引退資金のポートフォリオについて誤解していませんか?

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

引退資金のポートフォリオについて誤解していませんか?

「引退資金のポートフォリオについて誤解していませんか?」

 引退後、これまで貯めてきた退職資金に手をつける前に、ポートフォリオの資産配分が現在の状況に合っているかどうかを確認してみましょう。一部の投資家は退職資金のポートフォリオに関して誤った認識を持っています。その中でも代表的な三つの誤解をご紹介しましょう。

誤解その1 退職者には、株式投資はリスクが大きすぎる
 これは必ずしもそうとは言い切れません。退職前の時点で、ポートフォリオの株式の割合が適切であれば、退職後も引き続き一定の株式を保有しておくことをおすすめします。退職後の生活は20年から30年におよぶ可能性もあります。その間、株式投資から得られるリターンによって資産の成長が見込めるかもしれません。また、年齢を重ねると投資家はより保守的になる傾向にあるため、意識して配分する必要があるでしょう。

誤解その2  債券投資はクーポン収入が期待できるので、退職者にとっては最      適の投資である
 確かに退職した投資家にとって債券のクーポン収入は重要な収入源です。債券を組入れることによって、ポートフォリオにバランスをもたせ、分散化させる効果も期待できるでしょう。しかし、退職者は将来の「インフレ率の上昇」に備える必要があり、それには資産自体の成長が見込める株式投資、あるいはインフレ連動債等への投資も考慮すべきでしょう。

誤解その3 リスクを回避するために、短期金融商品のみに投資すること
 MMFや定期預金のような短期金融商品のリターンは比較的安定しており、リスクが少ないといわれています。したがって、これらは一時的な資金あるいは緊急資金として保有するには適しているかもしれません。しかし、長期的にみると短期金融商品がインフレの上昇分をカバーすることは難しく、さらにこれらの分配金・利金は債券よりも少ない傾向にあるため、資産の大部分を短期金融商品に置いておくことはおすすめできません。

インフレに備えましょう
 上に述べた三つの誤解を見ますと、引退後の生活とインフレ率の上昇を切り離して考えるのは難しいことがおわかりになるかと思います。インフレ率が年間わずか3%上昇(1986年~2003年のインフレ率全米平均)*しただけで、今日4万ドルの物を20年後に買おうとすると、およそ7万2000ドル払わなければならない計算になります。

 もちろん、インフレは退職資金に向けたポートフォリオの資産配分を考える際の一つの要因でしかありません。株式も債券も短期金融商品も、それだけでは最適なポートフォリオを作ることはできません。退職した人のみならず、まだ若い人も含めて、すべての投資家のポートフォリオには、成長性、収入、安定性を兼ね備えたアセットクラスをバランスよく配分し、市場の変動による影響をできる限り抑えることが必要なのです。

*出所:「消費者物価指数」米国労働省労働統計

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