引退のための投資に関する5つの誤解(その1)

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

引退のための投資に関する5つの誤解(その1)

 米バンガードのウェブサイトでは、ポッドキャストを通じ、色々な投資アドバイスを聞いていただけます。今日は、その模様をご紹介しましょう。- 本日はバンガードの投資カウンセリング&リサーチグループの責任者、エレン・リナルディ氏に引退後のための投資に関するいくつかの誤解について伺います。まず、かなり一般的な思い込み「自分は引退に備えた投資を始めるのには遅過ぎる」から始めてみたいと思います。これをどのようにお考えですか?
 リナルディ氏: どのような場合でも貯蓄し始めるのが遅すぎるということはありません。できるだけすぐに始めるべきです。もちろん最も良いのは、働き始めた時に401Kプランや退職年金プランに加入したり、自分自身で貯蓄を始めることです。なぜなら20代や30代で貯めた1万ドルと40代や50代で貯めた1万ドルでは、60歳や65歳になった時に複利の効果でその価値が大きく変わってくるからです。

- 50代になるまでに始められなかったらどうなるでしょうか?どのようにすれば追いつけるのでしょうか?

 リナルディ氏: 今、40代から50代にいる人、特に50代で、引退資金を蓄えることに関心が高い人は、考慮すべきことがいくつかあります。まず、401(K)に加入しているなら、その拠出金額を限度額いっぱいまで引き上げることです。(編集注:従業員側も積立てができる米国401(k)の場合です。)

- 引退に備えて貯蓄するとき、出遅れた投資家の中には別の「誤解」に固執する人もいます。例えば、エマージング株中心のポートフォリオにするなどの積極的な投資アプローチによって、出遅れた分を補おうというものです。あなたはこのアプローチのマイナスの側面について述べておられますね。

 リナルディ氏:出遅れた人々がやりがちなのは、過去の時間の埋め合わせをしようとすることです。そういう人は、50代になって引退に十分な貯蓄がないとわかると、株式市場で多めのリスクをとるのが必要な資金を確保するための最善の方法だ、と思うようです。

 もちろん中にはそうした戦略が適した人もいるでしょう。しかし、それに伴うリスクの程度をよく理解しておく必要があります。必要以上に大きなマーケットリスクに曝されることになり、そのリスクと引退までの時間とのバランスに問題が生じることがありえます。

 たとえば、引退を目前にした58歳の時に株式市場が下落したとして、その時に保有している株式の割合が非常に高かったらどうなるでしょうか。結局、十分な蓄えがないまま引退しなくてはならず、次のように自問するのではないでしょうか?「自分はもっと働いて、もっと蓄えて、もっと節約しないといけないのだろうか?」と。

- 多くの人々が信じているもう一つの「誤解」は、引退資金は10年か20年もてばいい、ということです。米国の平均余命から見ると、65歳の夫婦の1人が85歳まで生きる確率は72%、95歳まで生きる確率はおよそ20%と言われています。このように寿命が長いとその分、引退資金を維持すべき年数も長くなるということです。

 リナルディ氏:引退資金をどれくらいもたせるべきかを検討するとき、考えなければいけないことの一つは、家系からみたあなたの寿命です。もし長生きの家系であれば、医学の進歩も考慮すると80歳や90歳、もしかしたら100歳近くまで生きられるかもしれません。そうなれば10年や20年ではなく25年から30年は維持できるような退職資金の計画をたてなければなりません。

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