長短金利と債券のリターン

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

長短金利と債券のリターン

 2004年の米国債市場は、「金利上昇」と「債券市場の下落」という大方の予測に反し、好調な1年だったといってよいでしょう。短期債の利回りは上昇しましたが、一方で長期債の利回りは低下し、その価格は上昇しました。 「短期金利が上昇するときには長期金利も上昇し、その際、よりデュレーションの長い長期債ほど価格が下落する」という市場の一般常識が、2004年においては当てはまらなかったわけです。

 このため、価格下落を予想して長期債を手放した投資家にとっては手痛い年になったはずです。たとえば、2003年の終わりに、平均的な米国中期債に1万ドル投資したとすると、2004年のトータル・リターンは3.85%(ドルベース)でしたので、2004年末には10,385ドルになっていたはずです。ところが、多くの専門家の予想にしたがって、2004年6月にドルMMFに資金移動した場合のトータル・リターンは0.35%で、金額にして10,035ドルとなり、前者と比較しておよそ350ドルの差が生じたことになります。(リッパーインクのデータをもとに単純試算。本文中の数値は特定の投資の具体例ではありません。)
 それでは2005年の債券市場はどうでしょうか? 専門家の何人かは、ドル安とインフレの影響により、ほぼすべての年限にわたって、債券のトータル・リターンは今年下落する傾向にあると予想しています。ただしその一方で、現状維持を予想する専門家もいます。実際、債券利回りはインフレ予測や、米国の貿易・財政赤字、石油価格の上昇、就労率の増加や賃金上昇などといった、実に多くの要因に影響されるため、正確な予測をするのは非常に難しいのです。
 市場の予測に左右されるのではなく、ご自分の投資目標や投資予定期間に合った投資商品を選ぶべきです。 たとえば、2年から3年といった短期的な投資目標に適しているのは、金利の変化の影響が比較的少ない短期債やMMF、MRFでしょう。

 対して、引退資金などの長期的な目標のためには、中長期債に投資するファンドがよいでしょう。 現在の金利水準が上昇傾向にある場合でも、長期でファンドを保有することができれば、ファンドが保有している債券からのインカム収入を、より高利回りの債券に再投資できるため、債券価格の下落に伴うファンドの損失は徐々に相殺されていきます。

 市場の金利がどのように動いても、投資目標に合った債券を保有していれば、市場の憶測にも惑わされずにすみます。ご自分の投資予定期間に合わせて投資決定を下すことが重要です。金利の変化は債券市場で日常的にみられることであり、それに一喜一憂する必要はないのです。

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