米国の2011年経済見通し その1

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

米国の2011年経済見通し その1

今回は、バンガードのチーフエコノミスト、ジョー・デービスが米国の経済、金利、インフレなどの質問に答えたインタビューをご紹介します。デービスは、バンガードのプリンシパル兼バンガード・インベストメント・ストラテジー・グループの責任者です。今回はその第一回目です。

●米国経済の強さの全体的な評価、そして2011年の見通しはどうでしょうか?
見通しを端的に表現するならば、慎重ながらも楽観的というところでしょうか。まだリスクはありますが、この見解を裏付けるデータは昨年よりも増えています。おおまかに言うと、雇用の段階的な拡大を伴う自律的な景気回復の可能性は、この5年間で最も高いと私は考えています。一部の指標によれば、米国企業のバランスシートはこれまでになく強化されています。

GDP(国内総生産)は景気後退前のピークを越えましたが、雇用は景気後退前の水準にははるかに及びません。このように生産と雇用との間で生じるギャップは生産性によるものです。企業がバランスシート上に多額の現金を保有しているのはこのギャップが大きいからで、このギャップは昨年から株式のパフォーマンスがいくらか好調であることの一因でもあります。

世界経済に関連した指標(製造、貿易、設備投資)はすべて予想を上回る経済成長を示しており、設備投資は今後、重要な要因となります。経済と比較した場合、概して企業の投資ペースはおそらく、過去70年超の間で最も遅い状況となっています。実際、多くの企業が過去数年間、雇用や設備刷新を延期してきたため、テクノロジーへの投資の増加など、設備補充がみられるようになると考えています。そして、それが2011年のポジティブ・サプライズとなるかもしれません。景気回復が予想を上回る場合、それを主導するのは消費ではなく設備投資でしょう。

何らかの外的なショックや不測の出来事が起こらない限り、景況感がわずかに高まり、企業に投資を促すような経済基盤が固まっていく可能性は非常に高いです。なぜなら現在、企業には投資する能力があるからです。問題はその意欲で、今年は高まるのではないかと考えています。

最近の日本における大震災によって、自動車やエレクトロニクスなど特定業界については、世界的なサプライチェーンが一時的に遮断されています。この遮断のため、米国やその他では、今後数ヶ月間にわたって経済指標が予想を下回る可能性が高くなるでしょう。しかし現状では、世界経済の成長に予想される影響はそれほどではありません。当社の試算では、2011年の世界の実質GDPは日本での大震災によって従来予想よりも約0.5%下がる可能性がありますが、2012年については、日本の復興が寄与することを見込み、世界経済の成長もその分大きくなるという見方もできます。

バンガードのコラム:
「新興国市場は今後も成長し続けるのでしょうか? 」
https://www.vanguardjapan.co.jp/content/articles/column/columns-54.shtml(バンガード・インベストメンツ・ジャパンのウェブサイトに移動します。)
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