「ベンチマークの役割」

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

「ベンチマークの役割」

自分がもっている米国株式ファンドの昨年のリターンが+20%だったとします。そしてその数字が米国株市場全体の過去の平均年率リターンと比べてほぼ2倍だったとしたら得した気分になるかもしれません。しかし、そのファンドが実は大型株式に投資しているファンドで、その大型株のリターンを表す代表的な指数のS&P500インデックスが、昨年仮に約29%も上昇していたとするとどうでしょう? 20%の数字もそれほど良くはないかもしれません。

このようにファンドの過去のリターンだけを単純に見て、そのファンドの良し悪しを判断するのではなく、それに対応したベンチマーク・インデックスのリターンと比較してみるべきです。

一般に米国では、ファンドのパフォーマンスを測定する目的で、「マーケット・インデックス」と「ピア・グループ平均(同種の商品性格を持つファンドグループの中での平均値)」の二種類のベンチマークが用いられます。

マーケット・インデックスは、市場全体か、あるいはそのなかの特定セグメントのリターンを反映します。例えばS&P500インデックスは500種の米国大型株式で構成されています。

ピア・グループ平均は、よく似た投資目標と投資方針を持つファンドグループのリターン平均を測定します。例えばリッパー社の「大型成長株」平均は、大型成長株ファンドのパフォーマンスの動きを表わします。リッパー社とモーニングスター社はピア・グループ平均の代表的なデータ提供者です。

最後に、これはよく言われることですが、ファンドの過去の運用成績は将来の結果を予測する指標とはなりません。過去のリターンはファンドを評価する要因の一つにすぎないのです。またファンドの過去のリターンを見る時は10年単位の長い期間のデータを参考にしたほうが良いでしょう。

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