米国の2011年経済見通し その3

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

米国の2011年経済見通し その3

今回は、2011年3月30日にバンガードのチーフエコノミスト、ジョー・デービスが米国の経済、金利、インフレなどの質問に答えたインタビューをご紹介します。デービスは、バンガードのプリンシパル兼バンガード・インベストメント・ストラテジー・グループの責任者です。今回はその第三回目です。

金利は歴史的な低水準にありますが、FRB(連邦準備制度理事会)は利上げを間もなく開始すると思いますか?

2011年中にFRBが利上げを行うかどうかを議論し始めるのは時期尚早である気がします。そしてFRBの政策については、より幅広い要因を念頭に置いて考えなければならないと考えています。FRBには2つの使命があります。それは、完全雇用と物価の安定ですが、どちらもここしばらく達成出来ていません。

私はFRBの政策については、複数年単位で考えなければならないと思います。FRBは量的緩和政策すらまだ完了していません(これについては6月に完了すると推測してます)。次のステップは、FFレート(米国の代表的な銀行間短期金利。金融政策の誘導目標金利、政策金利のこと。)を引き上げる前にFRBのバランスシートの規模を縮小することです。バランスシートはかなり膨張しており、そのため一部の投資家は将来のインフレリスクを懸念しています。

市場はFRBが2012年上期に利上げを開始すると予想しており、私の見解も同じです。しかしその一方で、FRBがバランスシートの規模を縮小し、過去数年にわたり行ってきたその他の景気刺激策を解除し始める時、いわゆる出口戦略に備えなければなりません。FRBは、過去3年間行ってきた異例な措置すべてのために、多くの市場支援プログラムを終了しなければならなくなりますが、MMFのリターンに直接影響をあたえるFFレートについては、2012年初めに引き上げられる可能性が高いと思われます。

米国におけるインフレ率の上昇可能性についてどう思われますか?インフレ率が上昇することによって、企業収益にはどのような影響がありますか?

バンガードの見解では、インフレ率は今後5年から10年、2%から3%で安定する可能性が最も高いと考えています。しかし今回の予想の潜在的リスクは、実際のインフレが予想を下回る方向よりも、むしろ予想を上回る方向にシフトしました。最近までのリスクは、予想を超えるインフレではなく、デフレに陥るリスクのほうが大きかったのです。

予想を上回るインフレをもたらすのは、QE2(量的緩和の第2弾)、財政赤字、あるいは債権現金化への誘惑だけではありません。世界中で目にするグローバルな工業化圧力も予想を上回るインフレ要因となる可能性があります。そのような圧力は現在、供給が非常に乏しいこともあり、食品価格の上昇に反映されています。しかし、商品価格の上昇圧力となっている別の要因は、途上国が米国と同じようなものになりつつあることです。そういったリスクはありますが、1970年代や1980年代初めにみられたような二桁のインフレ率が再び起こる確率は依然低いと、私は考えています。

金融危機後の2009年に今後のインフレ見通しについてバンガードのエコノミストが語ったバンガードのコラム:

「世界金融危機は次のステージへ~バンガードの3人の専門家、今後のインフレを語る」

https://www.vanguardjapan.co.jp/content/articles/column/columns-47.shtml?vjts=MXML_110617

(バンガード・インベストメンツ・ジャパンのウェブサイトに移動します。)
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