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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部世界経済のトレンド丸解り!今週の注目レポート

このコーナーでは、フィナンシャル・インテリジェンス部に配属された新人のルミが「世界経済の今・そしてこれから」を掴むために是非読んでおきたい、今週の重要レポート・ニュース記事を紹介します。(原則月曜日更新)

2015年09月28日

マーケットは改めてFOMCによる利上げ時期を模索へ

「部長、good morning!
「槙原君、おはよう。今週のポイントは?」
「槙原君、おはよう。何だか、我々が毎朝出演しているフジテレビのオンライン番組「ホウドウキョク」MCの太田エイミーさんみたいだな!で、ジスウィークのポイントは?」
「日銀短観と米国の雇用統計ですね!」
「イエレン議長は咳き込んで脱水症状になりながらも、年内は利上げ開始できそうです、といっていたが、平均時給が加速するかが見ものだな。日本も、先週の安倍首相・黒田日銀総裁(アベ・クロ)会談でにわかに追加緩和期待が高まっているから、短観が悪化すれば更に高まるかもしれんな」
「アベクロが二人で上半身裸になってマッチョぶり?を示したら、効果があったかもしれないのに♡」
「ちょっと想像したくないが、それはアメリカのアパレル・メーカーの店頭じゃないのか」
「他方、市場では米国は12月まで「STAY」というのがコンセンサスです」
「それはドラマ「官僚の夏」のテーマソングを歌った二人組のことじゃないのか」

詳細は以下をご覧ください。

今週の注目レポート・重要ニュース

【1.米国】

先々週(9月14日-18日)の米国市場は小幅に下落しました。ダウ平均は、好調な米小売売上高や原油価格の上昇を好感して大きく上げる場面もみられましたが、FRBが17日に世界景気減速のインフレ率への影響の可能性などを理由にFOMCでの利上げを見送ったことで、世界経済の先行きを懸念した売りが膨らみ週末に大幅安となったことから週間で50ドル近い下げとなりました。
先週(9月21日-25日)の米国市場も続落しました。週明けは中国や欧州の株高を好感して3日ぶりに反発したものの、その後、中国の景気を警戒する売りや、ドイツのフォルクスワーゲンの排ガス試験の不正問題を嫌気しての欧州株安などを受けて3日続落となったことで、ダウ平均は週間で70ドル近く下げました。また、ナスダック総合株価指数はクリントン前国務長官が医薬品価格の抑制に取り組む姿勢を表明したことへの懸念からバイオ株に売りが膨らみ、週間で3%近い下げとなっています。

1-1.米小売売上高

15日に発表された8月の米小売売上高は前期比0.2%増となり市場予想を下回りました。しかし、自動車とガソリン、建材、外食を除いたコア小売売上高は同0.4%増と市場予想を上回りました。この堅調な結果を受けて利上げ期待を反映しやすい米2年債利回りは上昇して0.80%台乗せとなり、2011年4月以来の水準となりました。また、米国株式市場は堅調な米小売売上高を好感して大幅高となりました。

1-2.米CPI

15日に発表された8月の米消費者物価指数は前月比0.1%低下し7カ月ぶりのマイナスとなりましたが、前年比では0.2%上昇となり市場予想と一致しました。一方で変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数は前年比1.8%上昇と前月と同じ伸びにとどまり市場予想も下回りました。このため早期の利上げ観測がやや後退しました。

1-3.米FOMC

16日-17日と連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され17日(日本時間18日未明)に結果が発表されました。世界が固唾をのんで見守った利上げに関しては、景気後退からの回復はこれまでのところ著しい進展をみせており、現時点で利上げに踏み切る根拠になるほど国内消費も十分に底堅くなっているとしながらも、世界景気減速懸念や市場の不安定のインフレ率への影響の評価に時間を要するとして見送られました。また、来年、再来年のGDP成長率とコアPCEデフレータの見通しと同時に、FF金利見通しも予測期間全般にわたり引き下げられています。こうしたなかイエレン議長は引き続き多くのFOMC参加者が年内の利上げを見込んでいるとし、10月利上げを排除しないといった見解も示しましたが、声明文とイエレン議長の記者会見における発言のトーンはハト派的で12月利上げが後ずれする可能性も否定しきれないといった印象でした。ただ、24日の講演でイエレン議長は年内の利上げが適切との見方を改めて示しています。
17日のFOMCの結果に対するマーケットの反応はまちまちでした。米国株式市場でダウ平均は、声明発表後しばらくは利上げの見送りを好感して上げ幅を拡大し、一時は200ドル高近くまで上昇しましたが、10月の利上げが意識され引けにかけてマイナスに転じ結局65ドル安で取引を終えました。米2年債利回りは利上げが見送られたことを受け大きく低下し、ドル円も円高に振れました。

1-4.4-6月期米GDP確定値

25日に発表された4-6月期米国内総生産確定値は年率換算で前期比3.9%増と、市場予想を上回って3.7%増だった改定値から0.2ポイント上方修正されました。また、FRBが物価安定の指標とする個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同期比0.3%上昇し、1-3月期から0.1ポイント上昇幅を拡大させましたが、インフレ目標の2%は引き続き下回ったままとなっています。

1-5. ISM製造業景況感指数

10月1日に9月のISM製造業景況指数が発表されます。8月のISM製造業景況指数は51.1と前月から1.6ポイント低下し、2013年5月以来、2年3カ月ぶりの低水準となりましたが、今回はそれをさらに下回る見込みです。

1-6.米雇用統計

10月2日に9月の米雇用統計が発表されます。前回17万3千人増と20万人を下回った非農業部門の雇用者数は20万人増が、失業率は前回と同じ5.1%が、そして平均時給は前回の伸びを上回る前年同月比2.4%上昇が見込まれています。前回のFOMCを受けてFRBによる利上げ時期が不透明となるなか、利上げ時期を探るうえで今回も雇用統計に注目が集まりそうで、平均時給が高い伸びとなれば年内の利上げ観測が強まる可能性もあります。

【2.欧州】

先々週(9月14日-18日)の欧州の主要株価指数は下落しました。フランスのCAC40指数は小幅な下げに止まったものの、ドイツのDAX指数は2%安と大きく下落しました。 先週(9月21日-25日)の欧州の主要株価指数はドイツのフォルクスワーゲンの排ガス試験の不正問題などを嫌気して下落しました。ドイツのDAX指数は先々週に続いて2%を超える下げとなっています。
ユーロ/ドルは、17日の米FOMCでの利上げ見送りを受けて1.1460ドルへ大幅上昇しましたが、その後はECB追加緩和期待が燻る中、ドイツ・フォルクスワーゲン株の急落もあって1.11ドル丁度近辺まで反落しています。なお、ECB高官からは早期追加緩和に慎重な発言が相次ぎ、ユーロ下落が限定的となりました。

2-1.ユーロ圏製造業PMI

23日発表の9月のユーロ圏製造業PMI速報値は52.0となり市場予想と一致しましたが、8月からは0.3ポイントの低下となりました。輸出受注の伸びが鈍化し、生産指数が4カ月ぶりの水準に落ち込みました。

2-2.独Ifo企業景況感指数

24日に発表された9月の独Ifo企業景況感指数は108.5となり8月の108.4から小幅に改善し、市場予想を上回りました。

2-3.ユーロ圏消費者物価指数

30日に9月のユーロ圏総合消費者物価指数が発表されます。8月の前年比0.1%上昇が今回はゼロ%へ鈍化する見通しで、予想通りの結果になるとECBによる追加の緩和期待が高まりそうです。

【3.日本】

先々週(9月14日-18日)の日本市場は下落しました。中国株安を嫌気し大きく下げて始まった日本市場はその後反発し、3日続伸から日経平均は18,000円を回復しました。しかし、米FOMCで利上げが見送られドル円が円高に振れたことなどから週末に大きく下げたことで日経平均は週間で200円近い下げとなりました。
先週の日本市場はシルバーウィーク明けで2日間のみの取引でした。日経平均は週末に割安感から大きく反発したものの、日本が休場中の米国市場が大きく下げて戻ってきたことで休場明けに500円近い大幅な下げとなったことからトータルで190円弱の下落となり、18,000円を再び割り込んでいます。
ドル/円は120円を中心としたレンジが続いています。米FOMC後に121円丁度近辺から119.06円へ下落しましたが、いずれ利上げは行われることからドル押し目買いも入り易く、すぐに反発し、25日には米2QGDP確報値が予想外に上方修正されると一時121円を回復しました。
ユーロ/円は、14日週は136円丁度を挟んだ方向感のない展開でしたが、先週23日にかけてはドイツ・フォルクスワーゲン株の急落の影響もあって一時133.16円へ下落しました。

3-1.日銀金融政策決定会合

14日-15日と日銀の金融政策決定会合が開催され、15日の昼過ぎに結果が発表されました。金融政策に変更はないとの見方がマーケットのコンセンサスで、結果もその通りとなりましたが、一部に追加緩和への期待があったことから、発表直後には円高が進み、株式市場も大きく上げ幅を縮める場面がみられました。会合後の記者会見で黒田総裁は、物価について原油価格の動向で多少前後する可能性はあるものの、来年度の前半頃には2%に達する可能性高いとして引き続き強気姿勢を崩しませんでした。

3-2.消費者物価指数

25日に発表された8月の消費者物価指数は生鮮食品を除くコア指数が前年同月比で0.1%下落となりました。市場予想通りでしたが、2013年4月以来、2年4カ月ぶりのマイナスとなったことで来月の日銀の金融政策決定会合に向けて追加の金融緩和への期待が高まりそうです。

3-3.日銀短観

10月1日に9月調査の日銀短観が発表されます。大企業の景況感は製造業、非製造業とも6月調査から悪化するとみられています。中国経済の減速懸念が広がるなかでの調査だけに、企業が景気の見方により慎重となっている可能性もありそうで、予想を下振れると日銀の金融緩和への期待が高まりそうです。

【4.中国】

先々週(9月14日-18日)の上海市場は大きく下落しました。上海総合指数は、週半ばには大きく反発する場面みられましたが、「場外配資」と呼ばれる信用取引の取り締まりへの懸念が強まったことなどから週間で3%を超える下げとなりました。
先週(9月21日-25日)の上海市場は小幅に下落しました。習近平国家主席の訪米や国有企業改革進展への期待などから大きく上昇してスタートした上海総合指数は22日も堅調に推移しましたが、23日には発表された財新製造業PMI速報値が低い水準にとどまったことで景気の先行きに対する警戒感が強まり大きく下落しました。週末も大きく下げたことで上海総合指数はほぼ横ばいとなっています。

4-1. 中国製造業PMI

23日に発表となった9月の財新中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は8月の確報値から0.3ポイント低下し47.0となりました。好不況の判断の境目となる50を7カ月連続で下回り、6年半ぶりの低水準でした。これを受けて上海総合指数が2%強の下落となったほか、人民元も対ドルで約1カ月ぶりの安値水準となりました。10月1日には政府作成の製造業PMIが発表されます。8月の中国製造業PMIは6ヵ月振りに景気判断の分かれ目となる50を下回り3年振りの低水準とりました。今回は49.7と前回から横ばいが見込まれていますが、仮に市場予想を下回るようだと景気減速懸念が一段と高まりそうです。

グローバル・マクロ・ビュー(世界経済の基本観)

  1. 日本(日銀追加緩和期待がやや高まる)
    日本では4-6月期に続き7-9月期もGDPのマイナス成長が続き、技術的な景気後退に陥るリスクが懸念されるほか、インフレ率も8月分コアCPIが前年比マイナス0.1%と2%目標からますます遠ざかる中、先週金曜には安倍首相と黒田日銀総裁の会談が設けられたこともあって、早ければ10月30日の決定会合で追加緩和が行われるのではという期待が更に高まっています。
    もっとも、黒田総裁は7-9月期のプラス成長回帰、および物価の上昇基調の維持について自信を示しており、インフレ率についてはエネルギーを除けばプラス1.1%と述べるなど、原油安の影響を除いた「日銀版」コアコアCPIに焦点をシフトするなど、目先の追加緩和姿勢を示していません。
  2. 米国(前回から利上げ期待が後退)
    9月FOMCで世界景気減速の影響を一因として利上げが見送られたことから、市場では年内は利上げ開始が困難との見方も台頭しました。もっとも、24日にイエレン議長が年内利上げ開始の可能性を改めて強調したこともあって、来年へ先送りという見方が後退し、足許では12月FOMCで利上げが開始されるとの見方が大勢となりつつあります。
  3. 欧州(追加緩和期待がやや後退)
    ユーロ圏では、原油安などの影響でインフレ率が再びマイナス化するリスクが高まっている中で、追加緩和の必要性が高まっている面がありますが、一方で最近はECB高官が追加緩和に関して慎重な発言が相次いでおり、目先の追加緩和期待はやや後退しています。
  4. 新興国(前回からの変更なし)
    中国では、23日発表の財新製造業PMI速報が市場予想を下回り、悪化が続いたことから中国景気の減速懸念がやや強まっています。もっとも、株価が安値圏ながら下げ止まり感もあり、当局による追加的な財政刺激や金融緩和(利下げ、預金準備率引き下げ)への期待感はあまり高まっていないようです。

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