マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場は地政学リスクの高まりや原油安で大幅下落 ダウ平均は17,000ドル割れ 日本市場で日経平均は18,000円の攻防か
NYダウ: 16906.51 ▼252.15 (1/6)
NASDAQ: 4835.77 ▼55.67 (1/6)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場は北朝鮮が水爆実験に成功したと発表したことで地政学リスクが意識されたことや、WTIの先物価格が一時33ドル台を付け7年ぶりの低水準まで下げた原油価格の下落などを嫌気して大きく下げました。さらに6日発表の2015年12月の中国の財新非製造PMIが前月から悪化し、1年5カ月ぶりの水準に低下したことで中国経済への警戒感が改めて強まったことも相場の重石となりました。取引開始直後から大きく下落したダウ平均は節目の17,000ドルを割り込んで270ドル安近くまで売られると一旦下げ渋りましたが、大きく切り返すことなく軟調な推移が続くと取引終盤には340ドル安余りまで下落しました。ダウ平均は引けにかけて買い戻しが入りやや持ち直したものの、結局252ドル安の16,906ドルと反落し、節目の17,000ドルを昨年の10月7日以来3カ月ぶりに割り込んで取引を終えています。また、S&P500株価指数も26ポイント安の1,990ポイントとなり昨年の10月14日以来の2,000ポイント割れとなりました。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も55ポイント安の4,835ポイントと5日続落となっています。
2.経済指標等
2015年12月のISM非製造業景況感指数は55.3と前月の55.9から低下し、2014年4月以来の低水準となり小幅な改善を見込んでいた市場予想も下回りました。11月の製造業受注高は前月比0.2%減の4722億300万ドルで2カ月ぶりのマイナスとなり市場予想と一致しました。また、民間設備投資の先行指標となる資本財から国防関連と航空機を除いたコア資本財は0.3%減でした。12月のADP雇用リポートで民間部門の雇用者数は25万7000人増加し2014年12月以来の大幅な伸びとなり市場予想を上回りました。11月の貿易収支の赤字額はモノとサービスの取引を合わせた国際収支ベースで前月比5.0%減の423億7400万ドルとなり2カ月ぶりに縮小しました。12月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、全会一致で約9年半ぶりとなる利上げを決定したものの、一部の参加者がインフレ率が低水準にとどまる恐れがあると懸念を表明していたことが明らかとなりました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は10業種全てが下げました。なかでもエネルギーが3%を超える下落となったほか、素材が2%を上回る下げとなり、電気通信サービスや金融の下げも目立ちました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄はウォルマート・ストアーズ(WMT)を除く29銘柄が下げました。なかでも原油価格の下落を受けてシェブロン(CVX)が4%近く下落したほか、アメリカン・エキスプレス(AXP)やユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)、ゴールドマン・サックス(GS)、インテル(INTC)、スリーエム(MMM)も2%以上下げています。また、ダウ平均構成銘柄以外では人員削減の規模を増やすなど追加のリストラ策を公表したことで業績の先行きを警戒した売りが出た種子・農業製品大手のモンサント(MON)が安く、データセンターの売却を進めていると伝わった通信大手のベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)も下げました。一方で、製薬のバリアント・ファーマシューティカルズ(VRX)は現CEOが傷病休暇を取得していることから前CFOを暫定的にCEOに指名したことで買われました。
5.為替・金利等
長期金利は、FOMC議事要旨を受けて利上げのペースが緩やかなものになるとの見方に加え、中国経済の減速懸念や北朝鮮による水爆実験の実施発表で投資家のリスク回避志向が強まり、安全資産とされる債券が買われ0.06%低い2.17%となりました。ドル円は引き続き118円台半ばでの推移となっています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
米国株の大幅下落を受けて本日の日本市場も売り優勢でのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の18,000円の攻防となりそうで、18,000円を維持できるかがポイントとなりそうです。本日もドル円や中国市場に神経質な展開が続きそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)