マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
人民元安や北朝鮮の水爆実験受けリスク回避姿勢強まり日経平均は21年ぶりに年初から3日続落
日本株式市場
人民元安や北朝鮮の水爆実験受けリスク回避姿勢強まり日経平均は21年ぶりに年初から3日続落
1.概況
本日の日経平均は182円安の1万8191円と下落し、3日続落となりました。TOPIXやJPX日経400、新興市場のマザーズ指数など主要指数は総じて下落しました。昨日の米国市場は高安まちまちで支援材料とはなりにくいながらも、日経平均は昨日までの2日間で660円近く下落し自律反発を狙った買いが入ったのか36円高と小幅に反発して寄り付きました。ただ、日経平均は寄り付き後に徐々に上げ幅を縮めるとまもなくマイナスに転じました。その後は前日終値を挟んでもみ合いとなる時間がありましたが、10時15分頃に発表された人民元の対ドル基準値が約4年9カ月振りの元安ドル高水準だったことや、その後発表された中国のサービス業PMIが前月から低下したことなどでリスク回避姿勢が強まり、ドル円が一時118円台前半まで円高が進むと、日経平均は下げ幅を広げました。その後北朝鮮が核実験を行ったとの観測が流れるとリスク回避姿勢が一層強まり、日経平均は前場を222円安で引けました。お昼休みの時間帯に日経平均先物が一時1万8000円を割り込むなどさらに売り込まれ、日経平均は後場寄り後に一時下げ幅を300円超まで広げました。その後北朝鮮が水爆実験を行ったと発表し、不透明感が後退したことからか日経平均は徐々に下げ幅を縮めたものの、結局昨年10月19日以来約2ヶ月半ぶりの安値で引けました。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金トップのトヨタ(7203)が2%安となるなど、売買代金上位の主力銘柄の多くが下落しました。メガバンク3行、ソフトバンク(9984)、ファナック(6954)などもそれぞれ下落しています。中でも売買代金9位に入った任天堂(7974)は大手証券2社が目標株価を引き下げたことを受け、7.6%安と大幅に下落しました。また、アップル(AAPL)の最新iPhoneの販売が冴えず在庫が積み上がっており、アップルは1-3月期に3割減産すると報じられ、アップルに部品を供給している各社が大きく売られました。ジャパンディスプレイ(6740)が3.5%安で昨年来安値を更新したほか、シャープ(6753)が3.3%安、村田製作所(6981)が3.5%安、アルプス電気(6770)が3.2%安などとなりました。
【VIEW POINT: 明日への視点】
悪材料が重なり、日経平均は21年ぶりに年初から3日続落となりました。3日間の下げ幅は842円に達しています。ただ、日経平均の予想PERや約15倍まで低下しており、ここから下はバリュエーション面で割安感が出てきます。また、東証1部の騰落レシオは73%と一般的に売られすぎの水準まで低下しています。もちろん中国経済動向や地政学リスクの高まりなど懸念材料は多く、どこが株価の底になるかは誰にもわかりません。ただ、株価の下落局面は投資のチャンスとなりうることもまた事実です。業績好調にもかかわらず投げ売りされているような銘柄を徐々に買い下がるなど、ぜひ下落局面を投資リターン向上に活かしていただきたいと思います。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)
中国株式市場
上海総合指数が大幅反発
1.概況
本日の上海総合指数は前日比74ポイント高(2.3%)の3,361ポイントと大幅に反発しました(年初来で5.0%安の水準)。また、中国の創業板指数(日本のマザーズ市場に相当)は51ポイント高(2.1%)の2,468ポイントと大幅に反発しました。一方、香港のハンセン指数は日本時間16時時点で192ポイント安の2万0995ポイントと節目の2万1000ポイントを割り込んで続落となっています。
中国市場では、昨日の中国証監会による大株主の保有株売却に関する改定案の検討表明に加え、昨日に政府系ファンドの「国家隊」が主力株を買い支えたとの観測が浮上したことも好感され、上海総合指数は小幅に上昇して始まりました。前場は上値が限定的でしたが、午後に入ると上昇が加速、結局上海総合指数は2%超上昇して取引を終えました。なお、朝方発表された財新中国サービス業PMIが50.2と前月から悪化しましたが、相場への影響が限定的でした。
香港市場で続落スタートとなったハンセン指数は一時プラスに転じる場面があったものの、財新中国サービス業PMIの悪化や人民元が下げ止まらないことでの資本流出懸念、さらに北朝鮮が「水素爆弾の実験に成功した」と発表したことなどが重石となりマイナス圏に沈むと一時240ポイント超下落し節目の2万1000ポイントを割り込みました。午後に入り本土市場の上昇が好感され下げ幅を縮めると一旦2万1000ポイントを回復しましたが、買いが続かず2万1000ポイントを下回っています。日本時間16時時点で不動産株指数が1%超下落しているほか、金融事業株指数や公益事業株指数、商工業株指数なども小幅に下げています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
香港市場では非公開化計画を発表したことで売買を停止していた不動産大手の新世界発展(ニューワールド・デベロップ0017)が取引を再開し4%超下げています。また、重大な資産再編を控えていることを理由に売買を停止していた不動産最大手の万科企業(チャイナバンカ、2202)も取引を再開し、経営権争いでの不透明感から11%超値下がりしています。更に、原油安を受けて中国石油化工(シノペック、0386)などの石油株も揃って軟調推移となっています。
一方で、李克強首相が中国石炭市場の過剰生産問題を改善する方針を示したことが手掛かりとなり、石炭大手の中国神華能源(チャイナ・シェンファ・エネルギー、1088)が1%超上昇しています。また、中国鉄建(01186)は昨日引け後に、7件の鉄道建設プロジェクト(受注総額は205億6700万元)を落札したと発表したことが好感され、小幅ながら上昇しています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
上海市場がほぼ全面高となった一方でハンセン指数は3日続落となるなど、本日の中国市場は明暗が分かれる格好となりました。明日も大株主の保有株の売却に対する警戒感が後退していることで上海総合指数は回復が期待できそうです。しかし、元安による資金流出懸念が引き続き上値を抑えそうなハンセン指数は軟調な展開が続きそうです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川)