マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
上海市場の暴落など受け日経平均は600円近い大幅安
日本株式市場
上海市場の暴落など受け日経平均は600円近い大幅安
1.概況
本日の日経平均は582円安の1万8450円と大幅に反落しました。TOPIXやJPX日経400も大幅に下落しましたが、新興市場のマザーズ指数はわずかながら上昇しました。30日、31日の米国市場が続落したことを受け、日経平均は215円安の1万8818円で寄り付きました。日経平均は寄り付き後に徐々に下げ幅を縮め、10時過ぎには下げ幅が80円あまりとなる場面がありました。ただ、10時45分に発表された財新製造業購買担当者景気指数が市場予想を下回る低調な内容に終わったことを受け、中国市場が大幅に下落すると、120円30銭程度で推移していたドル円が119円80銭程度まで下落し、日経平均も急落しました。結局492円安で前場の取引を終えた日経平均は、後場に入ってもじりじりと下げ幅を広げる展開となり、一時は639円安まで下落しました。日経平均は大引けにかけてやや値を戻したものの、そのまま本日の安値圏で取引を終えました。なお、上海証券取引所は相場急落を受けて「サーキットブレーカー制度」が発動し、14時半頃で取引終了となりました。同制度は今月から導入されたばかりでしたが、いきなりの発動となりました。東証1部の値上がり銘柄数は170にとどまり、9割近い銘柄が値下がりする全面安の商状でした。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金上位銘柄はトップのトヨタ(7203)から8位のファナック(6954)まで全て下落しました。中でもファーストリテイリング(9983)は4.7%の下落で日経平均を80円近く引き下げています。売買代金9位に入った東芝(6502)は、2%の逆行高となりました。産業革新機構と経済産業省が事業再編を支援し、白物家電事業をシャープ(6753)と統合する案が浮上しているなどと報じられたことが好感されたようです。シャープは下落したものの0.8%安と比較的小幅な下げにとどまりました。材料が出たところでは、国内自動車メーカーの共同出資案が浮上していると報じられたエアバックなどを手がけるタカタ(7312)は14%近い大幅高となりました。
【VIEW POINT: 明日への視点】
年初から中国株の大幅下落という波乱要因でマーケットはリスクオフムードとなりました。相場格言で申(さる)年は「騒ぐ」と言われていますが、まさにその通りの1年のスタートです。明日以降も調整ムードとなるのかは今夜の米国市場と明日の中国市場次第ということになりますが、ドル円が119円台前半まで円高が進んでいることから急激な戻しは期待しづらいかもしれません。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
中国株式市場
上海総合指数が大幅続落
1.概況
本日の上海総合指数は前日比242ポイント安(6.9%)の3,296ポイントと大幅に続落し、一気に節目の3,300ポイントを割り込みました。また、中国の創業板指数(日本のマザーズ市場に相当)は222ポイント安(8.2%)の2,491ポイントとこちらも大幅に続落しました。更に、香港のハンセン指数も日本時間16時時点で545ポイント安の2万1368ポイントと大幅に反落しています。
中国市場で上海市場はほぼ全面安となりました。2016年1月1日に政府から発表された12月の中国製造業PMIは前月から改善したものの市場予想に届かなかったことから、上海総合指数は小幅に下落して始まりました。その後、本日発表の財新製造業PMIが改善予想に反して前月から悪化したことで景気減速懸念が再び高まり、上海総合指数は下げ幅を急速に広げる展開となりました。こうしたなか日本時間14時半頃には中国のCSI300指数の下落率が7%に達したことで、本日から導入されたサーキットブレーカー制度が発動し、すべての株式と先物の取引が終日売買停止となりました。
香港市場では、先週31日の米国株安の流れを受けてハンセン指数が大幅に下落してスタートしました。その後は財新製造業PMIの予想外の悪化や中国株の急落などが相場の重石となり下値を模索する展開となっています。日本時間16時時点で、不動産株指数や金融事業株指数、商工業株指数、公益事業株指数などが大幅に下落しています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
香港市場はほぼ全面安となりました。鉄道車両メーカー大手の中国中車(1766)が5%超下落しているほか、中国鉄建(チャイナ・レールウェイ・コンストラクション、1186)も4%余り下落しています。また、リスクオフムードが強まる中、金融関連株も大きく売られています。なかでも保険大手の中国人寿保険(チャイナライフインシュアランス、2628)や商業銀行の東亜銀行(バンク・オブ・イーストアジア、0023)などが大幅に下げています。更に、値嵩株のインターネット大手の騰訊(テンセント・ホールディングス、0700)や通信大手の中国移動(チャイナ・モバイル、0941)も大きく売られ相場を押し下げています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
中国市場で上海総合指数は財新PMIの悪化が嫌気され大幅に下落し、本日から導入されたサーキットブレーカー制度が午後に発動され取引停止となりました。このようにリスクオフムードが強まる中、昨年7月以降、中国証券当局により禁止されていた大株主や経営陣の保有株の売却が年明けから解禁となっていることも相場の重石となりそうで、明日の中国市場も続落スタートとなりそうです。しかし、主要指数に売られすぎのサインが出ていることから自律反発に期待したいところです。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川