マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場は中国株の急落を嫌気し大幅安 ダウ平均は一時17,000ドル割れ 日本市場は昨日の地合いを引き継ぎ続落スタートか
NYダウ: 17148.94 ▼276.09 (1/4)
NASDAQ: 4903.09 ▼104.32 (1/4)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
年明け最初の米国市場は中国株の急落やそれを受けての欧州株安などで大幅続落となりました。また、市場予想に反して悪化したISM製造業景況感指数や、サウジアラビアがイランとの国交を断絶すると表明したことでの中東の地政学リスクも相場の重石となりました。取引開始直後から大きく下げたダウ平均は節目の17,000ドルを前に下げ渋りましたが、昼前に17,000ドルを割り込むと一時は467ドル安の16,957ドルまで売られました。その後やや持ち直すと17,000ドルを回復したものの、上値は重く取引終盤には再び17,000ドルを割り込む場面もみられました。引けにかけて下げ幅を縮め100日移動平均線の水準まで値を戻したダウ平均ですが結局276ドルの17,148ドルと3日続落で取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も104ポイント安の4,903ポイントとこちらも3日続落となり、節目の5,000ポイントを8営業日ぶりに割り込んでいます。
2.経済指標等
昨年12月のISM製造業景況感指数は48.2と前月から0.4ポイント低下し、景気判断の境目となる50を2カ月連続で割り込み、改善を見込んでいた市場予想を下回りました。また、昨年11月の米建設支出は前月比0.4%減少と、2014年6月以来約1年半ぶりのマイナスとなり増加を見込んでいた市場予想を下回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は10業種全てが下げました。なかでも金融が2%安となったほか、ヘルスケアや一般消費財・サービス、素材、情報技術も1%台後半の下落となっています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄中27銘柄が下げました。なかでもデュポン(DD)が5%を超える下落となったほか、JPモルガン・チェース(JPM)が3%安となり、ボーイング(BA)とアメリカン・エキスプレス(AXP)も3%近く下げています。一方でウォルマート・ストアーズ(WMT)とアップル(AAPL)、キャタピラー(CAT)が小幅に上げています。ダウ平均構成銘柄以外では2015年の出荷台数が予想の下限に近い結果となったことで電気自動車のテスラ・モーターズ(TSLA)が大きく下げました。また、米配車アプリ大手のリフトに5億ドルを出資したことが明らかになったゼネラル・モーターズ(GM)が下げ、投資判断の引き下げを受けて動画配信のネットフリックス(NFLX)も売られています。
5.為替・金利等
長期金利は米国株安や経済指標の悪化、さらに地政学リスクも意識され安全資産の債券が買われ0.03%低い2.24%となりました。一時は2.19%台まで低下し2.2%を割り込む場面もみられました。ドル円は安全通貨としての円が買われ一時119円を割り込んで118円68銭まで円高が進む場面もありました。朝方は119円30銭台での推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
中国株の急落を受けて欧米株安となったことで本日の日本市場は弱気に傾いた昨日の地合いを引き継ぎ続落でのスタートが予想されます。日中は中国市場やドル円の動向をにらみながらとなりそうですが、東証1部の騰落レシオが80%を切り、25日移動平均線とのかい離率もマイナス5%に近づくなどテクニカル的に売られすぎのシグナルもみられるなか、売り一巡後に切り返すような展開となるかが注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)