ウォール街の嵐の後で 第2回

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

ウォール街の嵐の後で 第2回

前回に引き続き、ここ数年のウォール街に吹き荒れた嵐のような投資環境を、米国の投資家や投資アドバイザー達がどのように乗り切って来たか、バンガードの投資コンサルティング&リサーチ・グループのジョン・アメリクスへのインタビューを通してご紹介します。ジョンは、バンガードにおいて、投資家の貯蓄、資産配分、引退後の資金計画などの金融行動についての分析に携わっています。(このインタビューは2010年8月に行われたものです)。

インタビュアー:高いボラティリティを経験した後では、しばしばフライト・トゥ・クオリティー*について議論され、債券市場ではその傾向が見られました。この傾向は今後も続くと思われますか?そして、これは投資家の心理が永久的にシフトしたという事でしょうか?それとも見解が定まらない中で普通に生じる、一時的なシフトなのでしょうか?

ジョン: それはよい質問で、実際に多くの人がその答えを知りたがっていると思います。

確かに、こうした不確実性の高い出来事の後では、多くの資産クラスでリスク・プレミアムが上昇する傾向にあります。投資家の資金がより予測可能な、信頼できる金融商品に集まるからです。投資家がかつての自信を回復し、長期国債 - すなわち政府が何年にもわたって支払いを保証する資産 - ではなくて、もっと積極的な投資対象に投資できるようになるまでには、まだ時間がかかると思います。

それが永久的かというと、まだ答えが出ていないと言うべきでしょうか。しかし、大きな、長期的な観点から眺めれば、基本的には、経済の動き方や企業の資金の獲得の仕方に変更があるとは思えませんので、永久的であるとは言えないだろうと思います。実際、かつてヨーロッパや米国に富と繁栄をもたらしたのと同じ金融システムを使って、多くの地域が高い成長を遂げています。
インタビュアー: 商務省によると、米国ではここ数年で個人の貯蓄率はかなり上昇したようです。現在は6.5%程度でしょうか。これは米国人にとって非常に良いニュースだと思いますが、消費が縮小したという点でマイナスの側面はありますか?

ジョン: これについては、これまで多くの議論がなされてきました。確かに家庭の貯蓄率が増加すると、長期的な経済の健全性という意味では、多くの恩恵がもたらされるでしょう。つまり、貯蓄率の上昇には、超長期的なプラスの側面があるわけです。

マイナスの側面としては、実際に消費者が財布を開けてお金を使い、物を買わなければ、結果的に企業が投資に対して積極的になることができず、経済の回復にはより長い時間がかかるということです。一般に、貯蓄率の増加が望ましい傾向だということには多く人々が同意するでしょう。ただ、それが長期的な変化なのか、それとも、当面の困難な時期をやり過ごすために、一時的に人々の態度がやや保守的になり、「自分の支出を注意深く観察し、普段の自分よりももっと慎重になる」という考え方に戻っているだけなのかを判断するには、もう少し様子を見たほうがいいと思います。

*質への逃避のこと。リスクの高い資産から、信用力が高く流動性の高い資産に移すことを表します。

次回に続きます。

敗者のゲームに勝つ(関連コンテンツはこちら)

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