世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)
元旦から4月15日まではバンガードの社員にとって最も忙しい時期です。バンガードでは通年、投資家のみなさんからの電話での問い合わせに私や役員らも応対しています。特にこの期間、米国では税金の納付時期でもあるため、いつも以上に忙しくなるというわけです。
当然のことながら、フリーダイヤルにかかってきた電話に対応していると、複数の方から同じ質問を受けることもしばしばあります。今日は私が過去数か月に頻繁に耳にした3つの質問について考えてみたいと思います。
質問1:手元の資金を投資しようと思うのですが、何に投資したらいいのでし ょうか?
質問2:ヘルスケアファンドと新興市場ファンドの申込書を送ってくれますか?質問3:金利が上がりそうですが、債券ファンドを手放したほうがいいでしょ うか?
これらはそれぞれ異なる質問ですが、その答えはすべて同じ、「計画を持って投資すること」です。この普遍的な答えの背景にある考え方をご紹介しましょう。
質問1:“手元の資金を投資しようと思うのですが、何に投資したらいいので しょうか?”
まずこの質問に答えるかわりに、次のような質問をしたいと思います。それは何のための資金ですか?投資予定期間はどのくらいですか?どれくらいのリスクに耐えられそうですか?
電話をかけてくる方の中には、私の答えが優柔不断であると思われる方もいます。いわゆるテレビ、ラジオで活躍している投資の専門家は、ファンドや株式の信頼できる(と思われている)推薦リストをもとに単刀直入にコメントするからです。でもバンガードで20年以上働いてきた私は、上記の質問の有効な答えはただ一つ、「投資計画を持たずに意味のある投資の決断は下せない」と考えます。ではどうやって投資計画をたてるのか?それには上にあげた私の質問に答えてもらわなくてはなりません。目標とする資産配分が決まったら、投資計画に応じたファンドを選ぶことは比較的簡単でしょう。
質問2:ヘルスケアファンドと新興市場ファンドの申込書を送ってくれますか?
このような質問をする人の多くは、単に「パフォーマンスがいい」という理由から特化型ファンドに興味を持っています。一般的に人は感情で行動しがちですから、上げ相場の直後に買う、あるいは下げ相場の直後に売るなど、市場の急上昇や急下降に対して全く間違った反応してしまうものです。
実際、過去のデータからパフォーマンスと毎月の資金流出入額を比べてみると、明らかに「高く買って、安く売る」傾向が表れます。
質問3:金利が上がりそうですが、債券ファンドを手放したほうがいいでしょ うか?
金利の変化について話す時、私は常に次の二つのことを伝えようとしています。まず私たちは、金利が上昇するかどうか確実に知ることはできませんし、その時期や水準も予測できません。
二つ目は、金利の上昇は単純に良い、悪いとは決められないということです。(私がこのように言うと電話の相手が「なぜこの人は私の質問にはっきり答えてくれないのか」と、イライラしているのがわかりますが・・・)
金利が上昇すると、まずその結果として予想されるのは、債券ファンドの基準価格の下落です。ところが一方で長期的な恩恵も考えられます。例えば債券が満期になり、その資金で別の債券を購入した場合、より大きな金利収入を期待できます。反対に金利が下がる場合、債券価格や債券ファンドの基準価格は上昇しますが、再投資されたインカム収益は少なくなります。
いかがでしょう?全く異なるように見える3つの質問も全て「全体の投資計画」の中で考えるべきことがらなのです。
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