投資情報

山本雅文「FX戦略ウィークリー」

シニア・ストラテジスト 山本雅文が国内外のファンダメンタルズ分析を基に、主に米ドル、ユーロ、豪ドル相場の先行きの見通しを分かりやすく、かつ深く鋭く分析し予想するレポートです。

[ プロフィール ]

シニア・ストラテジスト 山本 雅文のレポートは2015年10月30日をもって更新は終了しました。これまでご愛読いただきありがとうございました。

2015年08月21日

カンフーよりカンフル剤が必要? 

今週の特徴:コモディティ安とドル安
今週は、中国株安が世界景気減速懸念とコモディティ価格下落につながったと同時に、こうした状況下で米FOMC議事要旨でもインフレ低迷が指摘されるなどハト派的な内容と捉えられたことから、特に週央19日以降にドル安が進行し、ドル/円は124円台の横ばいから一時123.33円へ、ユーロ/ドルは7月以降の1.08-1.12ドルのレンジを上抜け1.1245ドルの高値をつけた。他方、豪ドルは米ドル下落とコモディティ価格下落に挟まれ、対米ドルでは小幅軟化に留まったが、対円では91円台後半から90円割れへ下落した。なお、先週に続き今週もトルコリラが大きく下落しており、国内でのテロ多発や連立交渉不発による再選挙見通しの高まりから、一時41.19円の安値をつけた。

来週の見通し:カンフーよりカンフル剤が必要?
来週は、中国株価動向に加えて、米2QGDPの上方改定度合いと米コアPCEデフレータの低迷度合いを睨んだ動きとなりそうだ。ドル/円は中国株価が安定化し、米経済指標のいずれも9月利上げ確率を高める強い内容の場合には、124円台を回復して推移しそうだが、逆の場合には123円割れのリスクが高まる。豪ドルは、中国株価が続落する場合には再び年初来安値を試す一方で、ユーロは避難通貨として続伸し、7月以降のレンジ上限を上抜けする可能性がある。なお、中国では週末に何らかの株価対策・景気対策が発表される場合があり、その場合には内容次第で中国懸念が弱まるかもしれない。

1.ドル/円

来週のドル/円は、中国株価動向と米経済指標結果を睨んだ展開となりそうだ。米経済指標では、25日に新築住宅販売および消費者信頼感、26日に耐久財受注、27日に2QGDP改定値および中古住宅販売、28日にコアPCEデフレータなどが予定されているが、中ではGDP改定値が最大の焦点だ。市場予想では速報値の前期比年率+2.3%から+3.2%へ大幅に上方修正される見込みで、予想以上に上方修正となる場合には9月利上げ確率が再び高まり、ドル/円は124円台を回復しそうだ。但し124円台回復と維持には、中国株安が一服する必要がある。他方、中国株価が続落する中で、米GDPやコアPCEデフレータが市場予想を下回ると、9月利上げ期待が更に後退し、122円丁度方向への調整もありそうだ。
なお、本邦では28日にコアCPIの発表が予定されており、前月の前年比+0.1%からマイナス0.2%へ低下、再びデフレリスクを意識させる予想となっており、実際にマイナス転が確認されると日銀の追加緩和期待が若干高まり円安圧力となるかもしれない。もっとも、日銀が次第にエネルギーを除く指数に焦点を移し始めている中で、コアコアCPI(除く食料・エネルギー)は前年比+0.6%と比較的高い伸びが続く見込みで、その場合には追加緩和期待が高まりにくいだろう。

2.ユーロ

来週のユーロ/ドルは、7月以降のレンジだった1.08-1.12ドルの上限を上抜けしている中で、中国株安や人民元の下落が再開する場合には、避難通貨としてユーロが買われる傾向が強まり、1.13ドル台への続伸となりそうだ。なお、25日発表のドイツIfo景況感指数の悪化や、27日発表の米2QGDP改定値の大幅上方修正は上値抑制要因だが、中国株安が進行する中ではインパクトは限定的となりそうだ。

3.豪ドル

来週の豪ドル/米ドルは、中国株価および原油や銅などのコモディティ価格を睨んだ動きとなりそうだ。中国株価やコモディティ価格が続落すると、豪ドルは元切下げ後の8月12日につけた年初来安値(0.7216ドル)を再び試す展開となりそうだ。この場合、対円でも7月9日の年初来安値(89.16円)を下回る可能性が高まる。人民元の下落が再開する場合にも、同様に下落圧力が強まりそうだ。
なお、豪州では27日に2Q資本支出サーベイが発表される。これは豪州企業の設備投資動向に関する調査で、鉱業セクターの投資が減少する中、非鉱業部門の投資が増加するかが豪州景気回復の鍵の一つであることから注目度が高い。非鉱業セクター投資は小幅増加傾向だが全体を押し上げるほどに強いかどうかが、焦点となる。但し、足許のコモディティ価格下落で、鉱業セクター投資の下方修正が大きくなるリスクもある。

(今週のレンジ実績は月曜から金曜昼頃まで、数値はBloombergより)

(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。

マネックスレポート一覧

マネックス証券に口座をお持ちでない方はこちら

  • 口座開設・資料請求はこちら(無料)

ご留意いただきたい事項

マネックス証券(以下当社)は、本レポートの内容につきその正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。当社が有価証券の価格の上昇又は下落について断定的判断を提供することはありません。
本レポートに掲載される内容は、コメント執筆時における筆者の見解・予測であり、当社の意見や予測をあらわすものではありません。また、提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されることがございます。
当画面でご案内している内容は、当社でお取扱している商品・サービス等に関連する場合がありますが、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。
当社は本レポートの内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
本レポートの内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。

当社でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動・金利の変動・為替の変動等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。また、発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。

なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。

なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。