投資の基本:トータルリターンとは何?

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

投資の基本:トータルリターンとは何?

 ファンドを選ぶ際にまず何を基準にしますか?「ファンドのリターン」と答える投資家も多いと思います。確かにリターンを気にする投資家は多いですが、その数字が実際に何を測定しているのか、また、どのように利用すべきかなどについてはあまり知られていないようです。

 トータルリターンの算出方法は複雑ですが、その基本的な考え方は簡単です。トータルリターンとは、ある一定期間におけるファンドの投資収益率の増減を表しています。その算出にはファンドの純資産価値の増減だけでなく、収益分配金も加味されています。

 従って、分配金を再投資しないファンドを選択している場合、実際のトータルリターンは異なってくるため、注意が必要です。

 トータルリターンの数字をどのように利用するか?
 まず、ファンドを選ぶ際に、同種のファンドや、同一のセグメント内での運用成績を比較することができます。この時、できるだけ長期的に検討することが重要です。決して、1年単位のパフォーマンスだけでファンドを評価しないようにしてください。

 また、過去数年間にファンドのパフォーマンスに極端な変動が起こっていた場合、通期の平均リターンには表れませんが、年次リターンからは知ることができます。例えば、リスクに慎重な投資家は、年次トータルリターンが二桁台も下がったファンドの購入は見合わせることもありうるでしょう。

 さらに、トータルリターンは投資家の目標達成を手助けする役割を果たします。つまり、投資家は保有しているファンドのトータルリターンを見ることで、そのファンドのパフォーマンスがベンチマークと乖離しすぎていないか、投資目標を達成するのに必要十分なリターンが出せているかを確認することができるのです。

 では、トータルリターンの誤った利用方法とはどんなものでしょう?
 ここで大切なのは、トータルリターンは過去のパフォーマンスの反映にすぎないということです。ファンドの過去のリターンは将来のパフォーマンスの保証にはなりません。従って、ファンドを選ぶ際にトータルリターンを「唯一の」基準にすることは避けるべきです。

 また、トータルリターンから判断できないことも色々あります。
 まず、トータルリターンから投資のリスクの程度を完全に判断することはできません。また、トータルリターンには、投資の主要なコストである「税金」やファンドの売買時に発生する「販売手数料」、「解約手数料」が控除されていないことも知っておく必要があります。

 投資家にとって最も重要なこと、それは、トータルリターンだけではそのファンドが「自分に合っているかどうか?」判断できないということです。ファンドを選ぶ時には、長期的な視野に立ち、自分のリスク許容度、投資予定期間、財政環境を考慮した上で、それらの要因を投資目標とコストの観点からよく検討することが大切です。その判断材料としてであれば、トータルリターンは非常に有効な数字であるといえるでしょう。

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