金利になるように決めたわけではありません。実際、今回変更した「基準金利×0.66」は金利が上昇すると「基準金利マイナス0.8%」より投資家にとっては損になってしまいます。分かれ目は2.37% 。基準金利が2.37%を超えるとこれまでの「基準金利マイナス0.8%」の方がお得になります。国もここまでの景気の低調ぶりは想定外だったのかもしれませんね。しかしながら基準金利が2.37%になる見込みはまだ先の話になりそうですから、しばらくは新金利決定法のおかげで国債投資の魅力は高まりそうです。

いずれにしても次回(2011年7月)発行国債の7月金利に注目です。大口定期預金より高い利率を提示することはできるのか。安全確実な商品で運用したい人は特に注目ですね。(募集は6月です)個人国債は証券会社、銀行、ゆうちょ銀行などで申込が可能です。どこで買っても安全性は同じなので、ご自分が便利に利用できる金融機関を選んで申込をするとよいでしょう。(たまに各金融機関によってキャンペーンなどもやっているようです。)

将来基準金利が上昇してきたら、その時の水準を鑑みて国債の金利の決め方はまた見直される可能性があります。国債に投資をする上で覚えておきたいポイントのひとつとして頭の片隅にはおいておきましょう。

マネックスからのご留意事項

「資産の種」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧