世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)
私たちの経済、とりわけ投資家にとっての最大の敵はインフレです。急激なインフレは株式投資家の所有株の市場価値を下げるばかりではなく、債券投資家にも大きな打撃を与えます。なぜなら品物とサービスの価格の上昇は、債券利子生活者の購買力をも弱めてしまうからです。
原油価格が上昇するなど中長期的に物価上昇リスクが浮上するなか、物価連動国債ファンドにも投資ニーズが拡大してきています。
今回は、日本以上にインフレ・コントロールに苦慮している米国連邦準備制度理事会のインフレ対処法についてお話しましょう。
インフレの抑制は米国政府の経済政策の目標の一つとされています。政府による財政政策(予算や税制の決定)は経済に強い影響を及ぼしますが、インフレの抑制は米国の場合、その重要な役割をFedと呼ばれる連邦準備制度理事会が担っています。
Fedの任務のうち投資家に最も影響を与えるのは、政府機関債を計画的に売買し金利を変動させることによるマネーサプライ(通貨供給量)の管理です。マネーサプライの管理とは、単に通貨の発行量を調整するだけではありません。通貨はマネーサプライの要素の一部にすぎず、むしろ定期預金、普通預金、貯蓄性預金などのほうがより大きな部分を占めます。ではその方法とは実際どのようなものでしょうか?
● 財務省債の売却
経済が急速に成長しインフレが懸念されると、Fedは手持ちの米財務省債を売却する措置をとります。個人投資家や機関投資家がそれらの債券を購入することで通貨の流通量が減少し、それによって金利が上昇方向に向かい経済成長を抑制する役割を果たします。一方、Fedが、景気が停滞気味であると判断すると、国債を買い戻し、通貨の流通量を増加させ金利が下がるようにします。
● フェデラル・ファンド・レートの誘導目標の設定
Fedは、フェデラル・ファンド・レート(FFレート)の誘導目標を設定し金利の調整を行います。FFレートとは銀行間で資金を貸し借りするときの短期レートです。FFレートの変動は、クレジットカード、自動車ローン、住宅ローン、ビジネスローンなどの金利に影響を及ぼします。
● 公定歩合の操作
さらにFedは公定歩合(連邦準備銀行が金融機関に課す短期ローンの利率)を操作することができます。通常はFFレートの調整と歩調を合わせて公定歩合を上下させます。
● 支払準備金の割合の変更
上記の方法の他には銀行に課す支払準備金の割合の変更があります。米国の銀行は保有資金の全てを一度に貸し出すことは認められておらず、一定額の支払準備金を連邦銀行に積み立てることが義務づけられています。Fedが銀行に課す支払準備金の額を比較的低く設定すれば、より多くの通貨が貸し出され市場に流通します。また、Fedが支払準備金の割合を増やすと、金融機関の借り入れが減り、インフレや急激な経済成長を抑制することになるのです。-----
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