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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部世界経済のトレンド丸解り!今週の注目レポート

このコーナーでは、フィナンシャル・インテリジェンス部に配属された新人のルミが「世界経済の今・そしてこれから」を掴むために是非読んでおきたい、今週の重要レポート・ニュース記事を紹介します。(原則月曜日更新)

2015年07月13日

ギリシャ、中国が落ち着いて米国に焦点が移るか

「部長、おはようございます!」
「槙原君、おはよう。今週のポイントは?」
「今週は、ギリシャ情勢や中国株への懸念が和らいでくるとすれば、再びアメリカの経済指標に焦点が移るか、でしょうか。イエレン議長の議会証言もありますね」
「しかし、ギリシャを巡っては首脳会合やら国民投票やらで3週連続で週末がつぶれて、ユーロ圏の政治家、役人は大変だな。第3次支援が決まって、3度目の正直、となればよいが」
「スパルタ教育発祥の国が聞いて呆れちゃうわ。私なんか親のしつけで、毎日3回も部屋の掃除をしているんですよ!」
「それは3度目の掃除機、だな」

詳細は以下をご覧ください。

今週の注目レポート・重要ニュース

【1.米国】

先週の米国市場は小幅に上昇しました。財政緊縮策への反対が多数を占めた5日のギリシャ国民投票の結果を受けても底堅さをみせたダウ平均ですが、週半ばには下げ止まらない中国株を嫌気して大幅安となりました。しかし、ギリシャが9日に欧州連合(EU)にEUの緊縮案に近い財政改革案を提出したことを受けてギリシャの金融支援協議が進展するとの期待や、反発した中国株を好感して週末に大幅続伸となったことから、ダウ平均は週間で30ドルの上昇となっています。

1-1. ISM非製造業景況感指数

6日発表の6月のISM非製造業景況感指数は56.0と市場予想に届かなかったものの、1年1カ月ぶりの低水準となった前月の55.7から上昇し持ち直しとなっています。

1-2.FOMC議事録要旨

8日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、米景気の改善傾向を評価しつつも、大半の参加者は利上げを決めるには労働市場などで一段の改善を示す指標の必要との見解だったことがわかりました。また、ギリシャ情勢や中国景気に関する不透明感についての指摘があったことなどから、全体としてハト派的な内容とマーケットでは受け止められました。

1-3.米小売売上高

14日に6月の米小売売上高が発表されます。5月の米小売売上高は前月比1.2%増と市場予想通りで3カ月連続でのプラスとなりました。変動が大きい自動車・同部品、ガソリン、建築資材を除くコア売上高も前月比0.7%増と市場予想を上回り、個人消費の落ち込みが冬場の悪天候による一時的なものだったとの見方を裏付ける内容でした。今回もプラスが予想されていますが、伸びは5月を大きく下回る見込みです。

1-4.イエレンFRB議長の議会証言

15日に下院で、16日には上院でイエレンFRB議長が半期に一度の議会証言を行う予定です。1-3月期の景気減速の見方や今後の回復見通しなどに加えて、不透明感を強めるギリシャ情勢や中国株の影響についても言及がありそうで、証言で利上げへのヒントが得られるかが注目されます。

1-5.米CPI

17日に6月の米消費者物価が発表されます。5月の米消費者物価指数(CPI)は、変動の大きいエネルギーや食料を除いたコア指数が前年比1.7%上昇と、前月から小幅鈍化しました。今回は前年比1.8%上昇と前月をわずかに上回る伸びが見込まれています。

1-6.決算発表

米国企業の4-6月期の決算発表が本格化します。今回はS&P500採用の主要企業ベースで3%近い減益が見込まれています。今週は14日にJPモルガン・チェース(JPM)やウェルズ・ファーゴ(WFC)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)などが、15日にインテル(INTC)、バンク・オブ・アメリカ(BAC)などが、16日にグーグル(GOOG)、ゴールドマン・サックス(GS)、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)などが、そして17日にゼネラル・エレクトリック(GE)などが決算を発表する予定です。

【2.欧州】

先週の欧州の主要株価指数はギリシャの金融支援協議が進展するとの期待や、中国株の下げ止まりを好感して大きく上昇しました。ドイツのDAX指数が週間で2%を超える反発をみせたほか、フランスのCAC指数も2%近く上げています。しかし、12日のユーロ圏財務相会合や首脳会議ではギリシャが15日夜までに税制や年金制度の改革などの措置を法制化する必要があるとして協議が合意に至らず、協議の行方が再び不透明となっています。
ユーロ/ドルは、ギリシャ国民投票結果を受けて前週末の1.11ドル丁度近辺から週明けに1.10ドル割れへ下落しましたが、当事者の割には小幅な下落に留まりました。7日には、原油価格の下落やドイツ10年債利回りの大幅低下を眺めて続落し、1.0916ドルの安値をつけましたが、その後は中国株価の大幅下落を背景とした市場全般のリスク回避傾向にも拘らず強含みで推移し、10日にかけて一時1.12ドル台を回復しました。

2-1.ZEW独景気期待指数

14日に7月の欧州経済研究センター(ZEW)による独景気期待指数が発表されます。6月は31.5と前の月の41.9から大きく悪化しましたが、7月はさらに低下する見込みとなっています。

2-2.ECB理事会

16日にECB理事会が開催されます。金融政策に変更はないとみられますが、ユーロ圏財務相がギリシャに15日夜までに改革措置の法制化を求め、ECBが保有するギリシャ国債の償還期限が20日に控えるなか、ECBがギリシャに対する緊急流動性支援(ELA)の上限を引き上げるのかが注目されます。

【3.日本】

先週の日本市場は下落しました。ギリシャの国民投票でEUの緊縮策受け入れが否決されたことで大幅下落で始まった日経平均は、7日に大きく反発したものの、調整が続く中国株が下げ止まらないことを嫌気して8日には600円を超す下げとなり20,000円の大台を割り込みました。9日も大きく下げて始まった日経平均は取引時間中に19,100円台まで売られましたが、大幅下落でのスタートとなった中国株が切り返し大きく反発したことから日経平均も上昇に転じました。しかし、日経平均は週間で750円以上下げています。

ドル/円は、週明けには週末のギリシャ国民投票結果を受けたリスク回避傾向の中で前週末の122円台後半から一時122割れとなりました。その後、7日のユーロ圏首脳会合での対応協議に向けて、強硬派とみなされていた財務相の辞任などギリシャ側の譲歩姿勢が垣間見られたほか、週末12日に緊急EU首脳会合に向けてギリシャが新提案を提出することとなったため、合意期待からドル/円は122円台を維持しました。8日には中国株価の急落を受けて金融市場全般のリスク回避傾向が急速に強まり、ドル/円は120.41円へ急落しましたが、9日に中国株価が反発、そして10日にはギリシャが新提案を提出したことからリスク回避傾向が後退し、米利回りの持ち直しと共に123円手前まで回復しました。

3-1.景気ウオッチャー調査

8日に発表された6月の景気ウオッチャー調査(街角景気)は、現状判断DIが51.0で前月比から2.3ポイント低下し2カ月連続で悪化しました。2-3カ月先をみる先行き判断DIは前月比1.0ポイント低下の53.5と7ヵ月ぶりに悪化しています。

3-2.日銀の金融政策決定会合

14日と15日に日銀の金融政策決定会合が開催され、15日に結果が発表されます。金融政策に変更はないとみられますが、中国など世界経済の回復が緩慢となるなか、2015年度のGDPの成長率見通しが下方修正されるとみられています。

【4.中国】

先週の上海市場は、証券会社21社が総額1200億元以上の資金を上場投資信託(ETF)に投じなどの株価対策を受けて週明けに4日ぶりの反発で始まりましたが、7日に反落すると次々と打ち出される株価対策にも関わらず株価が下げ止まらないことから売りが加速し8日には上海総合指数が6%近い下げとなり節目の3,500ポイントを割り込みました。9日には3,300ポイント台まで売られる場面もありましたが、公安が証券監督管理委員会と共同で空売りの調査に乗り出すと表明すると、空売りをしていた投資家が慌て先物を買い戻し始めたことあって切り返し5%を超える反発となりました。週末にかけて大幅続伸となった上海総合指数は結局、4週間ぶりに反発し週間で5%を超える上昇となりました。

4-1. 中国CPI

9日に発表された6月の中国の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.4%上昇し市場予想を上回りました。上昇率は5月の1.2%から拡大しています。

4-2. 中国の国内総生産(GDP)

15日に4-6月期の中国の国内総生産(GDP)が発表されます。1-3月期は7%増で政府目標と一致しましたが、4-6月期はそれを小幅に下回る成長が見込まれています。中国では株価の大きな調整が続いているだけに予想比での下振れに注意が必要です。

グローバル・マクロ・ビュー(世界経済の基本観)

  1. 日本(前回から変更なし)
    日銀は2%のインフレ目標達成時期を16年度前半へ後ずれさせつつも、景気やインフレに関する強気姿勢を維持しており、目先の追加緩和を示唆していません。更に、黒田総裁が6月10日にこれ以上の円安は考えにくいと発言したことで、円安をもたらす追加緩和を計画していないことも示唆されています。
  2. 米国(前回から変更なし)
    6月18-19日に開催されたFOMCでは、冬場の減速からの回復が確認され、FOMC参加者の2015年末のフェデラルファンド金利予測(中央値)が0.625%で維持され、年内の利上げ開始見通しを強める結果となりました。もっとも、2016、17年のフェデラルファンド金利予測は小幅下方修正されたことから、先行きの利上げペースがより緩やかになるとの見方が示されました。利上げ開始時期を巡っては、9月との見方が多いですが、今後の経済指標発表を受けて思惑が振れる状況が続くと考えられます。
  3. 欧州(追加緩和リスクはいったん低下)
    7月12日のユーロ圏首脳会合で、ギリシャ支援につき、7月15日までのギリシャ議会での改革案の法制化と確実な実行を前提に、第3次支援に向けて協議を開始する旨合意に達し、目先のギリシャ情勢への懸念が後退しました。このため、ECBが金融政策面で市場を下支えする必要性は更に後退しました。
  4. 新興国(前回から変更なし)
    中国では、上海総合株価指数が底値からは反発し下落が一服していますが、6月12日にピークをつけてから依然として23%程度下落した水準にあります。こうした中、景気動向に悪化がみられるようだと、中国人民銀行による更なる緩和措置や財政刺激策が取られる可能性があります。

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