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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部世界経済のトレンド丸解り!今週の注目レポート

このコーナーでは、フィナンシャル・インテリジェンス部に配属された新人のルミが「世界経済の今・そしてこれから」を掴むために是非読んでおきたい、今週の重要レポート・ニュース記事を紹介します。(原則月曜日更新)

2015年06月15日

日米の金融政策会合で金利、為替見通しを確認へ

「部長、おはようございます!」
「槙原君、おはよう。今週のポイントは?」
「今週は米国でのFOMCやユーロ圏財務相会合、日銀の金融政策決定会合など注目のイベントが目白押しです!中でも、黒田総裁の円安けん制発言の真意がどこにあったのか、記者会見で問いただしてほしいですね!」

「ドルがもっと高くなると思って買っていた人には手痛い一撃だったからな。ところでミスター円とは誰か、知っているかね?」

「ミスター『分』なら、靴の修理屋さんですよね!この前、かかと落としに適したヒールに変えました!」

「どんなヒールだよ。そうではなく、日本の為替政策を取り仕切っている人物で、財務省の財務官さ。現在は山崎氏だが、黒田総裁も財務官経験者だから為替に関して失言するはずないのだよ」

「うちの部にも、宴会を取り仕切るミスター『宴』がいますね!」

詳細は以下をご覧ください。

今週の注目レポート・重要ニュース

【1.米国】

先週の米国市場は上昇しました。ギリシャ債務問題の不透明感を背景にした欧州株安や年内の利上げが意識され下落して始まったダウ平均は、10日にドルが円やユーロなど主要通貨に対して下落し、ドル安が米企業業績にプラスに働くとの見方から大幅上昇すると、11日も良好な米小売売上高を好感し続伸しました。週末は大幅反落となりましたが、それでもダウ平均は週間で50ドル近く上げています。

1-1.米小売売上高

11日に発表された5月の米小売売上高は前月比1.2%増と市場予想通りでした。4月の数字が当初の前月比横ばいから0.2%増へと上方修正されたことから3カ月連続でのプラスとなりました。変動が大きい自動車・同部品、ガソリン、建築資材を除くコア売上高も前月比0.7%増と市場予想を上回り、個人消費の落ち込みが冬場の悪天候による一時的なものだったとの見方を裏付ける内容でした。

1-2.米FOMC

16日-17日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、17日(日本時間18日未明)に結果が公表されます。今回は金融政策の変更はないとみられますが、FOMCメンバーの経済見通しや政策金利の見通しが注目されます。なかでも利上げ時期や利上げのペースを占ううえで政策金利の見通しに関心が集まりそうです。3月の前回見通しではFOMCメンバー17人中15人が年内利上げ開始を予想。1回の利上げを0.25%ポイントと想定すると、年内1回の利上げが1人、2回が7人、3回が3人となっていましたが、これがどのように改定されるかが注目されます。また先日、年内の利上げが適当と述べたイエレン議長の定例記者会見での発言も注目されます。

1-3.米CPI

18日に5月の米消費者物価指数(CPI)が発表されます。4月の米消費者物価指数(CPI)は変動の大きいエネルギーや食料を除いたコア指数が前月比0.3%上昇とな2013年1月以来の大きな伸びとなりマーケットでは利上げ開始早期化が意識されました。5月の前月比上昇率は0.2%と4月より低下するものの、前年比では1.8%上昇で前月から横ばいとみられています。

【2.欧州】

先週の欧州の主要株価指数は小幅に下落しました。主要株価指数は長期金利の上昇やギリシャ支援協議の不透明感で下げて始まると、10日には値ごろ感から大きく反発したものの、週末にギリシャ支援協議への不透明感から大きくさげたことで下落となりました。

ユーロ/ドルはNowotnyオーストリア中銀総裁が金利上昇容認発言を行ったことから、ドイツ10年債利回りが一時1.06%へ急騰したのに伴い、1.1386ドルへ上昇し前週の高値を更新しました。その後のドイツ10年債利回りの0.9%割れへの急反落もあって、一時1.12ドル割れへ反落しましたが底堅い地合いが続いています。

2-1.ZEW独景気予測指数

16日に6月の欧州経済研究センター(ZEW)独景気予測指数が発表されます。5月のZEW 景気期待指数は 41.9 と市場予想の 49.0 を大きく下回り、前月の53.3から大きく悪化しましたが、今回は一段の悪化が予想されています。

2-2.ユーロ圏財務相会合

18日のユーロ圏財務相会合でギリシャの財政支援問題が討議される見込みです。欧州連合(EU)など債権団による72億ユーロ支援の期日が6月末に迫っているだけに注目されます。

【3.日本】

先週の日本市場は小幅に下落しました。日経平均は9日に先物主導で大きく下げると、10日は日銀の黒田総裁の円安けん制ともとれる発言を受けて続落となり、取引時間中に20,000円の大台割れまで後20円弱の水準まで迫る場面もありました。11日には5日ぶりの大幅反発となり、週末も小幅続伸となりましたが、日経平均は週間で50円余り下げています。

ドル/円は、Obama米大統領が強いドルが問題だとG7首脳会合で発言したとの仏当局者発言を受けて、前週金曜の米雇用統計後に付けた高値である125.86円から124円台半ばへ反落しました。そして10日には黒田日銀総裁が事実上の円安牽制発言を行ったことから急落、一時122.46円の安値を付けました。11日には米コア小売売上高の予想比上振れを受けて一時124円台を回復する局面も見られましたが、123円台に押し戻されて推移しています。ユーロ/円も、ユーロ/ドルと共に9日にかけて141.01円へ上昇、前週の高値である141.06円に近づきました。その後の黒田総裁発言を受けた円急騰を受けて139円割れへ下落しました。その後は対ドルでユーロと円が同様の動きとなったことから、139円丁度を挟んで上下に振れつつ方向感のない展開が続いています。

3-1.景気ウオッチャー調査

8日に発表された5月の景気ウオッチャー調査は街角の景気実感を示す現状判断指数は前月比0.3ポイント低下の53.3となり6カ月ぶりに悪化しました。2-3カ月後を占う先行き判断指数は54.5で0.3ポイント上昇しています。

3-2.日銀の金融政策決定会合

18日と19日に日銀の金融政策決定会合が開催され、19日に結果が発表されます。今回は金融政策に変更はないとみられますが、会合後の会見で黒田日銀総裁が先日の衆議院財務金融委員会での円安けん制とも受け止められる発言に対してどのような説明があるのかが注目されます。

【4.中国】

先週の上海市場は上昇しました。5月の貿易統計で貿易収支の黒字額が市場予想を上回ったことで大きく上昇して始まった上海総合指数は、10日にMSCIが中国の人民元建てA株の新興国指数への組み入れを見送ると発表したことで下げ幅をやや広げる場面もみられたものの、5,000ポイント割れを前に底堅さをみせると、週間では3%近い上げとなり2008年1月以来7年5カ月ぶりの高値水準を付け年初来高値を更新しています。

4-1. 貿易統計

8日発表の5月の貿易統計で、輸出は前年同月比2.5%減となり減少率は5月の6.4%から縮小し、市場予想を上回りました。一方で輸入は同17.6%減で、減少率は4月の16.2%から悪化し市場予想も下回りました。この結果、5月の貿易収支は594億8800万ドルの黒字で市場予想を上回りました。

4-2. 消費者物価指数

9日に発表された5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.2%上昇しました。上昇率は4月(の1.5%から縮小し、市場予想もやや下回りました。

グローバル・マクロ・ビュー(世界経済の基本観)

  1. 日本(追加緩和の可能性が更に低下)
    今週開催される金融政策決定会合では金融政策に変更はないとみられています。日銀は2%のインフレ目標達成時期を16年度前半へ後ずれさせつつも、景気やインフレに関する強気姿勢を維持しており、目先の追加緩和を示唆していません。更に、黒田総裁が6月10日にこれ以上の円安は考えにくいと発言したことで、円安をもたらす追加緩和を計画していないことも示唆されています。
  2. 米国(前回から変更なし)
    4月末に開催されたFOMCでは景気認識が下方修正されましたが、冬場の鈍化は一時的との認識も示されました。但しその後発表された経済指標は、住宅着工、耐久財受注、貿易収支、雇用統計そして5月小売売上高と改善が続き、FOMCの見方を裏付ける結果となりました。但しコアPCEデフレータなどインフレ指標は逆に低下していることから、利上げ開始時期を巡っては、今後の経済指標発表を受けて思惑が振れ明確なコンセンサスが形成されない状況が続くと考えられます。
  3. 欧州(前回から変更なし)
    ギリシャ支援問題については、6月末に現行の金融支援の枠組みの期限が到来するものの、債権者側とギリシャ政府との間の歩み寄りはあまりみられておらず、デフォルトリスクへの警戒が少しずつ高まっている状況です。 金融政策面では、ECBは国債を中心とする資産購入を当初の予定通り2016 年9 月まで継続、必要であれば購入を継続する姿勢を強調していますが、今のところ金利の急騰やユーロ高に対する強い懸念は示されていません。
  4. 新興国(景気減速感が強まり、景気刺激策への期待がやや強まる)
    先週発表の主要経済指標では、固定資産投資の鈍化継続とインフレ率の更なる鈍化が示され、中国人民銀行による追加緩和や政府による各種景気刺激措置への期待が高まっています。

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