世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)
プリンストン大学教授でエコノミストのバートン・G.マルキール氏は、彼の古典的な投資の名著「ウォール街のランダム・ウォーカー」の中で、傘メーカーとゴルフコース経営会社の両方に投資する投資家の例をあげて、分散投資の効果を説明しています。
雨の多い時期には傘メーカーが利益を上げ、ゴルフコース経営会社からは損失が発生します。反対に晴れの続く時期にはゴルフコース経営会社が利益を上げ、傘メーカーの利益はマイナスです。投資家はそれら会社の片方だけではなく両方に投資することで、天候に左右されず、常にプラスのリターンを得ることができるというものです。
この話のポイントは、市場の変化に対して、お互い相反する動きをする投資資産を複数保有することで、市場からのリスクが抑えられ、長期的なリターンをより高めることが可能になるということです。
これは決して目新しい考え方ではありませんが、多くの投資家が未だこれを無視しています。そういった方は、まず次の単純な二つの投資原則、「バランス」と「分散」を理解する必要があるのです。
適切なバランスを維持すること
「バランス」または「アセットアロケーション」とは、自分の投資目標、投資予定期間、リスク許容度に応じて、主要なアセットクラス(株、債券、短期金融商品)を適切な割合で保有するということです。最近人気のバランス型ファンドとは、ひとつのファンドでいろいろなアセットクラスを保有しているものです。
株式と債券の価格は異なる動きをする傾向があるので、(両方保有することで)相互のパフォーマンスを補完するバッファー作用があります。1996年以降の米国市場では、債券価格と株式価格は逆の方向に動いています。
これら2つのアセットクラスのコンビネーションは、債券のみのポートフォリオより高い長期的な潜在リターンが期待でき、株式のみのポートフォリオより価格の変動を緩和することができます。
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