世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)
バンガード・グループ会長、ジャック・ブレナンがお届けする「ベテラン投資家のための7つのレッスン」今回で5回目になります。本日の教訓は-
教訓その5: 投資のリスクをコントロールするために、「バランス」「分散」を心掛けて下さい。
ブレナン氏:どのような投資対象にも変動リスクと個別リスクがあります。そして最終的には「どうやってこれらの投資リスクを回避するか」を考えることが投資の成功のカギになるでしょう。リスク管理に関心がある投資家のみなさんは、ポートフォリオにバランスをもたせ、分散投資をはかる投資戦略を心がけてください。
まずバランス戦略は、長期ポートフォリオの中に株式と債券の両方を保有するということであり、歴史的なデータにその効果が実証されてきた投資の原理です。ただし株価が好調であった1990年代においてはその効果が疑問視されていました。しかし、2000年3月に下げ相場が始まって以来、投資家は下降する株式市場の影響を債券が相殺するのを目の当たりにしました。例えば、2000年3月31日時点でS&P500に100%投資したポートフォリオのリターンは、2002年10月31日時点ではマイナス39%でしたが、株式と債券に50%づつ分散投資したバランスのとれたポートフォリオのリターンはマイナス10%にとどまりました。(出所:S&P500インデックス;リーマン・アグリゲイト・ボンド・インデックス)
今年、多くの債券や債券ファンドに資金が流れるのをみると、はたして投資家のみなさんが投資のバランスについて正しい教訓を得たのか疑問に思うところがあります。債券ファンドは保守的な投資として見られることが多いのですが、それでもリスクはあります。
現在の金利は記録的な低さですから、今後金利が下がるよりむしろ上がることが予想されます。金利が上がるということは、債券ファンドの価格が下がることを意味します。つまり、パフォーマンスの良さにひかれて債券へと流れた投資家の多くは、債券市場がクライマックスを迎えているときに市場に参加しているのかもしれないのです。
投資のもう一つの大きなリスクは「個別リスク」です。それは、単一の株式や債券の銘柄を保有するリスクで、このリスクを管理するためには分散投資が必要です。過去、ポートフォリオをある特定のセクターに集中させていた投資家は多くの損失を被りました。一方、広範囲な産業の多様な企業の株式や債券を少しずつ保有し、幅広く分散投資していた投資家は、もちろん、それらの投資家も市場の下落や多くの企業破綻によって損失を出しましたが、それらは致命的なものではありませんでした。
投資資金の多くを単一の銘柄に投資することは避けたほうがよいでしょう。方法を間違えれば、多大なリスクを被ることになります。ただ、個人で実際に適切な分散投資をすることはますます困難になってきています。1950年代にマーコビッツ博士(1990年ノーベル経済学賞受賞)が書いたポートフォリオ理論以来、ポートフォリオの分散化には、少なくとも20から30の銘柄を保有する必要があるとされてきました。最近の一連の研究によると、今日は個々の株式のボラティリティがより大きくなったため、ポートフォリオの分散化には、すべての主要な産業のあらゆる規模の企業の中から吟味された銘柄が200は必要であるとされているようです。ただ、このようなポートフォリオを構築する時間や資源、経験を持ち合わせていない個人投資家は、分散化された投資信託をポートフォリオの中核に置くことが望ましいといえます。
リスクに関してもうひとつ言えることは、リスク管理を考えることはよいことですが、それですべてのリスクが回避されるわけではないということです。長期投資家がリスクを恐れすぎてはいけません。私は、市場の短期的な下落の可能性のために投資をためらう若い世代の人たちのことを危惧しています。米国でも多くの若者が株式市場に投資することにリスクを感じている一方で、5年か10年後には売却してしまう不動産に多くの資金を注ぎ込んでいるのです。
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