世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)
貯蓄や投資の目的を尋ねられた時、多くの米国人は「老後の資金のため」と答えるそうです。
しかし意外なことに、最近米国で行われた調査によると「引退資金を貯めるのに最も効果的な手段」といわれる個人退職金貯蓄(IRA)がほとんどの世帯で有効に活用されていないことが明らかになりました。
米国投信業界の全国組織である投資会社協会(ICI=Investment CompanyInstitute)が2006年1月に公表した報告書によれば、米国の70%以上の世帯は税金が優遇された何らかの退職貯蓄口座を保有していますが、IRAに加入している世帯は全体のわずか41%に過ぎません。IRAに加入した人の方がしていない人に比べて、平均すると貯蓄額が多かったという事実にもかかわらずです(ICIによれば2005年度では6倍)。さらに悪いことに、IRAの加入者のうち実際に拠出をしたのは少数で、例えば2004年度では全体の加入世帯のうち60%以下でした。
「IRAは、米国人にとって非常に心強い退職金貯蓄制度です」とバンガードのリサーチ・アナリスト、ジーン・A.ヤングは言っています。「もし勤務先が企業年金プランを提供していなかったり、あるいは企業年金プランに加入しているが、その掛け金が限度額に達しているのなら、貯蓄額を増やすためにもIRAへの加入を検討してみてください」
それでは、参考までに米国のIRAについてもう少し見ていきましょう。
米国の一般の投資家がIRAを選ぶ時、従来のIRAもしくはロスIRAという二つの選択肢があります。どちらも税制上の優遇措置がありますが、それぞれの特徴は異なっています。
伝統的なIRAは課税が繰り延べされるので、加入者には引退後の年金引き出し時まで運用収益に対する課税がありません。そして、年金を引き出すころには、おそらく低税率区分に属しているでしょうから、結果的に課税額は低く抑えられます。その上、拠出金の一部もしくは全部が拠出時の課税所得から控除されます。
一方、ロスIRAは伝統的なIRAとは異なった特徴を持っています。現在の拠出金の所得税控除を受けることはできませんが、運用収益の課税は繰り延べされ、引退後の年金引き出しも非課税です。引退後に高い税率で課税されることが予想される加入者にとっては特に有利だと言えるでしょう。
どちらのタイプのIRAを選択しても、複利の効果の恩恵を受けられます。運用収益を再投資し続けることで資産形成を後押ししてくれるのです。
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