バンガードのチーフ・インベストメント・オフィサー、インデックス運用を語る

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

バンガードのチーフ・インベストメント・オフィサー、インデックス運用を語る

 バンガードのチーフ・インベストメント・オフィサー、ジョージ・U "ガス"ソーターがマネージング・ディレクターとしてバンガードに入社したのは1987年10月、それは歴史的な米国の株式大暴落のわずか二週間前でした。当時バンガードが運用していた唯一のファンドは「バンガード500インデックス・ファンド」。その受託資産は8億2500万ドル(1987年10月末時点)にすぎませんでした。

 今日、バンガードは3500億ドル(約36兆円)以上のインデックス・ファンドを運用・管理しています。業界初の公募インデックス・ファンド、バンガード500インデックス・ファンドは、今や受託資産が1070億ドルの世界最大の投資信託へ成長しました。

(出所:リッパーインク)

 今回は、そのガス・ソーター氏にインデックス運用について語ってもらいます。

 インタビュアー(I):最近のフィナンシャル・アドバイザーによる記事の中には、インデックス運用は「上昇相場だけに通用する投資戦略である」とか、「ベンチマークには勝てない投資手法」などと揶揄するものもあります。それらの批判についてどのようにお考えになりますか?

 ソーター氏(S):私は17年間以上インデックス・ファンドの運用・管理をしていますが、その間インデックス運用に対する根拠のない批判は絶えることがありませんでした。「インデックス運用は下降相場では効果がない」 「インデックス運用はモーメンタム戦略だ」 「インデックス運用は小型株や国際株では機能しない」などという批判はただの雑音だと思ったほうがよいでしょう。 インデックス運用は低コストと分散効果を最大限に活かした投資戦略で、優れたパフォーマンスがそれを証明しています。

 (I):なぜインデックス運用は優れた投資手法と言えるのですか?

 (S): 二つの理由があります。 その一つは、インデックス運用は、投資家が市場リターンを獲得し、投資目標を達成するための極めて合理的な方法であることです。

 そしてもう一つは、相対的な尺度で見てもインデックス・ファンドのパフォーマンスは、長期的にはアクティブ・ファンドをしのぐ傾向にある、ということです。 2004年12月末時点で、S&P 500 インデックスといった大型株ベンチマークの過去10年間の平均リターンは約12.1%でした。それに対し、アクティブ運用の大型ブレンド株ファンドの平均リターンは10.3%。 なんと8割以上のアクティブ運用ファンドがインデックスにアウトパフォームされていたのです。しかも、この期間、市場は大きな上げ相場と下げ相場の両方を経験しています。
(出所:モーニングスター)

 (I):インデックス運用は(効率的といわれる)大型株式市場でのみ機能する、という批判もありますが・・・?

 (S):それはよく耳にする俗説ですが、それが誤りであることはファンドのパフォーマンスを見れば明らかです。私たちはインデックス・ファンドを相対的に評価する際に、次のような方法を用います。モーニングスターのマトリックス表(縦横3本ずつの線で区切られた9つのマス目)を使って米国株式ファンドを投資スタイル(バリュー、ミックス、グロース)と、時価総額(大型、中型、小型)ごとに9つのカテゴリーに分類するのです。たとえば、大型株・バリュー型とか、小型株・グロース型といった具合です。

 そして、各カテゴリー内のアクティブ・ファンドの平均トータル・リターンとベンチマーク・インデックスのパフォーマンスを比較します。そして最後に、ベンチマーク・インデックスより劣後しているアクティブ・ファンドの割合が全体でどれだけあるかを計算します。(S&Pインデックスを使用)

 この方法で2004年12月末までの10年間、ベンチマーク・インデックスとアクティブ・ファンドのパフォーマンスを比較してみると、ベンチマーク・インデックスは中小型株を含めた全てのカテゴリーでアクティブ・ファンドを上回っていることがわかります。

(出所:モーニングスター)

(次週に続く)

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