世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)
グローバルな経済回復は今年後半以降も続くのでしょうか?そして米国の経済の先行きはどのようなものなのでしょうか?今回は、7月22日に行われたバンガードのチーフ・エコノミストJoe Davisと、グローバル市場分析担当のシニア・エコノミストRoger Aliaga-Diazのインタビューの第2回目をご紹介します。
ナレーター:前回は米国経済の現状について伺いましたが、世界経済についてはどうでしょうか?
Roger: グローバルな観点から見ると、新興国市場が先導し、欧州諸国が後に続くという、特殊かつ一定ではない形の回復が見られます。最近の欧州経済の不安定さにもかかわらず、グローバルな回復を牽引するいくつかの要因を見ることができます。
まず、世界貿易においては、輸出で強いリバウンドが見られます。今年大きく成長すると予測された中国、インド、ブラジルといった国が、新興成長市場の回復を先導し続けています。しかし、現在多くの欧州諸国に見られる経済の緊縮財政策は、欧州の実質消費支出に相当な打撃を与えることは確かでしょう。加えて、欧州諸国の輸出は欧州内が大部分で、輸出ではユーロ安がメリットになりません。従って、欧州の経済成長率の見通しである1%前後という数字が、この先下方修正されたとしても不思議ではありません。
問題は、これが世界経済の回復にとってどのくらいの障壁となるかということです。この点では、実体経済や輸出において、欧州が世界に与える影響はそれほど深刻ではありません。欧州経済の低迷は、中国やブラジルといった欧州への輸出額が高い国にとって、仮にその高い経済成長率が1~2パーセンテージ・ポイント程度下落することはあっても、大きな阻害要因にはならないと考えられます。同様に、米国への深刻な影響もないとみてよいでしょう。
もちろん、欧州の財政難や先行きの不透明感からの影響はありますし、欧州の金融システムの潜在的な問題は米国経済の懸念材料であることは否定できないでしょう。
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