金利の上昇は、あなた自身のポートフォリオにどのように影響するのでしょうか?(その2)

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

金利の上昇は、あなた自身のポートフォリオにどのように影響するのでしょうか?(その2)

 先週に引き続き、金利の上昇が投資家の資産へもたらす潜在的なインパクトと投資家のすべき対応について、識者の意見を聞いてみましょう。

 株式:景気循環と複雑に関連

 金利の上昇が株式に及ぼす影響は、他の運用資産よりは明確ではありません。「通常、景気が回復すると金利は上がります」とボーサ氏(ウェリントンファンドの運用マネージャー)は言います。「しかし金利が上がること自体が問題なのではありません。金利の適度な上昇は株式市場や経済に悪影響を及ぼすとは言い切れないのです。これは景気回復初期に通常生じる現象なのですから。」
 ソーター氏(バンガードのCIO兼マネージング・ディレクター)は、景気循環の過程で状況は変わると指摘しています。「経済が過熱し、FRBがインフレを懸念して金利を上げようと引き締め政策に動くのは、株式や債券にとってはマイナスの要因となります。しかし、現在我々は景気循環の後半にはおらず、この局面での金利の上昇は健全な資金需要の表れであるため、FRBがインフレの息の根を完全に止めてしまう意図を持っているとは考えにくいでしょう。」

 最も金利の上昇に影響を受けやすい投資銘柄について、ソーター氏は、「景気循環株(景気変動の影響を受けやすい株式)」は景気回復初期に最も恩恵を受ける傾向にあるが、「着実な成長企業の株式」は景気循環の後期にはマーケットリーダーになりうると指摘しています。一方で、「同じ景気サイクルは二つとしてありません。現在の景気サイクルが典型的だという確かな保証はないのです。したがって、市場でパフォーマンスのいいセグメントを予想するよりも広く分散投資をするほうが賢明であるといえるでしょう」ともコメントしています。

 (既に分散投資できていれば)現状維持が最良の対策

 金利の上昇に備えて、投資家はどのようなポートフォリオを構築すべきでしょうか。投資目標や投資予定期間、リスク許容度に応じて分散投資していれば、最良の対策は現状のポートフォリオを維持することでしょう。ポートフォリオが投資家の状況や投資予定期間と合致していれば、その中で債券ファンド(長期債券ファンドを含む)は「インカム収入が株価の変動を補う」という優れた役割をはたすでしょう。

 債券に関して、ソーター氏は次のように述べています。「この時点でポートフォリオの組入れ債券の平均デュレーションを短くするのは逆効果かもしれません。長期債の金利は、既に短期債よりもはるかに高くなっています。これは、債券市場がFRBの金利上昇政策をあらかじめ予想していたため、長期債への影響も僅かであるという可能性が考えられます。投資予定期間が長いのにもかかわらず、短いデュレーションの債券を購入する投資家は、一定のリスクは回避できても運用利回りの恩恵は得られないかもしれません」

 今回集まった専門家から共通して聞かれたのは、投資家がポートフォリオを大幅に変えてしまうことに対する懸念でした。ポートフォリオに手を加える必要があっても、取引にかかる潜在的なコストや税金が与える影響を考慮して、適度な変更に留めたほうが賢明でしょう。金利上昇に伴い債券価格が下がった時、ある投資家にとっては債券を買い増しして目標の資産配分比率に戻すというリバランスのタイミングであるかもしれません。

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