行動ファイナンス

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

行動ファイナンス

 退職資金をいかにして貯めていくか、という話はよく聞きますが、今回は「どのようにして引き出していくか?」について二つの方法をご紹介したいと思います。それぞれの方法にはメリットとデメリットがありますので、どちらを選ぶかはご自身の判断によります。

 どちらの方法も収入を得るために投資資産を売却することを前提としています。これは、再投資した利子や配当金、キャピタルゲインだけでなく元本も含みます。退職を迎えた投資家の中には、投資資金の元本を売却してしまうのに躊躇する方も多いと思います。もちろん慎重になることは重要ですが、これまでコツコツと積立てし、投資をしてきたのは引退後の生活に備えてのことではないでしょうか。だとすれば、その資金を使い始めるのは、引退を迎えた今だといえるでしょう。

 引退資金は、1年に一度か二度に分けて売却し、MMFなどの換金性の高い金融商品に替えておくことをお勧めします。(この時、税金を考慮することを忘れないでください)換金した資金を入金する口座は、社会保障や年金の受け取り口座としたり、緊急用の口座に預けたりすることもできます。

 一つ目の方法は、最初に引き出し金額を決めて、その後はインフレ率を調整していく方式です。(もし、この世にインフレが全くなければ、毎年の引き出し額は同じになりますね。)

 二つ目の方法は、毎年の引き出し時点の「時価」総額から一定の割合で取り崩す方式です。(本文中の例では税金を考慮していませんが、実際には税金も考慮に入れる必要があるでしょう)

 ここでは、二つの支払い方法を選んだAさんとBさんの3年間の引き出し額を例にあげて比較してみましょう。

 まず、一つ目の方式を採用したAさんは全体の資産60万ドルのうち、事前に計画していた支出分10万ドルを差し引いて、50万ドルから年に3%を基準に引き出すことにしました。

 1年目にAさんは資産の3%にあたる1万5000ドルを引き出しました。
 2年目は、インフレ率が4%だったため、前年の1万5000ドルをインフレ調整した1万5600ドルを引き出しました。
 3年目はインフレ率が5%だったため、前年の1万5600ドルをインフレ調整した1万6380ドルを引き出しました。

 この方法のメリットは、収入がインフレ調整されること、キャッシュフローが比較的予測可能である、ということでしょう。

 次に二つ目の方式を採用したBさんの例をみてみましょう。BさんもAさん同様、50万ドルの資産を年5%づつ引き出すことにしました。

 1年目、Bさんは資産全体の5%にあたる2万5000ドルを引き出しました。 2年目には、資産の時価が53万ドルに増えていたため、その5%にあたる2万6500ドルを引き出しました。
 3年目は、資産の時価が45万ドルに減っていたため、前年より15%以上少ない2万2500ドルを引き出しました。

 2番目にご紹介した方法は最初の方法と比べて、収入の金額に変動はあるものの比較的容易にできます。この方法によると、市場の上昇時には引き出し金額が増え、下落時に減る傾向があります。

注:本文中の数字は特定の投資成果を表すものではありません。また過去の実  績は将来のリターンを保証するものではありません。

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