今週の特徴:豪ドルのテクニカルリバウンドが一服
今週は、円とユーロに対してドルが下落したのが特徴的だった。13日発表の中国輸入統計が市場予想を下回り中国の景気減速懸念が強まったほか、14日発表の米コア小売売上高も市場予想を下回り米景気の牽引役である消費の弱さがみられたこと、更に米地区連銀報告でも景気認識が小幅下方修正されたこともあり、米国の年内利上げ開始期待が後退した。これを受けて米中長期債利回りの低下と共にドルが下落、ドル/円は120円台前半から一時118.07円へ下落、ユーロ/ドルは1.13ドル台後半から1.1495ドルへ上昇した。ユーロ/ドルは9月後半以降のレンジ相場を上抜けし、今年3月に底をつけて以降の緩やかな上昇トレンド入りとなった可能性がある一方で、ドル/円は8月末以降の118-122円のレンジが崩れなかった。この間、豪ドル/米ドルは中国輸入統計の予想比悪化や15日発表の豪雇用統計の予想外のマイナスを受けて、0.74ドル丁度手前で9月末以降の反発基調が一服したかたちとなった。
来週の見通し:中国はどこまで減速を許容するか?
来週は、19日の中国主要経済指標、特に7-9月期GDP成長率に注目が集まる。前年比+6.8%への減速予想を更に下回るようだと、中国景気減速懸念が再び強まり、豪ドルが再び下落基調に戻る可能性がある。但し、10月26-29日に中国の五中全会開催が予定されていることもあり、弱い結果の場合には追加的な景気刺激策への期待感が高まるとみられ、豪ドル安や金融市場全体のリスク回避傾向は限定的となりそうだ。
この間、ドル/円は中国経済指標が下押しリスクとなるものの、日米材料が少ないこともあって、119円台を中心とした方向感のない展開となりそうだ。
ユーロ/ドルも22日のECB政策理事会で政策変更は予想されていないが、ハト派的な声明文や記者会見への期待感は根強く残っているとみられ、理事会に向けてユーロは軟調となる可能性がある。但し現時点で具体的な追加緩和が示唆される可能性は低く、理事開会後の反発リスクに注意したい。
1.ドル/円
来週のドル/円は、中国経済指標が下押しリスクとなるものの、日米材料が少ないこともあって、119円台を中心とした方向感のない展開となりそうだ。米国では20日に米住宅着工・建設許可件数や22日に
中古住宅販売件数が発表されるが、米利上げ期待に大きく修正を迫るような結果とはならなそうだ。また20日のイエレンFRB議長をはじめ多くのFed高官発言も予定されているが、利上げを決定的とするような米経済指標が見られそうにない中で、利上げ時期が明確に示される可能性は低く、ドルに強い方向性を与える内容にはならなそうだ。
2.ユーロ
ユーロ/ドルは22日のECB政策理事会と23日のユーロ圏10月分PMIが注目材料となるが、1.13ドル台半ばを中心とした一進一退の展開となりそうだ。今回のECB政策理事会で政策変更は予想されていないが、最近の総合インフレ率の再マイナス化を受けてハト派的な声明文やドラギ総裁記者会見への期待感は根強く残っているとみられ、理事会に向けてユーロは軟調となる可能性がある。但し現時点で具体的な追加緩和が示唆される可能性は低く、理事開会後の反発リスクに注意したい。ユーロ圏PMIは悪化が予想されているが小幅で、比較的高水準を維持していることから、追加緩和期待の高まりとユーロの下落基調の再開には不十分となりそうだ。
3.豪ドル
豪ドル/米ドルは、19日の中国主要経済指標、特に7-9月期GDP成長率が重要となる。統計作成時点で当局の意向が反映され弱い数字にならない可能性は残るが、前年比+6.8%への減速予想を更に下回るようだと、中国景気減速懸念が再び強まり、豪ドルが再び下落基調に戻る可能性がある。但し、10月26-29日に中国の今後5年間の経済計画を議論する五中全会開催が予定されていることもあり、弱い結果の場合には追加的な景気刺激策への期待感が高まるとみられ、豪ドル安や金融市場全体のリスク回避傾向は限定的となりそうだ。
なお、豪州関連材料ではRBA議事要旨が20日に公表されるが、利下げの可能性が差し迫っている訳ではない中で、豪ドルを大きく動かすような内容は予想されず、注目度はやや低くなっている。
(今週のレンジ実績は月曜から金曜昼頃まで、数値はBloombergより)
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