「部長、おはようございます!」
「槙原君、おはよう。今週のポイントは?」
「米国では住宅着工、消費者物価指数と4 月のFOMC の議事要旨が発表されます。日本ではGDP速報値と日本銀行の金融政策決定会合の結果発表があるので注目しておきたいですね。」
「槙原君、何か重要なものを忘れていないかね?」
「さすが部長、よく気付きましたね!ドイツZEW 指数も、急上昇したドイツ金利のゆくえにとって大事なんですよ!」
「テストしているのはこっちなんだけどなぁ・・・」
詳細は以下をご覧ください。
今週の注目レポート・重要ニュース
【1.米国】
先週の米国市場は上昇しました。長期金利の上昇を嫌気して軟調な展開が続いたものの、長期金利の上昇一服を受けて14 日には大幅高となりました。こうしたなかダウ平均は史上最高値まで後16 ドル余りに迫ったほか、S&P500 株価指数は史上最高値を更新して週の取引を終えています。
1-1.米小売売上高
13 日発表の 4 月の小売売上高は前月比横ばいとなり 0.2%増を見込んだ市場予想を下回りました。 変動が大きい自動車を除く売上高も前月比 0.1%増と市場予想を下回っています。
1-2.米住宅着工件数
19日に4月の米住宅着工件数が発表されます。2月に急減した後、3 月の回復が鈍かったのですが、 今回は 101.8 万件へ大きく回復する見通しとなっています。冬場の減速が一時的だったのかを見る上で注目指標の一つです。
1-3.米 FOMC 議事要旨
20 日に 4 月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が発表されます。景気判断が引き 下げられた 4 月の FOMC で利上げ時期に対する委員の見方に変化があったのかが注目されます。た だし 4 月 FOMC 後に小売売上高など重要指標が発表されており、やや古い議論となっています。
1-4.米消費者物価指数
22 日に 4 月の米消費者物価指数(CPI)が発表されます。4 月は 3 月に比べ伸びが小幅に低下する 見通しとなっています。FRB が今後の利上げ開始時期を決めていく上で注目されている指標の一つ です。
【2.欧州】
先週の欧州の主要株価指数は長期金利の上昇を嫌気して大きく下げました。ドイツのDAX 指数は14日こそ大きく反発したものの、週間では2%を超す下落となりました。
ユーロ/ドルは、週初にユーロ圏財務相会合が開催されるなか、支援継続に必要な改革についてEU側とギリシャとの間の溝が埋まらず安値を付けました。もっとも、その後はドイツ10年債利回りの再上昇に加えて、米小売売上高の予想比下振れを受けた米ドル安もあって14日にかけて1.14ドル台に乗せ、3月のECB 量的緩和開始前の水準に逆戻りしています。
2-1.ユーロ圏 GDP 速報値
13 日に発表された 2015 年 1-3 月期のユーロ圏実質 GDP 速報値は前期比 0.4%増、前年比 1.0% 増と、前期から若干加速したものの、市場予想通りでした。
2-2.独 ZEW 景気期待指数
19 日に 5 月の独 ZEW 景気期待指数が発表されます。4 月は 53.3 で 3 月の 54.8 から低下し上昇 を見込んでいた市場予想を下回りました。今回はさらに悪化し 50 を下回る予想となっています。
【3.日本】
先週の日本市場は上昇しました。米国株安を受けて大きく下げる場面もみられた日経平均ですが、下値では買いが入り底堅さをみせたこともあって週間では2%近い上昇となっています。
ドル/円は、週初は米中長期債利回りの上昇基調に支えられ120 円台に乗せる局面がみられました。しかし、最大の注目だった米4 月小売売上高が市場予想を大きく下回ったことで、米中長期債利回りの反落とともに一時119 円割れとなりました。
3-1.景気ウオッチャー調査
13 日発表の 4 月の景気ウオッチャー調査は現状判断指数(DI)が前月より 1.4 ポイント高い 53.6 となり 5 カ月連続での改善となりました。賃上げや株高を背景に、小売り関連を中心に景況感の改 善が続いています。
3-2.GDP 速報値
20 日に 1-3 月期の実質国内総生産(GDP)速報値が発表されます。1-3 月期は前期比年率で 1.6% 増と、2014 年 10-12 月期(1.5%増)と同程度の成長が期待されています。
3-3.金融政策決定会合
21 日、22 日に日銀の金融政策決定会合が開催されます。今回は金融政策に変更はないとみられま すが会合後の黒田日銀総裁の会見が注目されます。
【4.中国】
上海総合指数は、中国人民銀行による追加利下げを受けて週初は大きく上昇して始まりましたが13日・14 日と上値が伸び悩み、週末にかけて反落しました。しかし、週間では2%を超える上昇となっています。
4-1. HSBC 製造業購買担当者景気指数(PMI)
22 日には 5 月の HSBC 製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表されます。4 月の HSBC 中国製造業 PMI は 48.9 と景気判断の節目となる 50 を 2 カ月連続で下回りました。今回は前月よ りも改善が予想されているものの引き続き景気判断の節目となる 50 を下回る見通しです。
- [日本]チーフ・ストラテジスト広木隆の「ストラテジーレポート」
- [日本]シニア・マーケットアナリスト金山敏之の「投資のヒント」
- [日本]フィスコの「週刊マーケット展望」(ログイン後限定レポート)
- [日本]J.P.Morgan(J.P.モルガン)社やTIW社のアナリストレポート(ログイン後限定レポート)
- [日本]主要日本企業決算カレンダー
- [米国]主要米国企業決算カレンダー
- [米国]米国株 Market Pick Up 今週の注目ポイント
- [中国]中国株 Market Pick Up 今週の注目ポイント
- [その他]J.P.モルガンのマクロ経済レポート ウィクリー・データ・ウォッチ(ログイン後限定レポート)
グローバル・マクロ・ビュー(世界経済の基本観)
- 日本(前回から変更なし)
今週開催される金融政策決定会合では金融政策に変更はないとみられています。日銀は2%のインフレ目標達成時期を16 年度前半へ後ずれさせつつも、景気やインフレに関する強気姿勢を維持しており、目先の追加緩和を示唆していません。 - 米国(前回から変更なし)
4月末に開催されたFOMCでは景気認識が下方修正されましたが、冬場の鈍化は一時的との認識も示されました。但しその後発表された経済指標は、貿易赤字や雇用統計などに続き小売売上高も冴えない結果が続きました。引き続き利上げ開始時期を巡って、今後の経済指標発表を受けて調整が続くものの明確なコンセンサスが形成されない状況が続くと考えられます。 - 欧州(前回から変更なし)
5月11日に開催されたユーロ圏財務相会合では、ギリシャ支援問題について合意は見送られました。協議は進展していると報道されているものの6月末には現行の金融支援の枠組みの期限が到来します。それまでの動向には注意を払う必要がありそうです。ECB は国債を中心とする資産購入を当初の予定通り2016 年9 月まで継続、必要であれば購入を継続する姿勢を強調していますが、今のところ金利の急騰やユーロ高に対する強い懸念は示されていません。 - 新興国(景気減速感が強まり、追加緩和期待が強まる)
中国人民銀行による追加の利下げを受けて市場は一時的に好感しましたが、13 日発表の主要経済指標は総じて予想を下回っており、追加緩和期待が高まっています。