世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)
投資理由における問題点
バンガード・インベストメント・ストラテジー・グループのプリンシパルでありバンガードの最近のリサーチ・ノートの著者の一人であるFrancis M. Kinniry Jr.は、「投資家が自身のポートフォリオの資金配分にグローバルな視点を持つのは、大変心強いことです。しかしながら、過去3年間に及ぶ新興国市場への資金流入のスピードと規模については憂慮しています」と語っています。投資家は国際分散投資の考え方を心から受け入れているのでしょうか。
一部の投資家については、分散投資を信奉するのではなく単に好調な市場を追いかけているに過ぎないと思えることが気がかりです。もしそうであれば、それはマーケット・タイミングに投資しているだけであり、最終的には運用成績の手助けにはならずに悪影響を及ぼすでしょう。危険な点は、仮に米国株式市場のパフォーマンスが一時的にせよ新興国市場を上回れば、多くの投資家は後追いで米国市場への配分を増やし、高値買い・安値売りの新たな悪循環に入ってしまうことです。
モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)は現在、イスラエル、韓国、メキシコ、南アフリカ、ブラジル、ロシア、インド、中国を含む多様な21ヶ国を新興国経済圏として分類しています。
新興国株式市場はここ10年間しばしば群を抜いて好調に推移してきました。MSCIエマージング・マーケッツ・インデックスの2001年から2010年の年間騰落率をみると、2009年の前年比78.5%のプラス・リターンや2003年の同55.8%増などの目を見張る上昇率から、2008年の前年比53.3%のマイナス・リターンまで様々な変動幅を示しています。2010年の新興国株式市場は前年比18.9%上昇しました。
経済成長と株式リターンの関係新興国市場は、その経済が米国、日本、欧州諸国などの先進国よりもはるかに急成長を遂げていることから、多くの投資家を魅了しています。このトレンドは今後も継続すると見られています。
しかし、2010年に出版した私たちのリサーチ*で、過去の力強い経済成長が必ずしも驚異的な株価上昇をもたらしてはいないことを見出しました。「私たちの分析では、長期的なGDP成長率と長期的な株式リターンとの平均的な、各国横断的な相関は事実上ゼロであることを示しています」とバンガードの主席エコノミストでありバンガード・インベストメント・ストラテジー・グループのプリンシパルの一人であるJoseph H. Davisは述べています。
*「新興国市場における投資:急成長経済の魅力を評価する」、2010年4月発行
バンガード物語 ~「原価で」提供する運用会社の始まり~~https://www.vanguardjapan.co.jp/content/perspective/story/history.shtml (バンガード・インベストメンツ・ジャパンのウェブサイトに移動します。) (C) 2011 The Vanguard Group, Inc. All rights reserved.
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