あなたのポートフォリオは全天候型ですか?(後編)

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

あなたのポートフォリオは全天候型ですか?(後編)

前編では2つの投資原則のうち「バランス」について触れましたが、これだけでは十分とはいえません。

 個別アセットクラス内での分散

 ポートフォリオにはいろいろなタイプの株式や債券を保有したほうがよいでしょう。言い換えると、なるべくリスクを減らしたいという投資家は、アセットクラス間の分散同様、個別アセットクラスの中でも分散を進めることをおすすめします。

 一般的に個別の株式や債券は「アンシステマティック・リスク(個別銘柄リスク)」あるいは「企業リスク」と呼ばれるリスクに曝されやすいといわれています。これらはある企業の不祥事や業績の悪化などが原因でその株価が下落するというような銘柄固有のリスクを指します。複数の銘柄で構成される投資信託に投資することは、この個別銘柄リスクを低減できる簡単な方法のひとつで、個別銘柄の変動による影響の緩和が期待できます。

 アセットクラスを構成する銘柄が複数のセクターや時価総額規模で分散されていれば、少数の銘柄を保有しているだけでも企業リスクを避けることができるでしょう。もし、銘柄の特性が類似しているのなら、それらのパフォーマンスもまた似たような動きをすることになり、たとえ何百もの銘柄を保有しても十分に分散できていないかもしれません。

 たとえば米国のナスダック100のインデックスを例にあげてみます。 2006年5月の時点で米国市場がほぼ回復したのにもかかわらず、ナスダック100は2000年以前の時価総額のおよそ半分しか回復していません。ナスダック100の構成銘柄は比較的値動きの激しいテクノロジー・セクターに属しており、それらの企業の一部は依然として業績が落ち込んだままです。一方、広範囲に米国市場をカバーするインデックスは全ての主要セクターの銘柄で構成されており、その大半の企業は近年業績も好調です。

 分散投資への近道

 投資において「バランス」と「分散」の価値は明らかであるのにもかかわらず、米国でも多くの投資家が実践できていないのはなぜでしょうか。

 「最も大きな障壁は“惰性”です。」とバンガードの投資カウンセリング&リサーチ・グループのアナリスト、ジョン・アメリクス氏は言います。 「米国では、ポートフォリオ全体のバランスや分散投資を考えたりするのが面倒だと考える人が多いようです」(アメリクス氏)

 しかし、ポートフォリオにバランスと分散を取り入れるためには、必ずしも複雑な構築方法を考える必要はありません。たとえばバランス型ファンドに投資することもその解決方法のひとつです。

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