第216回 潮目は変わったか?!ドル/円100円割れからの巻き返しどこまで【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

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第216回 潮目は変わったか?!ドル/円100円割れからの巻き返しどこまで【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

潮目が変わったのでしょうか。11日月曜日、ドル/円相場は100円台半ばから102円台半ばまで急伸しています。日経平均は600円を超える大幅高。先週8日金曜日の米6月雇用統計発表後、ドル/円相場は一時100円大台を割り込む瞬間があったことを考えると劇的なセンチメントの変化となっています。雇用統計の結果を受けた株高の影響でしょうか、それとも参院選で自公が大勝したことが好感されたのでしょうか?!

先週末9日土曜日はマネックス全国投資セミナーin浜松にて司会のお仕事があったのですが、マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏の講演で「来週月曜には前FRB議長のバーナンキ氏が日銀を訪問する。バーナンキ氏は「ヘリコプターベン」の異名があり、ヘリコプターマネー期待が強まる可能性があるだろう」と見通されていました。まさに、このニュースが今日の日本株、ドル/円の急騰の主軸です。6月雇用統計の結果を受けて、米株が上昇、NYダウが過去最高値に迫る水準に到達していることも、東京市場午前の株価上昇の一役を担ってはいましたが、上昇加速は「バーナンキ前FRB議長、日銀を訪問」このヘッドラインがトリガーでした。ヘリコプターマネーについては、広木さんが早速11日(月)夕方に「日本株急騰の理由:限りなくヘリマネに近い政策期待」というレポートを出されています。大変勉強になりますのでご一読を。

英国のEU離脱国民投票以降、リスク回避ポジションが積みあがっていただけに、その巻き返しのスケールはそれなりに大きくなると思われます。先週末に発表された7月5日時点のIMM通貨先物市場のヘッジファンドらのポジションは円買いが87,037枚、対して円売りが23,469枚。ネット円買い越し幅が63,568枚にまで膨れ上がっていました(前週までの円買いは59,750枚でした)。1986年以降のデータで円の買い越しが最大だったのは、2008年3月25日までの週で65,290枚。過去最高水準にまで円買い(ドル/円の売りポジション)が積みあがっており、これが手仕舞われるだけでも、相応のドル/円上昇につながる地合いとなっていたものと考えられます。

※IMM通貨先物ポジションはオプションなどの取引が含まれておらず、投機筋の取引全体の動向を映すわけではありません。また、為替市場の取引は膨大で投機筋の取引が市場に及ぼすインパクトは大きくないのですが、過去最高、過去最低というようなポジションに極端な偏りが生じている場合には、市場動向を見る上で目安として注目されます。ポジションの調整(反対売買)が進めば、これまでの流れとは反対の方向に相場が動きだすことも少なからずあるのです。

また、安倍首相が国内景気を刺激するための経済対策について「準備に入るように指示した」 と記者会見。経済対策への期待も相まって11日月曜日は欧州時間~NY時間入りでも日経平均先物、ドル/円相場の騰勢が鈍ることなく推移しています。NYダウ平均は市場最高値に迫る高値にまで上昇しており、市場全般リスクテイクムード。年初120円台から20円もの円高ドル安が進んだドル/円相場、マイナス金利導入前の今年の高値である121円からフィボナッチリトレースメントで38.2%戻りが107円台半ば。半値戻りまで上昇するなら110円台までのダイナミックな揺り戻しの期間に入った可能性も出てきました。安易に値ごろで戻り売り参入は避け、値幅か日柄での戻りを十分に確認するまでは、押し目を拾ってリスクテイクポジションで攻めてみたい局面です。


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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