パフォーマンスを追いかけるリスク

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

パフォーマンスを追いかけるリスク

 昨今のように陰鬱な雲に覆われている金融市場では、投資家は「安全な場所」へ避難したいという欲求に駆られがちです。特定の業種のパフォーマンスが良く見えれば、そこに手を伸ばしたくなるのも不思議ではありません。このような誘惑に打ち勝つのは、投資の大きな試練と言えるでしょう。

 マーケット・タイミングを読むのは難しいと言われるのはなぜでしょうか。それは、あるファンドを売って別のファンドを買うには、必然的に「いつ売り、いつ買うか」という二つの難しいタイミングの選択が必要になるからです。(もちろん、何を売り、何を買うか、という選択も重要ですが。)

 例えば、2005年から2007年までの新興市場の株式のパフォーマンスは素晴らしく、2007年のピーク時には約40%のリターンを出していました。ところが、遅れて新興市場に参加した投資家は思わぬ衝撃を受けることになります。ご存知のように、新興株式は2008年に大幅に下落し、全体の時価総額はピーク時の半分以下まで下がったのです。しかし、その時に新興市場から引き上げてしまった投資家は、2009年春の回復期のチャンスを逃すことになります。新興市場の株式リターンは2009年2月末から6月にかけて約54%も上昇したのです。
(出所:MSCIエマージング・マーケット・インデックス)

 歴史の出来事は、過去のパフォーマンスを追いかけるのは勝ち目のない戦略であることを物語っています。しばしば「高く買って安く売る」結果になるからです。もう一つ例を挙げましょう。1999年末の時点で米国株式市場のリターンは5年連続で年率20%以上でした。これに反応した投資家は2000年に米国株式市場に殺到しましたが、その直後に株式は下落し、今度は債券が上昇することになります。1999年12月から2002年9月まで米国債券のリターンは米国株式のリターンを累積で70パーセンテージ・ポイント以上も上回ったのです。(出所:バンガード)

 なぜこのような事が起こるのかを理解するのは難しいことではありません。人間の本能は、私たちに「今すぐ」行動するように仕向けます。過去の調査研究は、投資家が直近のパフォーマンスに引きつけられる傾向があることを繰り返し証明してきました。市場は周期的に変動を繰り返すので、性急な投資行動にはリスクが伴うにも関わらず、多くの投資家にとって、不安定な市場で自分の長期投資のアセットアロケーションをひたすら守り続けていくのは困難なことなのです。

 もちろん、ポートフォリオを変更すべきではないということではありません。ただ、市場の動きに左右されて行うものではないということです。例えば、引退などでご自身の状況が変わった時に投資計画を見直して、必要に応じてリバランスすることは意味があります。

 投資プランを守り続けることで損失を完全に回避できるわけではありません。しかし、少なくとも長期投資のゴールへの道からは逸れずにいられるのです。
長期投資から逸れないために。関連コラムはこちら。
http://www.vanguardjapan.co.jp/vanguardjapan/index.cfm?C779DC12-7E95-D748-0BE0-504DFC9734B8&obj_uuid=23254D07-19B9-F74F-1323-036E7E4FE84D
(バンガード・インベストメンツ・ジャパンのウェブサイトに移動します。)
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