マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
日経平均小幅に下落し指数算出以降初めて年初から5日続落 今夜は米国雇用統計の発表に注目
日本株式市場
日経平均小幅に下落し指数算出以降初めて年初から5日続落 今夜は米国雇用統計の発表に注目
1.概況
本日の日経平均は69円安の1万7697円と小幅に下落し5日続落となりました。TOPIXやJPX日経400、新興市場のマザーズ指数など主要指数は総じて下落しました。日経平均が年初から5日続落するのは日経平均の指数算出以降初めてのこととなりました。昨日の米国市場でダウ平均が400ドル近く下げるなど世界的な株安に歯止めがかからない状況を受け、日経平均は205円安の1万7562円で寄り付きました。日経平均は寄り付き後に250円超まで下げた後は徐々に下げ幅を縮めました。10時15分頃に発表された人民元の対ドル基準レートがわずかながら昨日より元高に設定されたことがわかると安心感が広がったのか、日経平均は大きく下げ幅を縮めてプラスに転じました。その後再び一時マイナスに転じるなどやや不安定な値動きながら、結局前場を69円高で終えました。上海市場が堅調推移となったこともあり、後場に入っても日経平均はしばらくプラス圏での推移が続きましたが、3連休を前に売りが出たのか14時半頃からマイナスに転じると、結局5日続落となりました。業種別にはゴム製品、精密機器、機械の3業種のみ上昇し残る30業種は下落しました。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金トップのトヨタ(7203)は0.5%の小幅安にとどまりましたが、売買代金2位のファーストリテイリング(9983)は2.3%の下落となりました。昨日の大引け後に行った9-11月期の決算発表で営業利益が前年同期比16.9%減と不調に終わったほか、通期の業績予想を下方修正したことが嫌気されました。一時は7%超まで売られましたが、その後徐々に値を戻しました。その他昨日決算発表を行った小売では、セブン&アイ・ホールディングス(3382)は3.2%安と売られた一方で、3-11月期の営業利益が45%増と好調で通期の業績予想も引き上げた良品計画(7453)は8%近い大幅上昇となりました。
【VIEW POINT: 明日への視点】
日経平均は初めて年初から5日続落という不名誉な記録を作ってしまいました。一時はプラス圏に浮上するなど、押し目買いも入っているようですが、外部環境の不安定さがなかなか本格的な買いを誘発しにくいとみられます。今夜は日本時間22時半に米国雇用統計が発表されます。12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定されてから初めての雇用統計の発表となり、今後の利上げペースを決める大きな要因の1つとなるため、引き続き注目が集まります。なお、市場予想では非農業部門雇用者数が前月差20万人増と堅調な内容になると予想されています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)
中国株式市場
上海総合指数が反発
1.概況
本日の上海総合指数は前日比61ポイント高(2.0%)の3,186ポイントと反発しました(年初来で10.0%安の水準)。一方、中国の創業板指数(日本のマザーズ市場に相当)は7ポイント安(0.3%)の2,248ポイントと小幅に続落しました。この間、香港のハンセン指数は日本時間16時時点で183ポイント高の2万516ポイントと5日ぶりに反発しています。
中国市場で上海総合指数は前場は一時2%以上下落した後プラス圏に浮上するなど荒っぽい値動きとなりましたが、後場に入ると徐々に落ち着いて堅調な推移となりました。昨日の取引停止後に中国証券監督管理委員会(証監会、CSCR)が上場企業の大株主による株式売却を制限する措置(3カ月間に売却できる株式を発行済み株式数の1%以内とする)を発表したことに加え、昨夜に「サーキットブレーカー」制度の実施を一時停止すると発表したことや、本日の中国人民銀行(中央銀行)による人民元の基準値が小幅ながら元高に設定されたことなども好感され、上海総合指数は反発して始まりました。市場の警戒感は依然として強く、寄り付き後暫くして急落すると一時2%超まで下げる場面もありましたが、押し目買いが入りすぐに持ち直しました。午後に入ると上海総合指数は一時節目の3,200ポイントを回復する場面もありましたが、引けにかけて上げ幅をやや縮めて取引を終えました。
香港市場では、昨日の米国株安と原油安の流れにも拘らず、上述の中国当局の政策決定や元安の一服などを受けてハンセン指数は大幅に反発して寄り付きました。但し、本土市場の一時的な急落が嫌気されて一時マイナスに転じる場面もみられましたが、その後すぐに買い戻されました。その後は今夜の米国の雇用統計を控えて様子見ムードが強まるなか、積極的な買いが出にくく1%高の水準で揉み合う展開となっています。日本時間16時時点で、商工業株指数と金融事業株指数が上昇している一方、不動産株指数及び公益事業株指数が小幅に下落しています。
2.個別銘柄動向等(香港マーケット、日本時間16時時点まで)
香港市場では、衛生用品大手の恒安国際集団(ハンアン・インターナショナル、1044)は4日続落による値ごろ感から4%近く反発しています。パソコンの大手の聯想集団(レノボ・グループ、0992)もグーグル3D技術対応のスマホを発表したことが好感され、4%余り値上がりしています。また、値嵩株の通信の中国移動(チャイナ・モバイル、0941)及びインターネット大手の騰訊(テンセント・ホールディングス、0700)もともに大きく上昇し、指数を押し上げました。昨日引け後に、2015年12月期の純利益が当初見通しを上回ったようだと発表したことが好感された中国自動車大手の比亜迪(BYD、1211)も大きく買われました。更に、鉄道関連の中国中車(1766)や中国鉄建(チャイナ・レールウェイ・コンストラクション、1186)なども反発しています。
一方で、ディフェンシブ銘柄とされる小売の中国旺旺控股(ワンワン・ホールディング、0151)が3%超下落しているほか、中国蒙牛乳業(チャイナ・メンニウ、2319)も1%余り下げています。また、カジノの金沙中国(サンズ・チャイナ、1928)も続落しています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
中国当局による複数の措置を受けて本日の中国市場はようやく下げ止りました。但し、投資家のセンチメントが依然として弱気に傾いており、来週も警戒を怠らずにマーケットに臨んでいただきたいと思います。また、本日オフショア人民元相場で対ドル人民元が一時元高に振れた場面がみられましたが、来週の人民元相場は今夜発表の米雇用統計を睨みながらのスタートとなりそうで、元安が一服となるか引き続き目が離せません。なお、明日(9日)は中国の12月の物価指数の発表が予定されており、市場予想を下回る場合は中国人民銀行による追加緩和のトリガーとなる可能性があり、注目されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川)