世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)
今回は前回に引き続き米国バンガード社のインベストメント・マネージメント部門の責任者フランシス・キニリーの新興国市場に関してのインタビューをご紹介します。
新興国と先進国の経済
インタビュアー: GDPについて言えば、世界同時不況の時、新興国と発展途上国のGDPは先進国のように下落することなく、回復時は先進国を上回りましたが、新興国や発展途上国の市場は先進国の市場と何が異なっていたのでしょうか?
キニリー:ここ数年間、「デカップリング」(新興国の経済成長と米国の景気動向との関連が低くなること)について数多くの議論がなされました。しかし、私たちはこのケースには当てはまらないと見ています。実際、米国や先進国の景気が減退したとき、新興国市場でもこれと類似した動きが見られました。これは、米国や先進国のGDPの下落がさほど深刻ではないということではなく、米国の景気回復なくしては新興国のGDPの成長が期待できないことを示していると思います。
GDPとパフォーマンス
インタビュアー:国際通貨基金は2011年末における先進国のGDP成長率予測を2%としたのに対し、新興国は8%と予想しています。GDPの成長率は必然的に株式のパフォーマンスに反映されるのでしょうか?
キニリー:私たちの研究では、一貫して「GDP成長率から将来のリターンを予測することはできない」という明確な結論を出しています。メディアの影響もあり、高い経済成長率は高いリターンに結びつくと直感的に考えてしまうのかもしれません。新興国対米国、先進国という観点からは逸れますが、比較的成長が緩やかな米国バリュー株などのセクターに投資する投資家もいます。これは他のケースにも当てはまります。例えば、Googleやインターネット関連企業は鉄道会社よりも急速な成長が期待されるにもかかわらず、ウォーレン・バフェットや熟練した投資家の多くがオールド・エコノミー(従来型の産業)の株式を買っています。私はGDP、セクター、セグメント、国の成長率と将来のリターンの相関は非常に弱いと考えています。
新興国市場における新たな地域
インタビュアー:全ての新興国市場が同じ状況下にあるというわけではありません。これまではインドや中国が持ち上げられ、今度はブラジルやラテンアメリカ、サハラ以南のアフリカが注目されています。成長が期待される本当の意味での新興国市場を決定する要因は何でしょうか?そして、今、投資家はどの市場に興味を失っていて、どの市場に期待しているのでしょうか?
キニリー:最初の議論に戻ってしまうのですが、市場には高い周期性があります。パフォーマンスの上位が、市場では米国市場から、世界市場、新興国市場へ、投資スタイルではグロースからバリューへ、さらには新興市場の中でも交代を繰り返しています。
新興国市場とは米国や先進国ではない全ての市場を指していますが、確かに新興国市場の中でさえ、それを構成している国々の状況は非常に異なっており、景気サイクルのどの局面において強く影響を受けるかも様々です。従って、新興国市場の中でも上位銘柄が次々に交代するのも理解できるでしょう。しかし、新興国市場が今後も成長し続けるとか、最も有望である、あるいは今後新たに新興国市場を牽引する地域が現れるに違いない、といった期待には注意が必要です。
次回のマネックスメールでは、この続きをご紹介します。
短期的な経済の動きに一喜一憂する必要はありません。
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