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山本雅文「FX戦略ウィークリー」

シニア・ストラテジスト 山本雅文が国内外のファンダメンタルズ分析を基に、主に米ドル、ユーロ、豪ドル相場の先行きの見通しを分かりやすく、かつ深く鋭く分析し予想するレポートです。

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シニア・ストラテジスト 山本 雅文のレポートは2015年10月30日をもって更新は終了しました。これまでご愛読いただきありがとうございました。

2015年08月14日

円は元よりも強し、円安余地あり

今週の特徴:元安・ユーロ高・・・
今週は11日に始まる人民元基準相場の3日連続切下げが最大のイベントとなり、アジア通貨全般や豪ドルなどコモディティ通貨に売り圧力がかかったが、13日に人民銀が更なる大幅切下げ懸念を後退させたこともあって、下落率は人民元基準相場の4.4%下落に対して他のアジア通貨は概ね2%を下回るなど限定的となり、豪ドルの下落は1%未満に留まった。
むしろ、ギリシャ第3次支援早期合意期待の高まりもあって、相対的に避難通貨として捉えられたユーロが対ドルで12日にかけて1.1214ドルへ2%近く上昇した。
ドル/円は、元切下げ後12日にかけて125.28円の高値をつけた。翌日には元安を受けた米利上げ期待後退からくる米利回りの大幅低下を受けて124円割れへ急反落したが、元大幅切下げ懸念の後退を受けて米利回りが持ち直したことから再度反発し、124円台半ばと元切下げ開始前の水準に戻している。
この間、トルコでは6月総選挙後の新政権樹立のための連立交渉が決裂し秋の再選挙実施の運びとなったことから、13日に急落し対ドルで最安値、対円でも4月の年初来安値(43.47円)に迫っている。

来週の見通し:円は元よりも強し、円安余地あり
来週は、日々の人民元基準値に加えて、本邦2QGDP(17日)と米コアCPI(19日)が焦点となる。本邦GDPのマイナス幅が予想以上に大きいようだと円安圧力となるほか、人民元が再び下落に向かうと、本邦政府・日銀の円安許容度が高まることから、再び125円乗せを窺う展開となりそうだ。米コアCPIも予想通り加速すればドル下支えとなるが、過去のドル高を踏まえると鈍化リスクがあり、ドルの上値抑制要因となりそうだ。人民元は14日に基準値が僅かに元高で設定されたが今後再び下落に向かう可能性は残っているため、引き続き注目されそうだ。人民元続落の場合、ユーロ/ドルは上昇し易い一方、豪ドル/米ドルは下落し易いだろう。

来週の経済指標カレンダーはこちら

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1.ドル/円

来週のドル/円は、人民元基準値の下落ペースに加えて、本邦2QGDP(17日)と米コアCPI(19日)が焦点となる。本邦2QGDPは個人消費等の低迷から前期比年率-1.8%と大幅なマイナス成長が予想されている。これを下回るようだと、日銀の追加緩和期待がにわかに高まり、円安圧力となりそうだ。折しも今週の人民元切下げで人民元/円相場および円実効相場も円高方向となっていることから、政府・日銀の対ドルでの円安許容度が高まっている。こうした中、人民元が再び下落方向となれば、再び125円台乗せを窺う展開となりそうだ。米コアCPIは前年比+1.9%と伸び率の高まりが予想されており、米利上げ期待を高めるが、他のインフレ・賃金指標は低迷しており、ドル/円を大きく押し上げる材料とはなりにくそうだ。
その他、米国では17日にNY連銀製造業景況指数、18日に住宅着工・建設許可件数、19日にFOMC議事要旨、20日に中古住宅販売やフィラデルフィア連銀サーベイが発表予定で、総じて米景気回復の継続を裏付ける内容となりそうだ。

2.ユーロ

来週のユーロ/ドルは、ユーロ圏で重要材料が殆どない中で、米経済指標を受けたドル相場動向、および人民元安継続とユーロの避難通貨としての位置づけの強まり如何で上下する展開となりそうだ。人民元安継続の場合は1.13ドルを目指す展開となりそうだが、米コアCPIをはじめとする米経済指標が総じて堅調な結果となりドル高の場合には上値が抑制されそうだ。

3.豪ドル

来週の豪ドル/米ドルも個別材料が少なく、引き続き人民元基準値の下落ペースとコモディティ価格の反応が焦点となる。豪ドル/米ドルは買い戻し基調だったが人民元の切下げ開始を受けて下落方向に転じ、12日には0.7216ドルと年初来安値を更新していた。中国の景気減速懸念が根強く残る中、人民元の下落が再開すると、既に年初来安値を更新している原油(WTI)価格だけでなく、銅など他のコモディティ価格の下落も豪ドル下押し圧力となり、再び年初来安値を試す展開となりそうだ。
唯一予定されている豪RBA議事要旨(18日)も、既に8月初に四半期金融政策声明(SoMP)が発表され詳細な豪州景気見通しが示されたため、追加材料は少ないだろう。

(今週のレンジ実績は月曜から金曜昼頃まで、数値はBloombergより)

4.その他通貨

来週はポンドとトルコリラも注目だ。英国では18日に7月CPIが発表される。8月の金融政策決定・四半期インフレ報告発表後にCarney・BoE総裁はインフレ率の重要性を強調していたことから、前月は前年比ゼロだったCPIが再びマイナスに転じるようだと、利上げ期待が更に後退しポンド安となりそうだ。

トルコでは13日、6月総選挙後の新政権樹立のための連立交渉が決裂し、秋頃の再選挙実施の可能性が高まったことから、政局不透明感・政局混迷の継続懸念から13日に急落し対ドルで最安値、対円でも4月の年初来安値(43.47円)に迫っている。今後は再選挙回避に向けて新たな連立交渉が妥結するか、あるいは再選挙実施決定の場合には世論調査で与党AKPが単独過半数を狙えるかが焦点となるが、混乱継続を予感させる結果となればリラが続落しそうだ。


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