世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)
多くの債券投資家が、最近の金利上昇やそれに伴う債券価格の下落を懸念しています。このままこのトレンドが続けば、債券や債券ファンドにはどの程度の影響があるのでしょうか?
過去10年間における様々な市場トレンドのパターンから、米国内で金利が上昇期間にあった12ヶ月間の米国内債券に着目し、そのトータル・リターンをそれぞれ短期債、中期債そして長期債に分けて表した2つの例があります。1つは1993年11月から1994年10月のリターンで、もうひとつは1998年11月から1999年10月のリターンです。
1993年11月からの12ヶ月においては、短期、中期、長期債のリターン水準はそれぞれ、-0.2%、-5.5%、-10.7%でした。1998年11月からの12ヶ月は、+2.3%、-2.6%、-6.5%で、どちらの期間においても年間のトータル・リターンの下落は、長期債が最も大きなものとなっています。(参照:リーマン・ブラザース)
一般的に長期債の債券価格(すなわち長期債ファンドの基準価格)は、金利の上昇の影響をより受けやすいといえます。長期債の場合、分配金や元本のかたちで投資家に回収される資金の多くが、実際にはかなり先の時点での話となり、それら受取り時期を考慮して評価された現在の債券価値(価格)は、短期債や中期債のような償還期間の短い債券よりも金利の変動に対して敏感なのです。
ただし、債券市場の下落は長期の債券投資家にとって、必ずしも悪いことばかりではありません。それは高い利回りが期待できるからです。つまり金利が上昇すると保有していた債券からのインカム収入や償還金をより高い利回りの債券に再投資できるため、債券価格の下落によって被ったポートフォリオのダメージを再投資からの高い利回りで徐々に回復させる効果があるからです。過去の出来事から必ずしも将来を予測できるわけではありませんが、過去の債券の下げ相場では、利回りの上昇が債券価格の下落を補う働きをしていることがわかります。
また、株価と同様、債券のリターンも常に反転する可能性があります。実際ある米国長期債の1994年10月までの12ヶ月のリターンは-10.7%でしたが、その後の12ヶ月ではなんと26.2%のリターンを出していました。
後編では債券投資について、覚えておきたい教訓をお届け致します。
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