世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)
新年明けましておめでとうございます。昨年の投資環境は本当に厳しく、大きな痛みを伴うものでした。でもこの痛みによって、バンガードは長期投資の道から外れるつもりはありませんし、投資家の皆様も是非そうあって頂きたいと思います。バンガードが提唱する「長期・分散・低コスト」での投資を通じて、皆様の長期的な資産形成のお役に立てることを願っております。
今回は"シンプルな投資法:第三回 正しい投資先の選び方とは?"の後半として「ファンド選びの3つのステップ」についてご紹介致します。
●ステップ1:アセットアロケーションを決めましょう
アセットアロケーションという言葉を聞いただけで身構えてしまう方もいらっしゃることと思いますが、ご自身の投資目標や性格、リスク許容度から株・債券・短期金融商品等への投資比率を決めることです。バンガードや経済学者の調査でもアセットアロケーションの決定は長期での投資成果に最も影響を与えるという結果も出ていますので、アセットアロケーションの決定は大変重要なステップです。例えば、投資目標までの期間が長い方は株式への投資比率を高めに、間もなく引退を迎える方は株式への比率を下げるなどご自身の状況に合わせてアセットアロケーションを組まれて下さい。
●ステップ2:インデックス運用とアクティブ運用の比率を決めましょう
さて、次に決めることは、インデックスファンドに投資するか、アクティブファンドに投資するか、またはその両方に投資するか、ということになります。どちらかを選択しなくてはいけないということはありません。
アクティブファンドとは市場平均を上回るリターンを目指して運用マネージャーが株や債券を個別に選別して運用されるファンドです。一方、インデックスファンドとは市場の指標(インデックス)と一致する動きを目指して運用されるファンドです。ニューヨークダウ平均や日経平均といった指標はよく耳にされると思います。こういった指標と同じ動きを目指して運用されるファンドがインデックスファンドになります。
市場平均を上回るパフォーマンスを目指すアクティブファンドは、非常に魅力的に映ると思います。ただ、専門家の研究や過去数十年の市場のパフォーマンスを振り返ると、長期では半分以上のアクティブファンドが市場平均以下の結果で終わっています。なぜならファンドの運用には"コスト"が掛かります。とりわけアクティブファンドはどの株や債券に投資すべきかの情報収集や投資判断をするためにより多くのファンドマネージャーやアナリストを雇う必要があります。また頻繁に銘柄を入れ替えると売買コストも膨らみます。これらのコストが結果として投資家が最終的に手にするリターンを減少させるのです。インデックスファンドもコストが掛かりますが大抵のファンドは安く抑えられています。目標とするインデックスの構成銘柄を買うので銘柄選別をする必要がないこと、頻繁な銘柄入れ替えがないので売買コストが低く抑えられることが理由として挙げられます。
両方に投資すればインデックスとアクティブの両方のメリットを享受することが出来ますので、それぞれのファンドのメリットとデメリットを理解した上で投資比率を決めて下さい。
(2008年6月2日掲載第274回マネックスメール「インデックスファンド VS アクティブファンド、あなたはどっち?
(http://lounge.monex.co.jp/pro/vanguard/)」に更に詳しい説明がありますのでそちらも是非ご覧下さい。)
●ステップ3:"コスト"を基準に個別のファンドをよく見比べてみましょう ファンドを選ぶ際、コストは判断材料の鍵となる要素です。長期では低いコストがパフォーマンスを引き上げる大きな要因となるという調査結果も出ています。(出所:バンガードインベストメントカウンセリング&リサーチTheCase for Indexing, 2008)まず「目に見えるコスト」としてはファンドの信託報酬や申込手数料が挙げられます。また、「見えにくいコスト」としてはファンドに組入れられた証券の売買手数料などが挙げられます。証券売買の頻度は回転率で表されますが、この回転率が高いということはその分売買手数料が掛かっているということになります。一般的にアクティブファンドの方が回転率が高くなる傾向があり、回転率が100%以上というアクティブファンドもあります。バンガードのトータル・ストック・マーケット・インデックスファンドを例に挙げますと回転率は4%(2007年12月末時点)と低く抑えられています。長期に亘ってこれらのコストが積み重なると最終的に手にするリターンの総額も大きく異なってくる可能性がありますので、コストには是非注意を払って頂きたいと思います。
ファンドを選んでいると、選びきれないほど多くのファンドがあることに気付かれると思います。ただバランスよく分散投資を行うことは必ずしも数多くのファンドに投資することではないということは覚えておいて下さい。様々な地域の株や債券などの資産に幅広く分散投資しているバランス型ファンドを選んで投資をすれば、たとえ1つのファンドでも分散投資が可能になるのです。
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