米国の2011年経済見通し その4

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

米国の2011年経済見通し その4

今回は、2011年3月30日にバンガードのチーフエコノミスト、ジョー・デービスが米国の経済、金利、インフレなどの質問に答えたインタビューの第四回目です。デービスは、バンガードのプリンシパル兼バンガード・インベストメント・ストラテジー・グループの責任者です。

●不動産、そして金や銅などの商品について、目先の見通しはどうでしょうか?
金について私は二つの見解を持っています。企業の将来のキャッシュフローを期待して投資が行われる株式とは違うということ、そして金にはインフレ率を超えるような本質的価値や期待収益率があると考えるべきではないということです。

金は資本の裏づけを持ちません。代替的な価値保有の一種であり、通常インフレ率に伴って上昇することが見込まれています。実際、金投資は非常に投機的であり、その価格は大きく変動する可能性があります。また本質的な収益率がないということは、適正価値を知ることが非常に困難であることも意味します。そこでさらに疑問が生じます。今の金価格はバブルではないのか?適正価値がわからないため、バブルであるかを判断することは非常に困難ですが、それにもかかわらず「金は売りだ」とする声は今のところ、どこからも聞こえません。これをどう考えるか。一般に、キャッシュフローが好調でごく目先の収益率が非常に高いということは、いわゆる投資や資産にとって長期的にはあまりよい材料ではありません。そのため、私は今後の金の見方について非常に慎重になっています。

他の産業素材と同様、銅は世界の景気と相関性が高い傾向にあります。世界経済がまだ回復の過程にあるという見方が正しければ、銅価格の上昇はもう少し続く可能性があるでしょう。

商品先物への投資によるポートフォリオの分散が恩恵をもたらしてきたことは認識していますが、こうしたことが将来続くとは限らないという点に注意することが必要です。つまり、今後数年間については、ロングポジションだけのパッシブ戦略の商品投資から得られる平均的なリターンは過去ほど高くはならないとみています。したがって、ポートフォリオのなかに少額の商品投資を組み込めば何らかの投資分散効果があるかもしれませんが、過去のリターンに基づいた投資配分はお勧め出来ません。

●GDP成長率と株式のリターンには、ほとんど、またはまったく相関がないという研究があります。相関がないならば、相対的に成長が鈍化している先進国よりも成長の著しい新興市場の方が長期的にみて高いリターンを挙げているのはなぜでしょうか?

まず、世界に幅広く分散投資を行い、グローバルな株式ポートフォリオを構築している投資家が増えていることは好ましいと思われます。ただ、予想される経済成長だけを基にして世界中の地域に投資を配分することに対しては慎重になってください。

新興国市場の魅力が大きいのは確かです。急速な経済成長は通常、収益の伸びに伴うものであり、多くの投資家はそれを高水準の株式リターンと結びつけて考えます。しかし、予想される経済成長だけを基にして、長期投資の資産配分を決定するのはお勧めできません。バンガードの分析では、一国の長期的なGDP成長と長期的な株式のリターンの平均的な相関は実質的にゼロという結果が出ています。この分析結果は、人々の直感とは相反するものですが、過去100年の主要株式市場と過去数十年の新興国および先進国の市場にあてはまります。

経済成長と株式リターンの長期的な関係は、いくつかの要因によって影響されます。その国のGDP成長率、市場の事前予測と実際の成長、そして最も重要な要因は期待される成長に対して投資家がその時点で支払う対価です。過去10年を振り返ってみると、新興国市場の投資家はリスクに見合うリターンを得ることが出来ました。ただそれは、経済成長が高かったからではなく、むしろ2000年代初頭において経済成長が一貫して予想を上回るなか、株式のバリュエーションが相対的に低かったためです。

そのため、グローバル株式ポートフォリオにおける新興国市場への配分は、戦略的に非常に理にかなったものではありましたが、バンガードでは投資家に対し、新興国経済は先進国よりも成長が速いだろうという一般的な見解だけを基に新興国市場を大幅にオーバーウェイトすることに警鐘を鳴らしています。そのような見解は根拠に乏しいと考えているからです。

関連コラム:「新興国市場は今後も成長し続けるのでしょうか?」

https://www.vanguardjapan.co.jp/content/articles/column/columns-54.shtml?vjts=MXML_110701

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【特集】新興国投資のベストな方法を探る

新興国市場における通貨と市場リターンの関係などをご紹介しています。
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