金利の上昇は、あなた自身のポートフォリオにどのように影響するのでしょうか?(その1)

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

金利の上昇は、あなた自身のポートフォリオにどのように影響するのでしょうか?(その1)

 メディアの多くは金利の上昇がどのように市場に影響するかに注目しています。1994年の連邦準備制度理事会(FRB)による長期金利の引き上げがその後の米国債券のトータル・リターンにネガティブな影響を与えたこともまだ記憶に新しいところです。

 金利の上昇が投資家の資産へもたらす潜在的なインパクトと投資家のすべき対応について、バンガードの投資調査部長キャサリン・ゴードン氏、チーフ・インベストメント・オフィサー兼マネージング・ディレクター、ジョージ・ソーター氏、ウェリントン・マネージメント社ポートフォリオ・マネージャー兼バイスプレジデント、エドワード・ボーサ氏、同じくシニア・バイスプレジデント、ポール・カプラン氏らが意見交換をしました。

 今週、来週にわたって、その模様をお伝えしましょう。

 「債券投資家は金利の上昇による一時的な影響をある程度は受けるでしょうが、1994年の利上げ時のような米国債券市場の混乱が再び起こるとは考えにくいと思います。」カプラン氏は、これまでFRBは、1994年のような債券市場の過剰反応を回避するために積極的な意思表示をしてきたと指摘しています。

 ここで誤解のないように申し上げておきますが、FRBが直接金利をコントロールすることはありません。あくまで市場の需要と供給が債券価格と利回りを決定づけます。FRBは加盟銀行間で資金を貸し借りする際の短期金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を上下させることで金融市場に連鎖反応を与えるのです。

 続いて、運用資産ごとにもう少し詳しく見ていきましょう。

 債券:痛みの後の報酬

 一般的に言えば、金利が上昇する場合、債券価格は下がります。より高い運用利回りの新しい債券が買われるために、既存の債券は安い価格で売られます。しかし、債券の種類によって価格の下落幅も違ってきます。例えば満期の長い債券の価格は、金利の動きにより敏感な傾向にあります。

 カプラン氏は「デュレーション」が債券や債券ファンドの金利感応度を測る最良の指標であると述べています。「デュレーションが3年で、金利が100ベーシス・ポイント(1%)上昇すると、元本は3パーセンテージ・ポイント腐食されます。この数字を大きいと感じるか、あるいは小さいと感じるかは人それぞれですが、私自身はそれほど大きいとは思いません。元本の価格変動に関しては、投資家の主観によるところが大きいといえます」

 「債券ファンドを保有している投資家は、自分は「貸手」で、高い運用利回りを得るためには実は金利の上昇は望ましいということを忘れがちです。高い運用利回りを得るためには一時的な痛みを伴うかもしれませんが、長い目で見ると投資家にとっては利益があるのです」

 さらにゴードン氏は次のように述べています。「数年以内に資金が必要である場合、投資目標と投資予定期間がそれに合っていなければ、投資家は金利の上昇による損失を被るでしょう。しかし、投資予定期間が保有債券のデュレーションより長い場合(多くの人が退職後などの長期目的で投資しているかと思いますが)高い運用利回りとクーポンの再投資で元本の減少を十分に補うことができると思います。」

 次回は、株式についてお伝えしましょう。

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