世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)
現在、米国の投資家は10年来の低金利が反転上昇し、ポートフォリオに影響を及ぼすことを懸念しています。実際に経済専門家や投資家は一様に、短期金利の誘導目標を決定する6月29日の連邦公開市場委員会(FOMC:米連邦準備制度理事会(FRB)が開く金融政策決定会合)の動向を注意深く見守っているところです。ここでは連邦準備制度理事会がどのように金融政策や経済政策を決定するのか、また、投資家はそれに対してどのように反応すべきなのかをお話しましょう。
FOMCは、主に米財務省債と政府機関債を公開市場で売買することにより、金融市場のお金の量を増減させ、金融政策をコントロールします。これを公開市場操作と呼びます。FRBがインフレを懸念し、国内金融市場にある資金量が多すぎると判断すると、銀行やディーラーに対してドルと引き換えに債券を売却し、お金を市場から吸い上げるのです。その結果、銀行は中小企業や消費者に対する貸出しを減らし、インフレが抑制されることになります。
通常の米国の銀行では、預金残高の一定割合をFRBに預け入れることが義務付けられていますが、この預け入れるべき資金を日々、銀行間で貸し借りする際の短期金利のことをフェデラル・ファンド(FF)金利といいます。
1995年にFOMCがFF金利の誘導目標をアナウンスし始めて以来、これが、現在彼らのもっとも直接的な金融政策の方法となっています。FRBがより高い目標レートを設定するときは「金融引締め政策」、目標レートを引き下げる場合は「金融緩和政策」をとっていると市場からは評価されます。たとえば国内の経済が停滞している場合、FRBは目標レートを引き下げ、建設業、製造業、金融サービス業といった金利に敏感な産業によい刺激を与えます。
ただし、FOMCはあくまでFFレートの目標レートを変更させているだけで、直接金利を動かしているわけではありません。しかし、この変更は、結果的に当座預金、普通預金、定期預金、マネーマーケット口座の金利など他の短期金利に影響を与える連鎖反応を引き起こすのです。実体経済と長期金利がどの程度市場環境にとって良い方向へ動くのかは、FRBの方針変更に大きく依存しているといってよいでしょう。
FRBにはその他にも金融政策の「常套手段」があります。例えば、公定歩合(連邦準備銀行が金融機関に課す短期ローンの利率)の操作です。FRBが公定歩合を変更することにより、金融機関の借り入れや投資活動を抑制あるいは奨励する役割を果たします。また、加盟銀行の支払準備金(連邦銀行に積み立てを義務つけられている資金)の割合を変更したりもしますが、最近この金融政策手段を使う頻度は少しずつ減少しています。
さてこのように金利の反転が噂されている中で、皆さんはどう行動したらよいのでしょう?バンガードでは、十分に分散されたポートフォリオを作成することをオススメしています。そうすることによって、インフレ・リスクを含めた個々のマクロ経済リスク要因を最小化し、米国経済の将来の方向性に対する恣意的な賭けを排除するのです。またそのポートフォリオの中で、今後2年間のうちに必要になる資金は、元本を維持するために定期預金などの安全性の高いものに投資すべきでしょう。株式や中長期の債券市場は、短期金利の変動リスクに大きく影響を受けるため、短期に必要なお金の運用には向きません。-----
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