行動ファイナンス

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

行動ファイナンス

 「長期的な継続投資は、資産形成のための極めて合理的な方法である」という意見に納得している人は多いはずです。しかし、合理的だと知っていながらもなかなかそれを実行に移すことができないのはなせでしょうか?

 実はそのような疑問を解くための調査研究がおこなわれています。
 たとえば、行動ファイナンス学は、経済学の合理的な側面と、認知心理学で説明される人間の感情とを融合した、今注目されている比較的新しい領域の学問です。
 また、神経科学の分野では、どのようにエンジニアやファイナンシャル・アドバイザーなどの人たちが、一般の人が苦手とする長期のプラン策定(たとえば、30年先の退職に備えた資金プラン)に対処しているのか、彼らの脳の機能との関連性からの研究がなされています。

 バンガード退職年金制度研究センターのスティーブ・アトカス氏もその研究者の1人で、米国における行動ファイナンス学の専門家ですが、このような「人の行動」に関して次のように述べています。
 「人はお金に関して合理的な判断をしていないわけではないのです。しかし、その実践においては心理的な要因が邪魔しているといえます。それは「惰性」や「先延ばし」であり、これらが合理的な人の意思決定を歪めているのです」
 特に、計画性がない、退職資金の準備を全くしていないという人にとって、最も大きな障壁は「惰性」でしょう。例えば、米国のある企業の投資セミナーの出席者に「401kプランに加入するか」と尋ねた調査結果があります。米国では企業リタイアメント・プランへの加入は任意ですが、セミナー終了後、プランに加入していなかった人の全員が「加入する」と回答しました。しかし6ヵ月後に再び調査を行ったところ、実際にプランに加入したのは「加入する」と答えた人のうちわずか14%だったのです。残りの人たちは当初合理的な意思決定をしたにもかかわらず、時間の経過とともに「惰性」が働き、行動に移すまでに至らなかったのです。

 全ての人間が積極的で、的確な意思決定ができるわけではありません。また選択肢が多いことがかえって決断の「惰性」や「先延ばし」につながることさえあります。今後、政府や関係金融機関はそのことを考慮に入れながら、よりよい退職プラン・サービスを整備・構築していく必要があるのでしょう。-----
EXTENDED BODY:

マネックスからのご留意事項

「バンガード・海外投資事情」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧