バイ・アンド・ホールド戦略の終焉?

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

バイ・アンド・ホールド戦略の終焉?

最近の米国では、一部のファイナンシャルニュース・ネットワークのコメントや投資関連のブログの書き込みで「バイ・アンド・ホールド(長期保有)戦略は、昨年の金融市場の混乱で、燃え尽きて消滅してしまった」と揶揄されています。この発言は非常に挑発的で誤解を招くものです。

 「バイ・アンド・ホールド」という言葉は広く用いられていますが、その解釈は一つではありません。「バイ・アンド・ホールド戦略は消滅した」という主張では「バイ・アンド・ホールド」は「買ったら、忘れる」と同義で使われています。その場合、市場が変動してポートフォリオが目標とするアセットアロケーションから逸れてしまったとしても、投資家は何もせずにポートフォリオを保有し続けることになります。

 「バイ・アンド・ホールド」の二つ目の解釈は「道から逸れない」ということです。この考え方はバンガードの主張とその投資戦略の中で生き続けています。バンガードのバイ・アンド・ホールド戦略では、市場の変動によってポートフォリオが変化した場合、リバランスを行い、比重が大きくなりすぎた資産クラスを売却し、逆に比重が小さすぎる資産クラスを買い増しし、当初のアセットアロケーションに戻します。

 「バイ・アンド・ホールド戦略は消滅した」という主張の多くは、マーケット・タイミング戦略が現在の投資環境下において唯一の実用的な投資アプローチであるとして、長期投資戦略に対して否定的です。一見もっともらしく聞こえますが、サブプライム危機の兆候が見えてきた2007年後半の時点で、あるいは大手投資銀行のベアー・スターンズが経営危機にあった2008年3月頃でさえ、マーケット・タイミングを読める俊敏なトレーダーならば差し迫った株式市場の崩壊という最悪の事態から自分が運用するポートフォリオを守る時間はあったはずです。

 つまり、こうした議論の多くは後づけの見解であるということです。マーケット・タイミング戦略が有効であるという論拠をリアルタイムで見つけるのは難しいでしょう。MSCIとモーニングスターによると、2008年、守りに転じたアクティブ・ファンドのパフォーマンスは市場全体を平均で1.7パーセンテージポイントも下回りました。もちろん、市場を上回ったアクティブ・ファンドもありましたが、その数はアクティブ・ファンド全体の半数にも満たず、これは過去の実績*とも一致しています。(*出所:バンガード社)

 一方、バンガード・ウェリントンファンドは株式と債券の両方に投資する投資信託として1929年に運用を開始しました。このファンドは、大恐慌、1970年半ばの長い弱気相場、ITバブル、昨年の金融危機といったバイ・アンド・ホールド戦略を脅かすような危機的な市場環境下でも長期保有の戦略の道から逸れることはありませんでした。結果的にウェリントンファンドの設立以来の平均年率リターンは8%となっています。

 この投資成果は、ポートフォリオマネージャーの優れた投資判断があったのはもちろんですが、「道から逸れない」ことに徹した結果だといえるでしょう。もちろん、ウェリントンファンドも昨年の金融危機による損失を免れなかったように、バイ・アンド・ホールド戦略をとれば必ずしも損失を回避できるというわけではありません。しかし、私たちの知りうる知識と経験のすべてが、「バイ・アンド・ホールド戦略の終焉」という主張はいずれ消え去り、「道から逸れない」ことこそが今後も存在し続ける有効な投資アプローチであると教えてくれています。

 「道から逸れない」ために、リバランスは重要です。 関連コンテンツはこちら。
http://www.vanguardjapan.co.jp/vanguardjapan/investing/columns/columns_home.cfm?obj_uuid=76415C5C-19D1-A7E3-A5E6-EB52218A7B4C
(バンガード・インベストメンツ・ジャパンのウェブサイトに移動します。)
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