世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)
世界恐慌以来の最も長い下げ相場にもかかわらず、米国の確定拠出型年金プランの参加者はそのまま加入を続けています。彼らは依然、プランへの拠出を続けており、その中の投資対象にもほとんど変更を加えていません。こうした事実はバンガードの確定拠出型年金プランに関する報告書「How
America Saves」の中で明らかにされています。
今週と来週に亘り、スティーヴン・アトカス氏(バンガード退職年金制度研究センター、プリンシパル)が報告書のポイントについてお話します。ちなみに、この報告書は、1400社、220万人のプラン参加者のデータに基づき作成されています。
Q: 今年のリサーチ結果で何が一番の驚きだったでしょうか?
アトカス氏: 一番驚いたのは、資金の移動が思ったほど起こっていなかったことでしょう。過去2年の激しい市場の下落にもかかわらず、プラン参加者はポートフォリオに大きな変更を加えていません。2001年にはプラン参加者の15%が投資対象を全く変えていません。このような動きは2002年になっても続いています。私は、株式市場の著しい変動のために資金を移動させるプラン参加者がもっといると思っていました。
一方で、変更を加えた人は株式の保有を減らしています。資金は債券へ少しずつ移っています。これは株式市場下落の結果として予想されていたことです。
Q: では、反対にリサーチ結果で驚かなかった点は何ですか?
アトカス氏: 経済が低迷しているときには、拠出は減るという事です。私たちのリサーチによれば、プラン参加者は現在の経済環境の中で幾分拠出を控えめにしています。プラン参加率は1999年の上げ相場時の79%をピークとして2001年には76%まで落ちていますし、参加者の拠出金額も幾分減っています。家族や自分が失業してしまう可能性があれば、401(k)プランに拠出する額を減らす必要があるかもしれないでしょう。また、下落する株式市場が新規加入者を躊躇させたかもしれません。
Q: 下げ相場が401(k)の弱点を露呈させたと言えるでしょうか?アトカス氏: 確かにメディアや米国議会では、自社株への多すぎる投資のリスクに警鐘を鳴らしています。分散投資が重要な投資原理であることには変わりありません。また、従業員が自分の会社の株を持っていることは外部株主にとっても望ましいことでしょう。
しかし、ルーセント、エンロン、ワールドコムといったいくつかの年金プランは、あまりにも多く自社株への投資を認めていました。つまり、自社株への大きな配分が分散投資を不十分にさせていることが問題なのであって、401(k)プランそのものの本質的な問題ではありません。
例えばバンガードが管理するプランのうち、80%のプラン参加者は自社株の問題とは無縁でした。彼らは全く自社株を持たないか、持っていたとしても20%以下の配分で影響は軽微でした。
(次号に続く)
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