「部長、おはようございます!」
「槙原君、おはよう。今週のポイントは?」
「米国の経済指標発表や日本企業の決算発表にも注目したいですね。」
詳細は以下をご覧ください。
今週の注目レポート・重要ニュース
【1.米国】
先週の米国株式市場は雇用統計で非農業部門雇用者数が冬場の減速から20 万人増を回復、とはいえ早期利上げを正当化するほどには強くなかったことなどが好感されてダウ平均が週間で167 ドル高と反発、1 万8191 ドルと約2 ヶ月ぶりの高値をつけて史上最高値1 万8288 ドルの更新を伺う水準まで上昇しました。また、S&P500 は史上最高値まで1 ポイント余りとなる2,116 ポイントまで上昇しています。
1-1.FOMC 結果発表
4 月28 日から29 日にかけて行なわれたFOMC(連邦公開市場委員会)の結果が表され、大方の予想通りFF 金利の引き上げは行なわれませんでした。但し、米国経済全般や労働市場について冬場に改善が鈍化したのは一時的要因によるものだとの認識が示され、ややタカ派的な姿勢と受け止められました。
1-2.米GDP
29 日に発表された1-3 月期のGDP 速報値は前期比年率0.2%増と市場予想の1.0%増を大きく下回りました。冬場の経済の落ち込みが市場の想定以上に大きかったことが示されました
1-3.ISM 製造業景況感指数
5 月1 日に発表されたISM 製造業景況感指数は51.5 と前月から横ばいで、市場予想の52.0 を下回りました。3 月まで5 ヵ月連続で悪化してきた同指数に下げ止まりの兆候が見られたことはポジティブと言え、ヘッドラインを構成する新規受注・生産・在庫・雇用・入荷遅延の5 項目のうち、新規受注と生産の重要な2 項目が前月から改善しました。
1-4.ISM 非製造業景況感指数
5 日に発表された非製造業指数は57.8 と前月から改善し、市場予想を上回りました。非製造業は冬場に製造業ほど落ち込まず、指数の水準も高かったが、4 月分の発表で改めて非製造業の景況感が好調なことが確認されました。ヘッドラインを構成する新規受注・入荷遅延・雇用・業況の4 項目のうち、入荷遅延を除く3 項目が改善と内容も良好でした。
1-5.雇用統計
8 日に発表された米国雇用統計は非農業部門雇用者数が前月差22.3 万人増と市場予想の23 万人増を小幅に下回りました。雇用者数が2 ヶ月ぶりに20 万人増を上回ったことはポジティブと言えますが、一方で3 月分は12.6 万人→8.5 万人に下方修正されました。また、平均時給も前年比2.2%上昇と、前月の2.1%から加速しましたが市場予想の2.3%を下回りました。失業率は市場予想通り、5.4%へ低下しました。
1-6.小売売上高
13 日に4 月の小売売上高が発表されます。変動の大きい自動車・ガソリンを除いた売上高は前月比0.6%増と堅調な伸びが予想されています。
1-7.鉱工業生産
15 日に4 月の鉱工業生産が発表されます。3 月分は前月比0.6%減とネガティブ・サプライズとなりましたが、4 月分は前月比横ばいと予想されています。
【2.欧州】
先週の欧州の主要な株価指数は上昇しました。英国総選挙でキャメロン首相率いる与党の保守党が予想外に過半数を獲得して勝利したことや米国株高などが好感され、主要指数は週の後半にかけて大きく上昇しました。
ユーロは5 日にIMF 欧州局長が「債権者が大規模なギリシャ国債償却を行わない限り IMF が支援をしない」と発言したことから対ドルで1.1066 ドルへ軟化する局面が見られましたが、ドイツ国債利回りの上昇基調や米国貿易収支やADP 雇用統計の予想比下振れなどを受けたドル安もあって、7 日にかけて1.1392 ドルへ上昇しました。その後、ドイツ国債利回りが急反落とともに、米雇用統計後もドル安方向とはならず、1.12 ドル丁度近辺へ続落となりました。
2-1.ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報
30 日に発表された4 月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報は前年同月比横ばいと前月のマイナス0.1%から更に改善し、市場予想と一致しました。
2-2.ユーロ圏小売売上高
6 日に発表されたユーロ圏小売売上高は前年同月比1.6%増と前月の2.8%増から伸びが鈍化し、市場予想の2.4%増を下回りました。
2-3.英国総選挙
5 月7 日に行なわれた英国の総選挙で現与党の保守党が選挙前の302 議席を上回る331 議席を獲得し、単独与党となりました。選挙前には野党労働党との接戦が報じられていましたが、結果的には保守党の大勝となり、政権安定化が好感されてポンド高、英株高が進みました。
2-4.ユーロ圏1-3 月GDP 速報値
13 日に1-3 月のユーロ圏GDP 速報値が発表されます。市場では前年同期比1.0%増と前期からの小幅加速が予想されています。
【3.日本】
先週の日本株式市場はゴールデンウィーク明けで2 営業日のみの取引となったものの、連休中にドル円が円高に振れたことや上海市場が下落したことなどを受け週間で152 円安と続落しました。ドル円は米貿易赤字が予想以上に拡大したことや、ADP 雇用統計の予想比下振れを受けて一時119.06 円まで円高が進みました。その後米新規失業保険申請件数が予想を下回ったことを受けドルが買い戻され、雇用統計の発表を前に120 円台を回復しましたが但し米雇用統計の予想比小幅下振れを受けて、119 円台後半へ反落しました。
3-1.日銀の金融政策決定会合
30 日に開催された日銀の金融政策決定会合では事前の予想通り金融政策の現状維持が決定されました。但し、半期展望レポートでは2015 年度の物価見通し(消費増税の影響を除く)が前年比0.8%上昇へ下方修正され、物価目標2%達成時期の目途が2016 年度前半へ後ずれしました。
3-2.消費者物価指数(CPI)
5 月1 日に発表された3 月の全国消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除くコア指数(消費増税の影響を除く)が前年同月比0.2%の上昇と、前月および市場予想のゼロ%を上回りました
3-3.決算発表本格化
日本企業の決算発表が本格化しています。10 日付の日経新聞では2016 年3 月期の経常利益は前期比1 割程度増え、2 年連続で過去最高を更新する見込みと報じています。
【4.中国】
先週の中国市場は上海総合指数が235 ポイント安と9 週ぶりに下落しました。年初から指数が4割近く上昇し高値警戒感が高まったことや、当局が新規公開株の認可ペースを増やすと発表したことから需給逼迫懸念が強まったことで下落しました。なお、8 日発表の輸出入統計の大幅悪化もあって、週末の10 日には中国人民銀行が景気減速に対応するために 0.25%ポイントの追加利下げを行いました
4-1.小売売上高、鉱工業生産、固定資産投資
13 日に4 月の主要経済指標が発表されます。小売売上高につき市場では前年同月比10.4%増と前月の10.2%増から伸びが加速すると予想されています。
- [日本]チーフ・ストラテジスト広木隆の「ストラテジーレポート」
- [日本]シニア・マーケットアナリスト金山敏之の「投資のヒント」
- [日本]フィスコの「週刊マーケット展望」(ログイン後限定レポート)
- [日本]J.P.Morgan(J.P.モルガン)社やTIW社のアナリストレポート(ログイン後限定レポート)
- [日本]主要日本企業決算カレンダー
- [米国]主要米国企業決算カレンダー
- [米国]米国株 Market Pick Up 今週の注目ポイント
- [中国]中国株 Market Pick Up 今週の注目ポイント
- [その他]J.P.モルガンのマクロ経済レポート ウィクリー・データ・ウォッチ(ログイン後限定レポート)
グローバル・マクロ・ビュー(世界経済・政策の相場観)
- 日本(追加緩和姿勢の後退)
4 月30 日に開催された日銀の金融政策決定会合の際に発表された「経済・物価情勢の展望 (展望レポート) 」では、15 年度の物価見通しが下方修正されました(1.0%→0.8%)。そして、2%の物価目標の到達時期を「2015 年度を中心とする期間」としていたものを「2016 年度前半頃」へ見通しを後ずれさせたことから、追加緩和姿勢が若干後退しています
- 米国(前回から変更なし)
4 月末に開催されたFOMCでは景気認識が下方修正されましたが、冬場の鈍化は一時的との認識も示されました。但しその後発表された経済指標は、貿易赤字や雇用統計など、冴えない結果が続いており、引き続き利上げ開始時期を巡って、今後の経済指標発表を受けて調整が続くものの明確なコンセンサスが形成されない状況が続くと考えられます。
- 欧州(前回からの変更なし)
ユーロ圏経済指標の改善が続く中、ドイツを中心にユーロ圏国債利回りが急上昇、ユーロも上昇し株価は下落するなど、金融条件が引き締まったにも拘らず、ECB 高官からは特段警戒感が示されていません。ECB は国債を中心とする資産購入を当初の予定通り2016 年9 月まで継続、必要であれば購入を継続する姿勢を維持しています。ギリシャのデフォルトやユーロ圏離脱はない見込みですが、11日のユーロ圏財務相会合でギリシャ支援問題について合意に近づけるのかが注目されます。
- 新興国(景気減速感が強まり、緩和姿勢が強化)
景気減速感が強まる中で、4 月19 日の預金準備率の1%ポイント引き下げに続き、週末 10 日に中国人民銀行は 0.25%ポイントの追加利下げを決定しました。市場では今後も更なる追加緩和措置が決定されるとみる向きが多くなっています。
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