今週の特徴:米FOMCを受けてドル安
今週は、米FOMCの利上げ見送りを受けてドルが全般的に下落したのが特徴的だった。ドル/円は、15日に日銀の追加緩和見送りで119.40円へ下落した後、米コア小売売上高の予想比上振れで反発し120.99円の高値をつけたが、17日に米FOMCで利上げが見送られると再び120円割れへ反落するなど、結局9月入り後の119-121円のレンジ推移が続いた。ユーロ/ドルは、16日までは軟調に推移し1.1214ドルの安値をつけたが、週後半は反発基調となり、米FOMC後のドル安もあって8月26日以来の1.14ドル台乗せとなった。豪ドル/米ドルは、ターンブル新首相決定(14日)政権発足への期待感、原油価格の反発傾向、米コアCPIの予想比下振れ(17日)に加えて、米FOMCでの利上げ見送りから、一時0.7276ドルと8月24日以来の水準へ反発が続いたが、FOMC後の豪ドル反発は一時的に留まっている。
来週の見通し:半永遠のゼロとドル伸び悩みのリスク
来週は比較的材料が少なく、9月FOMC後の方向性を模索する展開が続きそうだ。FOMCでは来年、再来年のGDP成長率とコアPCEデフレータの見通しと同時に、FF金利見通しも予測期間全般にわたり引き下げられた。更に、足許の世界景気減速懸念や市場の不安定の悪影響の評価に時間を要することが利上げ見送りの一因となっており、目先すぐには中国景気減速懸念や市場の不安定が解消するとは考えられず、筆者が想定する12月利上げすら後ずれするリスクが高まっている。こうした状況では、ドルは米経済指標だけでなく中国の株価・景気動向そして政策対応にも振られ易い中で伸び悩み、ドル/円は年末にかけて118-122円で方向感のない展開が続きそうだ。
来週の材料面では中国9月財新製造業PMI(23日)、ユーロ圏9月PMI(23日)、米8月耐久財受注(24日)および本邦8月コアCPI(25日)などが重要で、中国PMIが予想通り改善を示せばドル/円や豪ドルにとってポジティブとなる一方、ユーロ圏PMIは悪化リスクがあり、ユーロの上値抑制要因となりそうだ。
1.ドル/円
来週のドル/円は、比較的材料が少なく、本邦も水曜まで休場の中、9月FOMC後の方向性を模索する展開が続きそうだ。FOMCでは来年、再来年のGDP成長率とコアPCEデフレータの見通しと同時に、FF金利見通しも予測期間全般にわたり引き下げられた。更に、足許の世界景気減速懸念や市場の不安定の悪影響の評価に時間を要することが利上げ見送りの理由となっているため、目先すぐには中国景気減速懸念や市場の不安定が解消するとは考えられず、筆者が想定する12月利上げすら後ずれするリスクが高まっている。こうした状況では、ドルは米経済指標だけでなく中国の株価・景気動向そして政策対応にも振られ易い中で伸び悩み、ドル/円は年末にかけて118-122円で方向感のない展開が続きそうだ。
来週は米国で21日に中古住宅販売、24日に耐久財受注および新築住宅販売、25日に2QGDP最終推計値およびミシガン大消費者信頼感確報値などが発表予定となっているが、全てが市場予想を上回るなどがない限り次回10月利上げの期待は高まらず、方向感は出にくそうだ。むしろ、Fedが中国を含む世界景気減速リスクの影響を評価しつつある中で、中国財新製造業PMI(23日)が予想通り改善を示せば、ドル/円の下支え材料となるかもしれない。
なお、本邦コアCPI(除く生鮮)は前年比-0.1%とマイナス化が予想されており、本来であれば日銀のインフレ目標である2%からの更なる乖離とデフレリスクを想起させ、追加緩和期待が高まるべきだが、日銀は原油安の影響を回避するためかエネルギーを除くインフレ指標(例えばCPI除く食料・エネルギーやCPI除く生鮮食品・エネルギーなど)を重視し始めており、物価が改善基調にあるとの判断を崩していない模様で、目先の日銀の金融政策見通しへの影響は小さそうだ。
2.ユーロ
ユーロ/ドルは、米利上げ見送りを受けて高止まっており、中国株価が下落する場合には更に上昇するリスクがある。もっとも、23日にはDraghi総裁の議会証言があり、追加緩和の可能性・時期・方法について言及する可能性があるほか、ユーロ圏PMIもこれまでは回復基調が続いてきたが、世界の金融市場の不安定化の影響などから悪化リスクがあり、ユーロの上昇余地は限定的とみられる。
3.豪ドル
豪ドル/米ドルは米ドルの方向性に加えて、中国株価やコモディティ価格動向を睨んだ展開となりそうだ。豪ドルは9月7日に安値をつけたあと反発基調にあるが、中国株価の不安定と中国景気減速懸念、そこからくるコモディティ価格の下落を受けて反発基調が一服して下落が再開するリスクが高まっているとみられる。この間、中国財新製造業PMI(23日)が予想通り改善を示せば豪ドルにとってポジティブとなるが、持続的な押上げ要因となるかは未知数だ。
(今週のレンジ実績は月曜から金曜昼頃まで、数値はBloombergより)
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