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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部世界経済のトレンド丸解り!今週の注目レポート

このコーナーでは、フィナンシャル・インテリジェンス部に配属された新人のルミが「世界経済の今・そしてこれから」を掴むために是非読んでおきたい、今週の重要レポート・ニュース記事を紹介します。(原則月曜日更新)

2015年09月07日

焦点は再び中国の株価や景気動向か

「部長、おはようございます!」
「槙原君、おはよう。今週のポイントは?」
「今週は中国で貿易統計やCPI、PPIなどの経済指標が発表されます。再び中国の株価や景気動向に注目が集まりそうですね。」

詳細は以下をご覧ください。

今週の注目レポート・重要ニュース

【1.米国】

先週の米国市場は大きく下落しました。世界同時株安の流れを受けて続落スタートとなったダウ平均は8月31日と1日の2日間で580ドル余り下落しました。その後、中国市場の下げ渋りを受けて反発をみせたものの、週末も日本や欧州の株価下落を嫌気し270ドル以上の下げとなりました。ダウ平均は週間で540ドルの下落となっています。

1-1.米ISM景況指数

1日に発表された8月のISM製造業景況指数は51.1と前月から1.6ポイント低下し、2013年5月以来、2年3カ月ぶりの低水準となり、市場予想も下回りました。一方で3日発表の8月のISM非製造業景況指数は59.0と2005年8月以来の高水準だった7月の60.3からは低下したものの、市場予想は上回り引き続き高水準を維持しました。

1-2.米雇用統計

4日に発表された8月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比17万3千人増となり市場予想を下回ったものの、6.月が23万1千人増から24万5千人増に、そして7月が21万5千人増から24万5千人増に上方修正されました。また、失業率は5.1%と前月より0.2ポイント低下し市場予想を上回る改善をみせ、平均時給は前年同月比2.2%上昇し市場予想を上回りました。こうした結果を受けて米連邦準備理事会(FRB)による9月利上げの可能性は残ったといえそうです。

【2.欧州】

先週の欧州の主要株価指数は、8日のECB理事会の結果を受けて追加の金融緩和期待から大きく上昇する場面もみられたものの、世界同時株安の流れを受けて下落しました。ドイツのDAX指数が週間で2%を超える下げとなったほか、フランスのCAC40指数も3%以上の大幅下落となっています。

ユーロ/ドルは、1日に中国各種PMIが市場予想を下回ると避難通貨として買われ、1.13ドル台へ上昇する局面もありましたが、3日にECBが定例政策理事会で成長率およびインフレ率の見通しを下方修正した上で、今後の量的緩和プログラムの延長の可能性を示唆したことから急落、一時1.11ドル割れとなりました。対円でも、週初の136円丁度近辺から一時132.23円へ大幅安となりました。

2-1.ユーロ圏消費者物価指数

31日発表の8月のユーロ圏の消費者物価指数(速報値)は前年同月に比べて0.2%上昇し、市場予想をやや上回りました。エネルギーと食品、酒・たばこを除く指数も前年同月比1.0%上昇で、デフレ懸念がひとまず後退する格好となっています。しかし、ECBが物価安定のための政策目標とする「2%未満で、その近辺」を依然として大きく下回ったままです。

2-2.ECB理事会

3日に開催されたECB理事会で金融政策の変更はありませんでしたが、新興国の景気減速などを理由に成長率と物価の見通しが下方修正されました。また、ドラギ総裁が定例政策理事会後の記者会見で、資産購入プログラムの購入余地を拡大し、更に今後の量的緩和の延長の可能性を示唆したことから、マーケットでは追加緩和期待が強まりユーロが売られる一方で、欧州株が全面高となりました。

2-3.ユーロ圏GDP改定値

8日に4-6月期ユーロ圏GDP改定値が発表されます。改定値は速報値の前期比0.3%増から変化なしとみられていますが、仮に下方修正されるようだとECBによる追加緩和期待が一段と強まりそうです。

【3.日本】

先週の日本市場は大きく下げました。日経平均は中国株安を受けて大きく下落して始まると、1日には先物主導で700円を超える下げとなりました。日経平均は2日に下げ渋ると、3日には4営業日ぶりに反発したものの、小幅な上昇に止まり上値の重さも意識されるなか、週末には再び大幅安となり、8月25日の終値ベースの直近安値を下回って取引を終えました。結局、日経平均は週間で1,300円余り下げ、週間の下げ幅としてはリーマン・ショック後の2008年10月第2週の2,661円以来、約7年ぶりの大きさでした。

ドル/円は、9月1日の中国各種PMIの悪化を受けて119円台へ下落した後、週末にかけても円の買い戻しが続き、一時118.61円の安値を付けました。

3-1.4-6月期GDP改定値

8日に4-6月期GDP改定値が発表されます。速報値の前期比年率1.6%減から小幅に下方修正されるとみられていますが、予想を上回る下方修正となれば景気の弱さが一段と意識され、日銀による追加の金融緩和期待が高まる可能性もありそうです。

3-2.メジャーSQ

11日は株価指数先物取引と株価指数オプション取引のSQ(特別清算指数)算出日が重複する3ヵ月に一度のメジャーSQです。メジャーSQの週は相場が荒れるとも言われています。

【4.中国】

先週の上海市場は下落しました。最大手の中信証券の役員がインサイダー取引の疑いで刑事処分を受けたことなどもあって反落スタートとなった上海総合指数は、1日も8月の中国製造業PMIが6ヵ月振りに景気判断の分かれ目となる50を下回り3年振りの低水準となったことなどから続落となりました。2日は下げ渋ったものの、上海総合指数は3日続落となり週間で2%を超える下げとなりました。上海市場は抗日戦勝記念式典で3日と4日が休場で先週は3日間のみの取引でした。

4-1. 中国貿易収支

8日に8月の中国の貿易収支が発表されます。7月は輸出が前年同月比8.3%減、輸入も同8.1%減となり、ともに市場予想を大きく上回る減少となったことで中国経済の減速への懸念が高まりました。8月の市場予想は輸出が6.7%減、輸入が8.0%減で7月から減少幅が低下する見通しですが、厳しい数字が続くようだと中国経済への不透明感が一段と強まりそうです。

4-2. 消費者物価指数(CPI)

10日に8月の中国消費者物価指数(CPI)が発表されます。8月は7月の前年同月比1.6%上昇から上昇率が拡大し1.9%上昇となりそうですが、それでも政府が掲げる通年平均の目標である3.0%を依然として大きく下回りそうです。

4-3. 生産者物価指数(PPI)

10日に8月の生産者物価指数(PPI)が発表されます。 8月は前年同月比5.6%低下と前月から下げ幅が拡大すると見込まれています。

グローバル・マクロ・ビュー(世界経済の基本観)

  1. 日本(前回から変更なし)
    日本では4-6月期GDPのマイナス成長に続き、28日発表の7月の消費指標(全世帯家計調査)が前年比マイナス、31日発表の鉱工業生産も前月比マイナス、更にコアCPIも前年比ゼロ%と、市場では追加緩和期待が高まりつつあります。もっとも、黒田総裁は27日に追加緩和なしで2%のインフレ目標達成が可能と発言しており、市場の追加緩和期待をなだめようとしているとみられます。もっとも、今週発表の2QGDPの大幅下方修正や、更なる円高の進行、そして本邦株価の下落が続くようだと、日銀の姿勢に変化が出てくる可能性があります。
  2. 米国(前回から変更なし)

    4日発表の米8月雇用統計は全体としてまずまずの内容と言えます。こうした中、世界的な市場の混乱が鎮静化するようだと、9月16-17日のFOMCに向けて利上げ開始期待が再び高まる可能性が残っています。

  3. 欧州(追加緩和期待が更に強まる)

    ユーロ圏では原油安などの影響でインフレ率が再びマイナス化するリスクが高まっている中で、先週3日にECBは量的緩和プログラム下での債券購入余地を拡大し、来年9月以降も購入を継続する可能性を示唆しました。今後、原油価格やインフレ率が更に低下するようだと、ECBの追加緩和期待が更に強まりそうです。

  4. 新興国(前回から変更なし)

    中国では、株式市場の不安定さは続いているものの、5日に閉幕したG20財務相・中銀総裁会合などで中国高官は株式市場が安定化しつつあると強調しており、追加的な景気対策の必要性も示しませんでした。もっとも、今後発表される中国主要統計次第では、当局による追加的な財政刺激や金融緩和(利下げ、預金準備率引き下げ)への期待感が再び高まる可能性が残っています。

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