投資情報

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部世界経済のトレンド丸解り!今週の注目レポート

このコーナーでは、フィナンシャル・インテリジェンス部に配属された新人のルミが「世界経済の今・そしてこれから」を掴むために是非読んでおきたい、今週の重要レポート・ニュース記事を紹介します。(原則月曜日更新)

2015年09月14日

FOMCで利上げが決まるかが最大のポイント

「部長、おはようございます!」
「槙原君、おはよう。今週のポイントは?」
「今週は日米で金融政策を決める重要な会議がありますね。」
「そうだな、特に米国のFOMC(エフオーエムシー)で利上げが決定されるかどうかが一番の注目だな。」
「ベトナムの麺料理ですね!」
「それはフォー。」
「あっ司会者ですね!」
「それはエムシー。」
「あっ、ヤングマンのことかしら!」
「それはYMCA(ワイエムシーエー)。随分頑張って引っ張ったが、もう読者もFed up(うんざり)だぞ!」

詳細は以下をご覧ください。

今週の注目レポート・重要ニュース

【1.米国】

先週の米国株式市場は上昇しました。レイバーデーの休場明けの8日は中国株の反発を受けてリスクオフムードが和らぎ、ダウ平均は400ドル近い大幅上昇となりました。翌週のFOMCで利上げが決定されないのではないかとの思惑が高まる中、週の後半にかけても買い優勢となりダウ平均とS&P500は週間で2%超、ナスダック総合指数は3%近い大幅上昇となりました。

1-1.ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)

11日発表の9月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は85.7と前月の91.9から6.2ポイントの大幅低下となりました。悪化は7月から3ヵ月連続で、前月からの低下幅は2012年12月以来2年9ヶ月ぶりの大きさでした。中国の景気減速懸念や足下の株安を受け消費者センチメントが大きく悪化したようです。

1-2.小売売上高

15日に8月の小売売上高が発表されます。労働市場の改善の中で米国の個人消費は堅調に推移しているとみられており、小売売上高は変動の大きい自動車とガソリンを除いた売上高が前月比0.4%増と前月に引き続き堅調な伸びとなることが予想されています。

1-3.鉱工業生産

15日に8月の鉱工業生産指数が発表されます。同指数は昨年12月をピークとしてやや停滞が続いています。7月分は前月比0.6%増となりましたが、8月分は0.2%減と予想されています。

1-4.消費者物価指数(CPI)

15日に消費者物価指数(CPI)が発表されます。食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年比1.9%の上昇と予想されています。物価上昇率はFOMCでの利上げ判断に影響が大きいため注目されます。

1-5.住宅関連指標

16日に9月のNAHB住宅市場指数、17日に8月の住宅着工件数と住宅関連指標が相次いで発表されます。米国の住宅市場は堅調に回復しているとみられますが、8月の住宅着工件数は前月比5.1%減の114.5万件と予想されています。

1-6.連邦公開市場委員会(FOMC)

16日から17日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、17日に結果発表が行われます。今回の最大の焦点は利上げ開始を決定するかどうかです。マーケットでは労働市場の堅調な回復などを背景に利上げを実施するとの見方と、足下のマーケットの混乱などを受けて今回の利上げ開始は見送るのではないかとの見方に分かれています。

【2.欧州】

先週の欧州の主要株価指数は、ドイツのDAX指数が週間で85ポイント高となるなど概ね上昇しました。週初から買い先行で始まったDAX指数は7日まで4日続落していた上海総合指数が反発したことなどが好感され、8日に1.6%の大幅高を記録しました。DAX指数は週末にかけて下落したものの、週前半の上昇を打ち消すには至りませんでした。
ユーロ/ドルは、前週にECBが追加金融緩和への姿勢を示した後やや材料不足のなか、週の半ばまで1.115ドルから1.12ドルのレンジ推移が続きましたが、週の後半にかけて買われ、一時1.1350ドルをつけました。ユーロ/円はユーロ/ドル同様週の前半は揉み合い推移となりましたが、週の後半にかけて買われ一時136.93円の高値をつけました。

2-1.ユーロ圏GDP改定値

8日発表の4-6月のGDP改定値は前年同期比1.5%の増加と、速報値の1.2%から上方修正されました(前期分も1.2%増から1.5%増へ上方修正)。輸出の回復が下支えする格好で、欧州経済が緩やかに回復していることを示す内容でした。

2-2.ドイツZEW景況感調査(期待指数)

15日にドイツのZEW景況感調査(期待指数)が発表されます。同指数は4月から8月まで5ヵ月連続で低下しており、今月の調査も前月の25.0から18.3に低下するとみられています。

【3.日本】

先週の日本市場は5週ぶりに反発しました。過去4週で3,000円近く下落しており割安感が高まっていた日経平均は9日に1日で1,343円高と歴代6位の大幅上昇を記録しました。通常30%前後である東証1部の空売り比率が40%超まで高まっていたことから、株価の反発を機にショートカバーが進んだことが上昇に拍車をかけたとみられます。 ドル/円は、中国株価の反発によってリスクオフムードが和らぐと120円台を回復しました。10日は安倍総理への影響力が強いとされる山本幸三議員が10月の追加金融緩和の必要性に言及したことをきっかけに円売りが強まり、一時は121円台をつける場面もみられました。

3-1.4-6月期GDP改定値

8日発表の4-6月のGDP改定値は、速報値の前期比年率換算-1.6%から-1.2%に上方修正されました。ただ、上方修正の主因は民間在庫投資の増加であり、企業の設備投資が下方修正されたことからあまり評価できる内容ではないとの声もあるようです。

3-2.メジャーSQ

11日は先物・オプションの特別清算指数(SQ)の発表日で、日経225先物・オプション9月限のSQ値は1万8119円49銭となりました。

3-3.金融政策決定会合

14日から15日にかけて日銀の金融政策決定会合が開催されます。黒田日銀総裁はエネルギーを除く消費者物価指数が順調に上昇していること、7-9月期のGDPはプラス成長に戻るとの見方を示していることなどから今回の会合で追加金融緩和が発表される可能性は高くないと見られますが、昨年10月に大方の予想を裏切りサプライズで緩和を決定した経緯もあり、改めて注目が集まります。会合の結果は15日のお昼ごろ発表されるとみられます。

【4.中国】

先週の上海市場は4週ぶりに反発しました。個人投資家の配当を非課税にするとの方針や、株価先物が急激に変化した際に取引を一時停止するサーキットブレーカー制度の導入を行う方針を発表したことを受け、買われました。また、8日に発表された貿易統計で輸入が前月から大きく鈍化していたことで、今後のさらなる景気浮揚政策の発表期待が高まりました。

4-1. 中国貿易収支

8日発表の8月の貿易収支は602.4億ドルの黒字となりました。輸出は前年同月比6.1%減、輸入は14.3%減とそれぞれ前月から低下幅が拡大したため、改めて中国経済の鈍化懸念が高まったことで、今後の景気浮揚政策の発表に期待が高まる結果となりました。

4-2.消費者物価指数(CPI)

10日発表の8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.0%の上昇と前月の1.6%の上昇、市場予想の1.8%の上昇をともに上回りました。ただ、上昇の主な要因は豚肉など食品価格の上昇であり、経済活動の回復を反映したものではないとの指摘があります。

4-3. 生産者物価指数(PPI)

10日発表の8月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比5.9%の下落と前月の5.4%の下落から下げ幅が拡大し、市場予想(5.6%の下落)も下回りました。PPIの下落は42ヵ月連続で、中国のデフレリスクが改めて意識される低調な内容でした。

4-4. 鉱工業生産

週末13日発表の8月の鉱工業生産は前年同月比6.1%増と前月の6.0%増とほぼ横ばいの伸びにとどまり、市場予想の6.5%増を下回りました。

4-5. 小売売上高

週末13日発表の8月の小売売上高は前年同月比10.8%の増加と、前月の10.5%増や市場予想の10.6%増を上回る伸びを見せました。

グローバル・マクロ・ポリシー・ビュー(世界経済・政策の基本観)

  1. 日本(日銀追加緩和期待が高まる)
    日本では4-6月期GDPは前期比年率1.2%減へ上方修正されたもののマイナス成長のままで内容も芳しくなく、かつ景気ウォッチャー調査、機械受注などが軒並み市場予想を下回りました。こうした中、安倍総理の経済政策面でのブレーンの一人とされる山本幸三議員が10月30日の決定会合は追加緩和にいいタイミングだと発言、補正予算にも言及したことから、追加緩和期待がにわかに高まりつつあります。
  2. 米国(前回から変更なし)
    今週16-17日のFOMCに向けて、市場では労働市場を中心とする米国景気の堅調を背景に利上げが開始されるとの見方と、低インフレや市場の混乱を背景に利上げが見送られるとの見方に分かれています。なお、今回利上げが決定されたとしても、FOMCメンバーの政策金利(FF金利)やインフレ率に関する予想が下方修正され、追加利上げに関する期待は後退する可能性が高そうです。
  3. 欧州(前回からの変更なし)
    ユーロ圏では、原油安などの影響でインフレ率が再びマイナス化するリスクが高まっている中で、9月3日にECBは量的緩和プログラム下での債券購入余地を拡大し、来年9月以降も購入を継続する可能性を示唆しました。今後、原油価格やインフレ率が更に低下するようだと、ECBの追加緩和期待が更に強まりそうです。
  4. 新興国(前回からの変更なし)
    中国では、株式市場の不安定さが続いているほか、13日発表の主要経済指標は鉱工業生産や固定資産投資が市場予想を下回ったこともあって、当局による追加的な財政刺激や金融緩和(利下げ、預金準備率引き下げ)への期待感が燻っています。

(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。

マネックスレポート一覧

マネックス証券に口座をお持ちでない方はこちら

  • 口座開設・資料請求はこちら(無料)

ご留意いただきたい事項

マネックス証券(以下当社)は、本レポートの内容につきその正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。当社が有価証券の価格の上昇又は下落について断定的判断を提供することはありません。
本レポートに掲載される内容は、コメント執筆時における筆者の見解・予測であり、当社の意見や予測をあらわすものではありません。また、提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されることがございます。
当画面でご案内している内容は、当社でお取扱している商品・サービス等に関連する場合がありますが、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。
当社は本レポートの内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
本レポートの内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。

当社でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動・金利の変動・為替の変動等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。また、発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。

なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。

なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。