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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部世界経済のトレンド丸解り!今週の注目レポート

このコーナーでは、フィナンシャル・インテリジェンス部に配属された新人のルミが「世界経済の今・そしてこれから」を掴むために是非読んでおきたい、今週の重要レポート・ニュース記事を紹介します。(原則月曜日更新)

2015年10月13日

米国での関心はひとまずマクロからミクロへ 米企業の決算発表本格化

「部長、おはようございます!」
「槙原君、おはよう。今週のポイントは?」
「米国では今週から7-9月期の決算発表が本格化します。前年比で4%超の減益 予想なのですが・・・」
「ドル高や海外景気減速の悪影響が色濃く出ると年内利上げ開始期待が更に後ずれするかもしれんな」
「でも、4-6月期のように、最終的には前年比プラスとなる可能性も指摘されていますね!」
「ふむ。それに伴って米株価も上がれば、FOMCは利上げをし易くなる。そう考えると、企業業績が予想を上回っても、積極的に株を買いにくい、という見方も成り立つな。」
「市場参加者がどのように読んでいるかを読め、ということですね!じゃ「読め」入り修行もかねて、米株に注目しろ、ということかしら!なんか、マリハラみたいですね笑!」
「世の中、何でも○×ハラになってしまうからうかつなこと言えないな、ハラハラだ」

詳細は以下をご覧ください。

今週の注目レポート・重要ニュース

【1.米国】

先週の米国市場は上昇しました。ハト派的なFOMC議事要旨を受けて年内の利上げ観測が後退したことなどにより週を通して堅調な展開が続きくと、ダウ平均は8日に節目の17,000ドルを8月19日以来約1ヵ月半ぶりに回復しました。6日続伸で週の取引を終えたダウ平均は週間で600ドルを超える上昇となっています。

1-1. FOMC議事要旨

米連邦準備理事会(FRB)が8日に公表した9月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、多くの委員が米景気の緩やかな回復や雇用情勢の一段の改善を受けて利上げの条件がすでに整っているか、年内に整うとの認識だったことがわかりました。しかし、中国や新興国情勢への警戒感がさらなるドルの上昇や、石油などと他の商品価格の下落につながり、短期的に米国のCPIを押し下げたかもしれないとして、数人の委員はインフレ率が中期的に2%の目標に徐々に近づくとの確信は強まっておらず、インフレ見通しの下振れリスクへの懸念を示していたこともわかりました。つまり米経済が9月の利上げ実施を正当化する状況に近付きつつあることを確認しつつも、世界の景気減速が米景気を逸脱させないとの一段の確証を待つことが賢明との判断に至っていたことが改めて明らかになりました。今回の議事要旨では金利据え置きの決定をめぐり激しい論争が繰り広げられた様子がみられず、内容がハト派的だったとして議事要旨の発表を受けて株式市場は大幅高となりました。

1-2.米小売売上高

14日に9月の米小売売上高が発表されます。前回は自動車とガソリン、建材、外食を除いたコア小売売上高が前月比0.4%増となり市場予想を上回ったことで、利上げ期待を反映しやすい米2年債利回りが2011年4月以来の水準となり、株式市場も大幅高となりました。今回のコア小売売上高は前月比0.3%増と前回の伸びを小幅に下回る見込みとなっています。

1-3.米CPI

15日に9月の米消費者物価指数(CPI)が発表されます。前回は変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数が前年比1.8%上昇にとどまり市場予想を下回ったことで早期の利上げ観測がやや後退しました。今回もコア指数は前回同様に1.8%上昇が見込まれています。前回のFOMCではインフレの下振れリスクも指摘されていたることからCPIの動向がより注目されます。

1-4.米国企業の決算発表

今週から米国企業の7-9月期の決算発表が本格化します。今回は主要企業で4%強の減益が見込まれていますが、先週8日に主要企業で先陣を切って発表された非鉄大手アルコア(AA)の決算は大幅減益で、市場予想も下回り株価は大きく下落しました。今週は13日にJPモルガン・チェース(JPM)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、インテル (INTC)などが、14日にウェルズ・ファーゴ(WFC)、バンク・オブ・アメリカ (BA)、ネットフリックス((NFLX)などが、15日にゴールドマン・サックス(GS)、シティグループ(C)、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)などが、そして16日にはゼネラル・エレクトリック(GE)などが決算発表を予定しています。4-6月は当初マイナス予想が終わってみれば小幅なプラスとなりましたが、今回も予想を上回る決算となるかが注目されます。

【2.欧州】

先週の欧州の主要株価指数は米国での早期利上げ観測の後退や、ドイツのフォルクスワーゲンの排ガス不正問題で大きく売られた自動車株の買戻しなど受けて大きく上昇しました。ドイツのDAX指数、フランスのCAC40指数ともに5%を超える上昇となっています。
ユーロ/ドルは、個別材料がない中で1.11~1.13ドルの狭いレンジ推移が続いていましたが、週末9日に豪ドルなどと共に上昇し、レンジ上限である1.13ドルを明確に上抜けしてきています。ユーロ/円も135円丁度を挟んだ推移から、週末に137円丁度手前まで上昇しました。

2-1.ZEW独景気予測指数

13日に10月の欧州経済研究センター(ZEW)独景気予測指数が発表されます。今回はフォルクスワーゲンの排ガス不正問題もあって前回の12.1から大きく低下する見込みとなっています。

【3.日本】

先週の日本市場は大きく上昇しました。8日こそ利益確定の売りに押されて日経平均は200円近く下げたものの、8日以外は米国株高を受けて堅調な日が続きました。特に週末はファーストリテイリング(9983)が急落し日経平均を1銘柄で180円余り押し下げたにも関わらず、日経平均は300円近い上昇となりました。この結果、日経平均は週間で700円を超す上昇となっています。
ドル/円は、119.63円から120.57円の非常に狭いレンジ内の取引に終始しました。7日の日銀決定会合で追加緩和が見送られましたが、円高の動きは限定的で、10月30日の次回決定会合に向けた追加緩和期待は根強く残っていることも、下値が限定的だった一因とみられます。

3-1.金融政策決定会合

6日-7日に日銀の金融政策決定会合が開催され、7日の正午に結果が発表されました。その結果は現状維持で金融政策に変更はありませんでした。会見で日銀の黒田総裁は「物価の基調は着実に高まっており、デフレ状況ではなくなった」と語り、物価の上昇基調を改めて強調しました。しかし、昨年も物価に対する強気の発言を繰り返すなかで10月30日に突然の追加緩和に踏み切ったことから、マーケットには今月30日の次回の金融会合で追加緩和を行うのではとの根強い期待があります。

3-2.景気ウオッチャー調査

8日に発表された9月の景気ウオッチャー調査によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(DI)は前月より1.8ポイント低い47.5となり2カ月連続で悪化し、好不況の分かれ目となる50を2カ月連続で下回りました。

【4.中国】

先週の上海市場は国慶節の休場明けで8日と9日の週後半2日間のみの取引となりましたが、上海総合指数は大幅に反発しました。休場明けの8日は休場中に発表された9月の中国公式製造業PMIが改善していたことなどで大きく上昇した上海総合指数は、週末も10月中開催予定の5中全会を控え政策期待から続伸しました。この結果、上海総合指数は2日間で4%を超す上昇となっています。

4-1. 中国貿易収支

13日に9月の中国貿易収支が発表されます。前回は輸出が前年同月比6.1%減、輸入が14.3%減とそれぞれ前月から低下幅が拡大したため、改めて中国経済の鈍化懸念が高まりました。今回も輸出、輸入とも前月からマイナス幅が拡大するとみられています。

4-2. 中国CPI

14日に9月の中国の消費者物価指数(CPI)が発表されます。今回の上昇率は前回の前年同月比2.0%上昇から小幅低下し、引き続き政府が掲げる通年平均の目標である3.0%を大きく下回る見込みで、追加緩和期待が高まる可能性があります。

グローバル・マクロ・ビュー(世界経済の基本観)

  1. 日本(前回から変更なし)
    日銀は10月6-7日の決定会合で追加緩和を見送りました。更に日銀は、インフレ率について原油安の影響でマイナス化しているコアCPIよりも、原油安の影響を除いた「日銀版」コアコアCPIがプラス1.1%で推移している点に言及するなど、金融政策運営において物価の基調的な動向を重視する姿勢を繰り返し強調しています。もっとも、日本では4-6月期に続き7-9月期もGDPのマイナス成長が続き、技術的な景気後退に陥るリスクが懸念される中、早ければ10月30日の決定会合で追加緩和が行われるのではという市場の期待は根強く残っています。
  2. 米国(前回から利上げ期待が更に小幅後退)
    10月2日発表の米雇用統計の予想比低調に続き、9月FOMC議事要旨でも利上げに向けた積極的な議論がみられずハト派的な内容だったとの評価が多く、年内の利上げ開始期待が更に後退しているようです。もっとも、一部FOMCメンバーは依然として年内利上げ開始の可能性を主張しており、年内利上げ期待は依然として残っています。
  3. 欧州(前回からの変更なし)
    ユーロ圏では、原油安などの影響でインフレ率が再びマイナス化した中で、追加緩和の必要性が高まっている面がありますが、一方で最近はECB高官が追加緩和に関して慎重な発言が相次いでおり、目先の追加緩和期待は高まっていません。
  4. 新興国(前回からの変更なし)
    中国では、10月1日発表の公式製造業PMIが市場予想を若干上回ったことや、国慶節の連休明けに株価が上昇したこともあって、不安感が後退する面がありましたが、中国の景気減速懸念は払しょくされていません。10月26-29日開催予定の第18期党中央委員会第5回全体会議(五中全会)に向けて、追加的な財政・金融政策面での刺激期待(利下げ、預金準備率引き下げなど)が残っています。

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